93歳・老大娘の日記

晩年を生きる

二冊から

2021-05-05 16:12:36 | 読書

本降りの雨

先日来、二冊を読み終えました。

墨龍賦:主人公は明智光秀ではなく、それは絵師の海北友松。

明智光秀とは心通じる親友。この絵師は元武士、

こころならずも寺に預けられ絵師の道を歩む。

光秀の謀反は今も謎とも言われているが、この作品では

謀反は信長と出会ったときすでに始まっていると。

光秀ほどの人物が軽々に謀反起こすわけがない。

謎が解けたとまでは言えないが、納得の部分も多い。

信ずる友,海北友松との心温まる交流は一服の清涼剤。

この作品を上梓10か月後葉室さんは急逝されました。

解説の澤田瞳子さん曰く:墨龍賦は「美しさを描く小説」と。

お腹召しませ:6篇の作品からなっている。

6篇夫々に書きおろしエッセイが収録されています。

6篇の時代小説とそれを語るエッセイ(現代)とは親密さがあるそうです。

面白い見方と思いました。

時代は異なってもそこに生きる人はそれほど変わっていない。

しかし、携帯電話やその他通信ツールの普及は「すれちがい」という

悲劇がなくなったことで、小説の重要な展開が喪われてしまった。

これからの若者は「すれちがい」と言うことを知らなくなるかもしれない。

エッセイにはたくさんの珠玉の言葉が書かれています。

目的地に到達するまで不毛の曠野を行くときでも思わぬ景観に

出会ったりする。私なりに解釈すれば失敗もまた無駄ではなく

得るものも多々あると言うことでしょう。

「失敗は成功の母」と言うではないか。

「努力に勝る天才なし」「継続は力なり」などは

努力しない、三日坊主の私には耳が痛い言葉です。

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする