
”定積分”と聞いて先ず思い浮かぶのが、高校で学習した∫[a,b]f(x)dxという形の積分(代数的積分)でした。
この様な形の積分を”リーマン積分”と呼びますが、リーマン積分は連続でない関数に対しても定義され、高校では連続関数のみを積分の対象としました。
一方リーマン積分は、スティルチェス積分と呼ばれる積分に一般化され、”リーマン=スティルチェス積分”とも呼ばれる。
この事を簡単に説明すれば、g(x)が区間[a,b]上の単調増加な(x∫[a,b]f(x)dg(x)という形の積分が定義できる。これこそがスティルチェス積分と呼ばれるものだが、g(x)=xとすれば∫[a,b]f(x)dxとなり、先程に述べたリーマン積分となる。一方で、g’(x)=dg(x)/dxより、∫[a,b]f(x)dg(x)=∫[a,b]f(x)g’(x)dxが言え、部分積分が使える事が判る。
例えば、f(x)=sinxとし、区間[0,π/4]上の関数g(x)=x²と定義すれば、g(x)はこの区間で単調増加であり、部分積分により∫[0,π/4]sinxdg(x)=∫[0,π/4]sinxdx²=2−π/2√2が求まる。
故に、高校レヴェルの定積分でもリーマン=スティルチェス積分を理解する事は可能なのだ。
リーマン積分とスティルチェス積分
元々積分とは、”区分求積法”の様に細い短冊を足し合わせ、関数f(x)とx軸の区間[a,b]に挟まれた図形の面積S=∫[a,b]f(x)dxを、短冊の幅(b-a)/nを極限(n→∞)にまで狭める事で正確に求める手法でした(図1)。故に、”区分求積法を極限にまで拡張したものが定積分”とも言える。
この区分求積法は初等的な求積法の為に連続関数を扱う高校数学では通用するが、連続関数以外を対象とするより広い意味での積分においては限界がある。従って、リーマン積分は区分求積法の考え方をより広い関数にも適切に定義できる様に考えたものと言える。
一方で、x軸上の”普通の”長さを伸ばしたり縮めたりしてできる“特殊な”長さを用いて、図形の面積を求める事はリーマン=スティルチェス積分となる。
例えば、平面上に”面積の単位”を定義すれば、その平面上で定義される(単調増加)関数に対する図形の面積を求める事も同様である。
この様に、関数を縦に切る事でできる直方体の体積を求め、それを全領域に渡って足し合わせ、平面と関数に挟まれた図形の体積が求まる訳だが、そういう意味ではリーマン積分と言える。更に、その面積を伸ばしたり縮めたりすれば、(平面上の)リーマン=スティルチェス積分となるが、リーマン積分がスティルチェス積分に一般化出来るとはそういう事である。
一方で、”長さ”や”体積”と呼んだものをより抽象的に数学的に定義すると”測度”と呼ぶが、測度が定義できるのは何も実直線上や平面上に限らず、集合上にも長さが存在する。
因みに、”測度論”とは集合の長さや頻度といった集合の元(要素)の量を測る分野で、”ルベーグ積分”と呼ばれる積分においては”集合の長さ”を考える事が重要となる。例えば、区間[0, 1]の長さが1である事は直感的に理解できるが、区間[0, 1]上の”有理数の集合の長さ”はどうなるのだろうか?
