本降りの雨
先日来、二冊を読み終えました。
墨龍賦:主人公は明智光秀ではなく、それは絵師の海北友松。
明智光秀とは心通じる親友。この絵師は元武士、
こころならずも寺に預けられ絵師の道を歩む。
光秀の謀反は今も謎とも言われているが、この作品では
謀反は信長と出会ったときすでに始まっていると。
光秀ほどの人物が軽々に謀反起こすわけがない。
謎が解けたとまでは言えないが、納得の部分も多い。
信ずる友,海北友松との心温まる交流は一服の清涼剤。
この作品を上梓10か月後葉室さんは急逝されました。
解説の澤田瞳子さん曰く:墨龍賦は「美しさを描く小説」と。
お腹召しませ:6篇の作品からなっている。
6篇夫々に書きおろしエッセイが収録されています。
6篇の時代小説とそれを語るエッセイ(現代)とは親密さがあるそうです。
面白い見方と思いました。
時代は異なってもそこに生きる人はそれほど変わっていない。
しかし、携帯電話やその他通信ツールの普及は「すれちがい」という
悲劇がなくなったことで、小説の重要な展開が喪われてしまった。
これからの若者は「すれちがい」と言うことを知らなくなるかもしれない。
エッセイにはたくさんの珠玉の言葉が書かれています。
目的地に到達するまで不毛の曠野を行くときでも思わぬ景観に
出会ったりする。私なりに解釈すれば失敗もまた無駄ではなく
得るものも多々あると言うことでしょう。
「失敗は成功の母」と言うではないか。
「努力に勝る天才なし」「継続は力なり」などは
努力しない、三日坊主の私には耳が痛い言葉です。