前回「その2」では、初回の補足を兼ねたおさらいと、類体論の元となる代数的整数論の歴史(前半)を述べました。 そこでまずは、代数的整数論の基本の基について簡単に復習します。 代数的整数αを有理数体Qに添加して得られる体をQ(α)で表すが、代数的整数とは通常の整数(有理整数)とは異なり、有理整数を係数とする代数方程式で最高次の項の係数が1となる様な方程式の解となる複素数(実数 . . . 本文を読む
連日、バカみたいに暑い。こんなに暑いのは何時以来だろう?熱中症という言葉がこれほど賑わったのも何時以来だろうか? 我が柳川市も、熱中症警戒アラートの対象になってしまった。因みに、柳川市近郊の久留米市では”暑さ指数”が33度を超え、熱中症の”危険”地域になった。 暑さ指数(WBGT=湿球黒球温度)とは、人間の熱バランスに影響の大きい”気温 . . . 本文を読む
前回「その1」では、高木貞治氏の研究の中核をなす”類体論”と、その基本定理である「高木の存在定理」について述べました。 自分では、結構掘り下げて書いたつもりですが、見れば見る程に穴がある。寄せられたコメントにも、それらを補足するものが目立つ。 そこで、前回のおさらいを兼ねて、「数の概念」と「近世数学史談」(共に高木貞治著)の解説を参考にし、類体論とその「存在定理」を振り返 . . . 本文を読む
Gooブログの「今日のテーマ」に”今週の予定は”ってのがあるが、仕方なく”類体論について纏めたい”と偉そうに書いた。だが実は、既に大半を書き上げていたから、何もやる予定はなかったのだ。 つまり、仕事以外では何の予定も入ってない。そもそも仕事自体は予定ではないし、嫌々ながら仕方なくやってるだけの事である。もっと言えば、暇潰しにもならない。 一方で、ブ . . . 本文を読む
「不可能の証明」の第3段階に入る前に、前回「その6」の[STEP2-2]で証明した様に、元の5次方程式y⁵−ay⁴+by³−cy²+dy−e=0―①の解yが、y=p+p₁・ᵐ√R+p₂・ᵐ√R²+⋯+pₘ₋₁・ᵐ√Rᵐ⁻¹―②の形に展開できる事を、3次方程式の例を上げて説明します。 「 . . . 本文を読む
計算と数学の違い ギリシャの偉大なる数学者プラトンは、”計算と算術(数論)は全く異なるもので、算術は誰もが出来るものではない”と言い放ち、若き天才ガロアは”計算の上を行く数学”を唱えた。 多くの人は、”算数の延長上に数学がある”と思い込んでいる。勿論、間違いではない。 が厳密に言えば、算数は計算で正しい答えを出す事を目的とする . . . 本文を読む
前回「その5」では、証明の第1段階のおさらいも兼ねて、詳しく丁寧に説明しました。 アーベルは証明の第1段階で”yを表す為に必要な全てのべき根ᵐ√R,ᵐ√R²,…,ᵐ√Rᵐ⁻¹が、最初の5次方程式の解y₁,y₂,…の有理式となる事が示せれば、「不可能の証明」を完了させる事は難しくない”と主張 . . . 本文を読む
前回「その4」では、アーベルの不可能の証明の第1段階を紹介しましたが、一気に進みすぎたので、今回はその補足として、1つ1つ解説しながら振り返りたいと思います。 前回とダブる所が多々あるとは思いますが、悪しからずです。 アーベルの証明には、”解を添加する”という言葉が最初に登場する。 これは四則演算で閉じた体をFとし、それに新しい要素γを追加した時、Fの元と&g . . . 本文を読む
前回「その3」では、5次対称群と5次交代群と5次方程式の可解性との繋がりを、正12面体を使って証明しました。 ガロアが方程式のガロア群により代数的非可解性を証明したのとは対照的に、アーベルは方程式の可換性に着目し、非可解性の証明にこぎ着けました。 勿論、”可換な解の対称性”という視点では両者共に共通してますが、ガロアこそが解の置換を方程式の群として論じた最初の人物でした。 . . . 本文を読む
前回「その2」では、ガウスの代数的非可解性の”例外”を一般化しようとしたアーベルですが、ガウスの円周等分方程式をヒントに、”アーベル方程式”を発見しました。 アーベル方程式とは、重根を持たないn次方程式の解x₁,x₂,x₃,…,ₙにて、xₖ=Φₖ(x₁)、k=2,3,…,nと、xの有理式で書けるとし、任意のi,j . . . 本文を読む