日常の感覚では有理数の集合という”まばらな集合”に対し、”長さ”を考える事は難しく抽象的だが、数学ではこの様な集合にも”長さ”を考える事が可能になる。更に言えば、こうした”長さ”を”ルベーグ測度”を用いて考える事が可能になる。
勿論、どんな集合でもルベーグ測度を用いて”長さ”を測る事が出来る筈もなく、”長さ”を測れる集合として”可測集合”を定義する。この可測集合とルベーグ測度をどの様に定めるかという所が測度論の重要な考え方であり、ルベーグ積分の他に確率論も測度論に属する。
リーマン積分とルベーグ積分
この様に非常に抽象的な空間上に定義された測度を用い、その空間上で定義された実関数の(非常に抽象化された面積や体積の様なもの)を定義するのが”ルベーグ積分”と言える。
従って、(集合関数など)実直線上とは限らない抽象的な空間で定義された関数を扱うので、関数を短冊形に縦に切る、などといった事はできず、関数を空間に沿って”横に”スライスしたのがルベーグ積分の大きな特徴となる(図2)。
一方、リーマン積分は”縦切り”により面積を求めると考え方だったが、ルベーグ積分は”横切り”により面積を求めるアプローチを採る。
有界閉区間にてはリーマン積分可能な関数は必ずルベーグ積分可能である事が知られ、この意味ではルベーグ積分はリーマン積分の拡張(一般化)であると言え、逆にリーマン積分はルベーグ積分で一般化出来る。だが、その為には、可測関数というものを定義し、リーマン積分の基本的な性質を述べ、更にルベーグ積分の定義と基本性質を理解する必要があるのだが・・・「積分論」の難しさは、まさにここにある。
例えば、ルベーグ積分の収束定理についてだが、解析学(微分と積分を主に扱う分野) では極限と積分の順序交換が必要な場面がしばし登場するが、 極限と積分の順序交換ができる事を”項別積分可能”であると呼ぶ。
リーマンが第4の論文で証明無しに用いた事で有名になったが項別積分だが、有界集合をX(カイ)とすると、lim[n,∞]∫ᵪfₙ(x)dx=∫ᵪlim[n,∞]fₙ(x)dxが成立する事を言うが、極限と積分が入れ替わってる事が確認できますね。
ルベーグ積分での項別積分可能である為の条件を述べた定理を「ルベーグの収束定理」というが、この条件はリーマン積分よりかなり扱い易く、これこそがルベーグ積分を学ぶ大きなメリットとなる。但し(以下でも述べるが)、ルベーグ積分がリーマン積分よりも”極限に強い”とはこういう事である。
つまり現代数学では、非常に抽象的なルベーグ積分を理解する事で積分そのものが俄然面白くなる。それは、ルベーグ積分の(収束)理論から更に多くの積分の概念が派生し、それらは確率論や経済学や金融工学などで盛んに応用される様になるからだ。
そこで、(リーマン)積分の基本的な性質と定義を詳しく具体的に掘り下げる事にする。
上述した様に、積分にもリーマン積分を始め、スティルチェス積分やルベーグ積分など様々な積分が存在する。つまり、様々な積分には”共通の何か”がある筈だ。
以下、「積分を特徴付ける3つの性質〜測度を定める汎関数」より大まかに纏めます。
その前に、”積分”とは1つの実数値関数(関数の値(値域)が実数値のみの関数)に対し、1つの実数を対応させる”決まり”がある”事を最初に認識する必要がある。但し、変数の値(定義域)も関数の値(値域)も実数のみの関数を”実関数”と呼ぶ事に注意する。
上述した定積分で言えば、区間[a,b]上の1つの関数f(x)に対し、定積分∫[a,b]f(x)dxという1つの実数が対応する。また、この様な決まりを満たす関数を”汎関数”と呼び、この様な1対1に対応する規則の事を”写像”と呼ぶ。
因みに、普通の関数は変数(定義域)から変数(値域)への対応で、その変数とは数を要素とした集合だったが、汎関数はその変数がに(変数に対応する)”関数から関数への対応”に相当する。上の例で言えば、∫:[a,b]→R(実数)に対し、g=R(x)=∫[a,b]f(x)dxと定義すれば、g:R(x)→Rとなり、gは関数fを変数(定義域)とする汎関数となる。
故に、積分の本質を認識するには、実数値関数や写像や汎関数の意味を理解する必要がある。
ルベーグ積分の基本
更に結論を急げば、積分とは(以下の様な条件を満たす)写像の事と言える。
例えば、Eを集合Xで定義された実数値関数の集合とし、次の条件を満たすとする。
①f(x),g(x)∈E⇒任意の実数a,bに対し、af(x)+bg(x)∈E
