93歳・老大娘の日記

晩年を生きる

「祖母のひとり語り」

2021-10-06 10:52:36 | 読書

多くの人に読んでほしいと、お友達から渡されました。↓

       

著者(松吉千津子)が祖母(明治19年生)を偲んで書き留めたもの。

祖母は昭和37年、77歳で亡くなりました。

祖母の家の二階を軍隊に貸すことから始まります。

それは海軍震天隊巌部隊でした。

明治生まれの強い女性の言動が随所に出てきます。

当時は軍隊に刃向うなど考えられなかった。

或る日、怒号が聞こえ、庭に整列した兵隊を中隊長が殴っていた。

祖母は軍隊言うところはよく殴るなと思ってはいたが、この日は違った。

「こりゃあいかん、止めにゃ」と中隊長の前に飛び出し

「こんなむごいことここでびっしりするんなら、出ていってもらいたい」

中隊長は殴ること止めて「解散」と言って行ってしまった。

戦後皆で集まったとき「なぜあの家を出たか」と話題になった。

元中隊長しみじみ言ったそうです。

「俺はあのおばぁさんが一番怖かった。君たちをあの家から

よそへ移したのはあんな人間的な人の家にいては

君たちの精神がにぶり、いよいよ最後というときひるみはせんかと

それを心配した・・・」

特攻隊批判に関しても当時を知る私など及びもつかないこと。

強い人です、物事の真実を見る目もあり、孫娘の松吉さんが

祖母の生き方を知ってほしいと思う気持ちはよくわかります。

この中隊長も好んで行動したわけではなく、時代がそうさせたとおもいます。

軍隊も、特攻隊も歴史の彼方に消え去ろうとしています。

これらを知り、語りあえるのも私世代が最後でしょう。

コメント (10)
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