日本に来たカルロス•ゴーンをひと目見た時、どう贔屓目でも”中東のマフィア”にしか見えなかった。そして今、その予想がピタリと当たった。
これほど愉快な事はないし、これほど恐ろしい事もない。
レバノンに逃亡したカルロス•ゴーンの天下を取った様な?記者会見は、故郷のレバノンをはじめアラブ諸国でも大々的に報じられてるが、それを上回る衝撃的な報道が登場した。
それは、ゴーンの実父のジョージ•ゴーン(2006年死亡)が、密輸にからむ殺人事件を起こし、その後いくつもの事件で死刑判決を受けていた、というものだ。
ドバイのアル•アラビーヤ放送が報じた所によると、フランスのオプセルヴァトゥール(L’Obs)の東京特派員レジー•アルノー記者が、カルロス•ゴーンの人生にせまる「逃亡者」という本を2月5日に発売する。
その本の中でゴーンが6歳の時、父親のジョージが犯した殺人事件に触れてる事が明らかになった。
この報道が100%真実なら、ゴーン被告の逃亡劇よりも実父の人生の方が、ずっとハリウッド映画のネタになる程の”華麗なる逃亡劇”ではある。多分、100%により近い真実でしょうが。
以下、ForbesJapanから一部抜粋です。
父ジョージの華麗なる逃走劇
アルノー記者の本を事前に入手したクウェートのアル•カバス紙によると、事件が起きたのは1960年4月17日。レバノンの村の路上で銃殺された死体が発見された。
被害者は、ボリス•ムスアド神父。3日後に5人組の犯人グループが逮捕。その一人が、当時37歳のジョージ•ゴーン氏だ。ダイヤモンド•金•外貨•麻薬の密輸業者であり、ジョージは検察官の取り調べに対し、”ただの脅しが最悪の結果になった”と供述した。
ボリス氏は、レバノンの山岳地帯で羊飼いから神父になった苦労人で、その神父にジョージは密輸を依頼する。儲けたカネを分け合う関係だったが、”神父の欲深さに腹を立て、脅して殺害した”と、ジョージは供述している。
事件当時、息子カルロスは6歳。父親は殺人で逮捕されるが、その後更なる驚きの犯罪が発覚する。
バアバダー刑務所に送還されたジョージは、看守たちに賄賂を配り、刑務所のドンとなる。昼間は刑務所外で過ごし、夜は刑務所に戻る形で、賭博所で看守や囚人たちをオモテナシてたという。
逮捕された同年の8月4日、仲間11名が逃亡を計画。ジョージは逃亡に加わらなかったが、脱獄に失敗した仲間が衝撃的な供述を行う。それは、ジョージがバアバダーの地方検事、予審判事、刑事裁判所長の殺害計画をもちかけてたというのだ。
これにより、ジョージ•ゴーンは死刑判決を言い渡される。
しかしジョージは模範囚となり、15年の禁固刑に減刑。出所したのが1970年。ところが、刑務所から出所した4か月後にまた逮捕。実は3万4000ドルもの偽札を所持してたのだ。お陰で再度15年間の禁固刑に処される。
3年後、刑務所内で自殺未遂事件を起こしたがチャンスが到来。1975年初頭のレバノン内戦の混乱に乗じ、ベイルート脱出に成功したのだ。その後ジョージは、ブラジルのリオデジャネイロに逃げ、ビジネスに成功し、2006年に死亡した。
何故?今になってこんな報道が?