②f(x),g(x)∈E⇒max{f(x),g(x)}∈Eかつmin{f(x),g(x)}∈E
③f(x)∈E⇒min{f(x),1}∈E
但し、max{f(x),g(x)}はxに対し、f(x)とg(x)の大きい方の数を対応させる関数で、min{f(x),g(x)}はf(x)とg(x)の小さい方の数を対応させる関数とする。
そこで、上記の3条件を満たす関数の集合をX上の”初等関数族”と呼ぶ事にする。
ここで、集合X上の実関数の列f₁(x),f₂(x),…,fₙ(x),…が各点xでnに沿って増加しながらX上の関数f(x)に収束する時、fₙ(x)↑f(x)と書き、f₁(x),f₂(x),…,fₙ(x),…が各点xでnに沿って減少しながらf(x)に収束する時、fₙ(x)↓f(x)と書く事にする。つまり、fₙ(x)↑f(x)とは各点xにて、fₙ(x)≦fₙ₊₁(x)かつf(x)=lim[n→∞]fₙ(x)となり、fₙ(x)↓f(x)とは各点xにて、fₙ(x)≧fₙ₊₁(x)かつf(x)=lim[n→∞]fₙ(x)となる。
従って、この記法の下で以下の「ルベーグ積分の定理」が成立する。
[主定理] 集合X上のある初等関数族Eで定義された実数値汎関数Tが次の3条件を満たす。
[T1]各点xでf(x)≧0であれば、T(f)≧0。
[T2]T(f+g)=T(f)+T(g)。
[T3]各点xでfₙ(x)↓0であれば、T(fₙ)→0(n→∞)。
また、この時TはX上の測度μ(ミュー)を用いてT(f)=∫ᵪf(x)μ(dx)の様に、ルベーグ積分の形で表せる。
一方で、高校で学習する”連続関数に関する”リーマン積分(定積分)は、微分の逆演算と解釈すれば、高校の範囲で学習可能であるが、リーマン積分は極限操作に弱く、lim[n→∞]fₙ(x)=f(x)の様な関数列:f₁(x),f₂(x),f₃(x),…に対し, かなり強い条件を課さない限り、lim[n→∞]∫[a,b]fₙ(x)dx=∫[a,b]f(x)dxの様な基本的な等式が得られない。
言い換えれば、リーマン積分はほぼ連続な有界関数に限定され、積分範囲も有界な閉区間しか許されない。但し、”有界”とは”無限遠にまで飛ばない”事をいう。
この弱点を克服すべく、優秀な多くの数学者が考察を重ね、最終的にアンリ・ルベーグ(仏)が新たな積分論を築き上げ、∫ᵪf(x)μ(dx)がリーマン積分の様に定義された。
実際、ルベーグ積分ではリーマン積分の極限操作に関する弱点が克服され、例えば、ν(ニュー)を集合X上の測度とする時、(νに関して積分可能で)fₙ(x)↓0である様な関数列に対して、lim[n→∞]∫ᵪfₙ(x)ν(dx)=∫ᵪ0ν(dx)=0となる事が、ルベーグ積分の「優収束定理」から導かれる。
また、各点xにてf(x)≧0⇒∫ᵪf(x)ν(dx)≧0となる事、及び、∫ᵪ{f(x)+g(x)}ν(dx)=∫ᵪf(x)ν(dx)+∫ᵪg(x)ν(dx)である事もルベーグ積分の基本的な性質として成立する。
(勿論厳密な証明が必要だが)、この事実は”[主定理]の3つの条件(T1~T3)が写像Tが積分で表される事の必要十分条件である”事を意味する。
この事実を簡単に言えば、”積分とは関数に対して実数を対応させる写像で、ルベーグ積分の条件(T1~T3)を満たすもの”の事となるし、逆を言えば、”ルベーグ積分とは条件(T1~T3)を満たす写像の事だ”というだけで終わるが、そんな単純でないのが高等数学である。
故に、これだけでは積分論の本質を理解したとは言えず、実際の積分計算ができないのも事実である。
そこで、ルベーグ積分の世界にいま一歩踏み込んでいこう。
以上、富山大学理学部のHPからでしたが、参考文献として、「確率論」(伊藤清 著)を挙げられてますが、実解析学から見た積分論は純粋数学から見たそれよりも斬新に思えたし、スンナリと頭に入ってくる様に感じました。
というのも、多くのルベーグ積分の著書では先ず測度(測度空間)を説明して、そこからルベーグ積分の定義に突入する傾向が多い様に思います。しかし、ここでは高校で学ぶ定積分から始めて積分論の本質に触れ、それから測度論に向い、ルベーグ積分の本質を解き明かすという形をとってるみたいです。
勿論、(ガチの数学みたいに)定義や定理に拘るのも悪くはないんですが、確率論や経済学などの実解析学から見た積分論というのもアリかなと思いました。
少し長くなったので、今日はここまでです。次回の後半では、再び同HPを参考にして、ルベーグ積分の定義に向かう事にします。
