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むかし、ダイダラボッチという変った名前の、からだの非常に大きな神さまがいました。
あるとき、筑波山から富士山へ行こうとして歩き出し、下小坂の土地へ足を踏み入れました。するとどうしたわけか足に刺がささってしまい、痛くてとても先へ進むことができません。
仕方なく、小畔川の土手に腰をおろして、ささっている刺をぬきとりました。そして、富士山へ向って歩いて行きました。
あとには、ダイダラボッチの抜いた刺が、川の真中にささり、橋の杭のようになっています。
そのころ、小畔川はいまと違って曲りが多いうえに流れが速く、橋をかけようにも、橋桁にする杭を打つことができません。大勢でやっと打っても、すぐ流されてしまいました。
ところが、刺の杭はいっこうに流れ去るようすが見えません。
村人たちは、大勢で、おそるおそる橋をかける工事を始めました。
いざ工事にとりかかってみると、万事うまく行き、たちまち橋が完成しました。
村人たちは大喜びで、ダイダラボッチに感謝し、橋の名前を「刺橋」としました。
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現在では、写真のように、コンクリートの立派な橋になっています。
なお、1枚目の写真の奥に写っている、2本の大きな木は、白髭神社(下小坂)の大ケヤキです。
川越の伝説・刺橋とダイダラボッチ