これまで敏腕経営者としてのカルロス•ゴーンにまつわる本は数多く出版され、本人も多くのインタビューで生い立ちについて語っている。しかしゴーンは、祖父母や母親については多くを語ってるが、父親については堅く口を閉ざしてきた。密輸•殺人•判事らの殺害計画や偽札など、その犯罪歴を考えれば、当然ではある。
実はこのジョージ•ゴーンの悪行は、今回初めて暴露された訳ではない。レバノン歌謡界の大御所で、”アラブの歌姫”と称されるサバハ(2014年死去)が既に自叙伝に書いてるのだ。
彼女が自叙伝でこの事に触れたのは、かつての恋人がジョージに殺されたボリス神父だったからだ。
今回、「逃亡者」を書いた前述のアルノー記者は、1960年代にベイルートで発刊されてたフランス語紙L’orientに掲載されていた殺人事件の記事に着目し、そこから丹念に調査を行った。
親の罪は子どもとは無関係なのに、今回アラブ社会で報道された背景には、アラブ諸国でのゴーンへの厳しい見方がある。
アラブ社会では、オーナー社長がワンマン経営で公私混同の好き放題をやるケースはよくある。しかし、ゴーンはオーナー社長ではなく、”雇われのくせに何勘違いしてんだ”という成り上りへのヤッカミがあるのだ。
勿論、辣腕経営者として尊敬されている面もあるが、低所得者層から見れば、”イスラエルに尻尾をふる億万長者”とか”レバノンを見捨てた男”と見られており、そうした庶民感情の暴露とも言える。
隠し続けた過去•成功•カネへの執着•元妻へのDV訴訟、そして今回の逮捕と逃亡劇だ。
まるで、松本清張が描く人間の現世欲や秘めた怨念の世界のグローバル版とも言える。
以上、Forbes編集部からでした。
悪は排除すべきか
ゴーンの父ジョージは、ビジネスマンとしても犯罪者としても一流だったかも知れない。
しかし息子のカルロスは、所詮は”雇われ”である。犯罪者としては一流であっても経営者としては三流とはこういう事なのか。
しかし、こういった悪の遺伝子の伝承をまざまざと見せつけられると、粗悪な人間の欲望が如何に巨悪な犯罪に繋がるかを教えられた気がする。小さい頃の貧しさの経験と記憶が、飽くなき上昇欲•金銭欲•権力欲に向かわせたとしてもだ。
しかし、”平和に群がる”日本人はゴーンの事を日産の救世主だとかコミカルでユニークな敏腕経営者だとか大きく持て囃した。故郷のレバノンですら、”雇われ社長”と見下されてるカルロスをである。
日本人は日本人の感覚でものを考え、判断しすぎる所がある。”日本人は礼儀正しく勤勉である”といった誤った意識と記憶が、日本中に感染してる証拠でもあろうか。
日本人は日本人が思う以上に、礼儀正しくも勤勉でもない。ひょっとしたらアジア諸国の中でも低い方かも知れない。
それがいい例に、ゴーンの凶暴さすら殆ど見抜けなかった。ユニークなキャラと滑稽なイメージがメディアと大衆に大受けし、すんなりと日産の顔になった。
ゴーンに関する黒い噂は、来日する前からあった筈だ。それらすら探索する事はなかった。全く無防備のまま、獰猛な危険人物を招き入れた事になる。
日産の長年の腐った独裁体質を”殺戮のDNA”で浄化したと言えなくもないが、それを言えばトヨタの体質はもっと腐ってるだろうか。
人間も企業も政治家も生モノも、腐ったらすぐに排除すべきである。お金はナンボで浄化できるが、腐った生モノは捨てるしかない。
そういう意味では、ゴーンを故郷のレバノンへ捨て去ったのは全くの正解だったかも知れない。
ゴーン•ウイズ•デッド
アメリカがゴーンをGM再建の”雇われ社長”として招き入れなかったのは、表向きは”能力や資質に疑問あり”という事だったが、黒い噂と凶悪犯のDNAを既に見抜いてたからだろう。能力や手腕は最初からどうでもよかったのだ。
悲しいかな、ゴーンの運命はこれで幕を閉じる事になるだろうか。フランス、東京、ドバイ、クェートと、この衝撃の記事を提供した国がこれだけいるという事は、もはやレバノンでもゴーンは孤立無援という事になる。
”Gone(Ghosn) with Dead”
今のゴーンに、日本から掛けれる言葉はこれしかない。(注)表題の”Ghosn is Dead”と混同しないように(^^)
今の時代、人間の能力や才能や手腕は、単なる結果や数字やパッと見の印象だけで判断され、評価される。
しかし、いくら有能な逸材?でも、幼少時をアマゾンの密林内で育った単なる”DNA的化け物”だったら、当然排除すべきである。
かつてのゴーンが、多くの社員や下請けを非合法的&暴力的なやり方で排除したように。
そういう事も、賢く安全に生きる為の礼儀正しさの一つではないだろうか。
ドラマ化したいですよね
アマゾンの奥地から這い出てくる
猛禽類系のゾンビっていう設定で(^^♪
そんなことが気になったりしています。
”愚者の様に生き愚者の様に死す”という諺がありますが、ゴーン父子の場合、ゾンビの様に生き、ゾンビの様に死すですか。
ゴーンが日産を再建した時、旧来の腐った経営陣や役員を排除した事が大きな評価になったんですが。何の罪もない現場の社員や下請けをも一方的に排除しました。
この責任が一番重い罪の筈なんですが、この”暴力的排除”に関してはメディアでも殆ど騒がれません。そういうのも含め、地検や日産や被害にあった元社員の弁護士らはどう動くんでしょうか。
裏金を撒かれ、ハイそれで終りという最悪の結果だけは避けたいですが。
ゴーン親子を見ていると、オウムの教祖麻原とその子供たちを連想することができます。両親が逮捕されたあと子供たちがカルロス・ゴーンと同じような人生を歩んでしまうかどうかが心配です。
こうやって殺戮と犯罪の遺伝子は色濃く継承され、第二のゴーンや第三のゴーンが作り出されるんでしょうか?
考えるだけでゾッとしますね。