こうした高度な確率論を具現化する為の道具として測度論(ルベーグ積分論)に注目が集まってきてます。
例えば、確率と期待値の関係で言えば、測度論と積分論の世界に置き換えると、測度の構成とルベーグ積分の定義し相当するとされてますね。
従って、現代の確率論が積分論と結びつく事で豊かで広大な景色が広がったとも言えましょうか。
伊藤清氏は、1942年に確率微分方程式を導入し、確率解析の基礎を築いた事で著名な数学者である。
例えば、放射性元素の崩壊で、まだ崩壊していない原子核の個数N(t)は整数値である筈なのに、物理学ではその時間微分を考えて微分方程式を立てる。これは数学では理解不能であり、伊藤氏は確率過程として定式化すべきだとした。
伊藤氏が提示したのは確率に対する微分方程式で、時間tは連続な変数として扱う。だが、物理学ではこのtは”シュレディンガー波動関数”の変数tではなく、観測上で波束の収縮が起こる巨視的な時間tであり離散的変数と言える。
つまり物理学では、こうした連続変数と離散変数の差異を微分方程式で近似しているのだろう。
伊藤氏の確率微分方程式の確率過程に
関する積分の計算法は「伊藤の公式(補題)」と呼ばれ、その応用が金融工学のブラック・ショールズ方程式であり、ショールズはノーベル経済学賞を受賞し、それが伊藤氏の第1回ガウス賞に繋がったとされる。
これだけでも、日本の数学史を代表する偉大で稀代な応用数学者である事が判る。
それは測度を備えた集合であり、確率空間を定義域とする関数と見れば、ルベーグ積分は集合を定義域とし、(次回でも紹介する)集合関数を値域とする積分ですから、確率変数をX軸に期待値をY軸にした関数の積分とみなす事が出来ますね。
そう考えると、測度は確率を数学的に捉え、確率の構造を仲立ちできる道具とも言えます。
つまり、測度論には確率空間上で定義された関数としての側面と、確率構造を値に置き換える側面があると言えます。
故に、ルベーグ積分を用いた確率分布や期待値の計算が可能となります。
測度論により確率を公理的に定式化する為に、偶然性を区間(0,1]上の例で考えますが、これにより無限試行が一挙に記述でき、確率が長さにより表される様子を見て取れる事から、関数列として表現する事が可能となります。
具体例としては、ランダムウォークやその延長線上にあるブラウン運動が挙げられますが、こうした現象が測度論(積分論)によって記述できる訳です。
以上は、「確率論」(岩田耕一郎)を自分なりに大まかに纏めたつもりですが、これだけでも測度論と確率論の密な繋がりが理解できそうですね。
小難しい記事に、コメント有り難うです
水車のまわのを見て巡回群を理解し
正12面体を廻して非可換群を理解したとの伊藤氏のエピソードには驚かされますね。
こうした群論を例にとっても
我々は先ず群の公理から出発し、有限群の群表を前にし、公理を満たす事を1つ1つ調べ上げ、部分群や正規部分群や商群へと進み、更には可換群や巡回群と特殊な群に到達する。
故に、現代数学では”一般から特殊へ”つまり”具象から抽象へ”と進むのが主流ですが、私の数学ブログもその流れです。
”色即是空、空即是色・・”の般若心経に喩えて、伊藤氏は数学でも具象(色)と抽象(空)は同時に考察すべきであると論じてます。
結果、抽象の元となる具象を軽んじて抽象論に没頭し、抽象数学は衰退の道を辿りました。
言い換えれば、数学の空ばかり見て、色(景色)が見えなくなった。
つまり、数学者は数学の景色を見つめる必要があり、従来の抽象論とは異なる新たな具体論の視点で、数学の景色を空から見つめる必要がある。
従って、空と景色(色)がそうである様に、伊藤氏はらせん状に具象と抽象が相まって深化する様を説いてます。
確率論が測度論という道具を使う事で、現代数学が金融工学や経済学と結びつく辺りは、数学史の流れを感じますが、数学の世界も景色と空が絡み合って出来てるんですよね。
色々と勉強になります。
スティルチェス積分が関数で
ルベーグ積分が集合で
ってことでいのかな(@_@)
でもそんな単純じゃないわよね
模範解答そのものですよ。
定義域が実数から関数へ、そして集合へと拡張し、一般化されてますから・・
こうした抽象的な積分論は、リーマン積分の厳密な定義を理解するよりも、ルベーグ積分に慣れた方がずっと理解しやすいですね。
でも随分と数学的思考に慣れてきましたね。
若いだけあって、飲み込み早いです。
感心!感心!
直感で言えば、確率変数は確率的な現象を記述するための変数となるが、数学的には単に確率空間上で定義された関数にすぎない。
ただその関数で記述できる集合の確率を考える上で、その関数は事象である必要がある。
つまり、お行儀の良い可測関数である必要があるのだろう。
それには、集合の要素の数が測度として計算可能になる可測集合という概念の理解が必要になる。
確率変数から生成される可測空間上の集合族を定義する訳ですが、ここら辺から難しく抽象的になる。
どうしても堅苦しい定義から進めると抽象的に複雑になりますね。
次回でも説明するつもりですが、少しだけネタバレします。
”集合族”がルベーグ測度が定義される集合の全体(ルベーグ積分の定義域)がある条件を満たす時、完全加法族(σ加法族)と呼びます。
そこで、集合V(⊂X)に対し、μ(V)=#(V)=”Vの要素の数”とおけば、μはX上の測度になる。
更にX=R(実数)の時、X=R上の測度mを区間I=[a,b]と見て、m(I)=b−aとすれば、”ルベーグ測度”となる。
つまり、ルベーグ測度は集合の数を距離に置き換えたものと考えれば、理解はスムーズになりますね。
「確率論」(伊藤清 著)では、こうした具体例を上げて、抽象的な測度論(積分論)を説明されてるので、とても助かります。
短冊型の長方形を極限にまで細くして、関数と閉区間に囲まれた全体の面積を近似して求める事だけど
そのアプローチの仕方がリーマン積分とルベーグ積分では全く異なる。
リーマン積分では定義域をタテに分割して近似するが、ルベーグ積分では値域をヨコに分割して近似する。
これはタテ積分では不連続過ぎる関数には対応できなくなり、ヨコ積分の方が不連続な関数にも対応できることを意味する。
つまり、定積分の基準となる閉区間よりも自由な可測集合が扱える。
これはタテ分割が関数の値の大きさにより制御できることを意味し、集合と測度を結びつける事で自由度の高い積分が可能になるんだろうね。
という風に、巧く置き換える事でリーマン積分の自由度を高めたのが、ルベーグ積分とも言えますね。
先ず、積分とは関数fが作る面積の事ですが
リーマン積分をリーマン和で近似すれば、∑ₙf(ξₙ)|Δxₙ|の極限で定義されます。
これは関数fの高さf(ξₙ)とそれに対応するfの逆写像Δxₙを掛け、それをfの値域全体に足し合わせ、関数fが作る面積を求める操作となります。
一方、ルベーグ積分は単関数fの近似に対する和∑ₙaₙμ(Vₙ)の極限として定義され、aₙはfの高さ、Vₙはそれに対応するfの逆写像、μ(Vₙ)を測度と呼び、その測度を使い、Vₙ上の図形の面積を求める操作となります。
そこで両者共に、高さとそれに対応する逆写像の掛け算という積分の構図となる。
つまり、逆写像によって面積を求めるという点では、積分と測度は同じものと言えますね。
ただ、その積分を測度に置き換える過程がややこしく抽象的なんですが・・・