モンローの物語もこれで終りです。四回に分けて、彼女の全てを紹介したつもりですが。とても彼女を語り尽くす事は不可能だと思い知らされました。偉大な人物ほど、その闇は深遠なんですな。
夢で出会ったら聞いてみたい程です、何時が一番幸せだったか。アーサーミラーと結婚した、あの瞬間だったとは思いますが。この記事は1月6日に載せたんですが、結構修正をしたので、日付を最新にしてます。
身長166.4cm、体重53.5kg。スリーサイズはB94 W61 H86。靴のサイズは、24.5cm。アメリカの女性にしては、小柄な方ですね。日本人とそんなに変わらないサイズです。こんな小さな身体を資本に、彼女は精一杯生きたんです。36年の人生をです。
ディマジオは、生涯モンローへ愛情と忠誠を尽くしたと言われますが、一方通行的な、自分本位の身勝手な愛では、女を幸せにするどころか、不幸にしてしまう典型でもあろうか。彼女がディマジオの子供を身籠った時、敢えて堕胎したのは、有名な話です。
男だから、どうしても無教養で無学なディマジオには辛く当たりますな(笑)。
第3話で、モンローの取り巻きが悪過ぎたと述べたが、ハリウッドや精神科医の博士らも必死で彼女を更生させようとしたのも事実。イブモンタンやマーロンブランドらとの素晴らしい交際にも恵まれた。
オフィシャルの解説にも、"モンローも、フランクシナトラ、そしてケネディ大統領と接近するに及び、身辺に黒い影が落ちてくる。特に、大統領のジョンF、司法長官のロバートの女性癖は大胆だった。
彼らはあえて隠そうともせず、モンローと関係していく。この事こそが、ケネディを憎むマフィアに格好の攻撃材料を与えることになった。ようやくロバートが、危機に気づいた時にはすでに遅く、情緒不安定で薬漬けのモンローは別れ話に素直に応じる理性を持ちあわせていなかった"とある。
この様に、ディマジオの友人であるフランクシナトラとの交際が高く付いたのは確かだ。彼こそが闇社会と深く結び付いてたのだ。結局、これが彼女の崩落を加速する起因になったのでは。シナトラとイタリアンマフィアとの繋がりは有名で、ケネディ暗殺の時も疑われた程です。
しかし、もしアーサーミラーと結婚した時、女優業から足をサッパリと洗い、政治家に転じてたら、モンローの運命は大きく変ったろうか。彼女は政治にも興味があり、共和党の党員でもあった。
それに、赤狩りで窮地に追い込まれてたミラー氏を弁護する、彼女の才気煥発な弁舌は、非常に説得力があり、政治の才も備えてたという。政治家のモンローを見たかったと、思うのは私だけだろうか。
この本を読み終えてしまった後、彼女があれ程までにケネディ兄弟、特に、ロバートに執着したのは、彼と結婚したかったというより、政治家になりたかったんではと勘ぐってしまう。
皮肉にも、そのロバートの指図で殺された疑いが強い。ケツの穴に睡眠薬を突っ込み、自殺と見せかけた訳だが、逆に足が付く結果となる。
ただ、そのロバートもケネディ同様、モンローによって骨抜きにされてた可能性も捨て切れない。全く、謎が謎を生みますな。
彼女が殺された原因として、全てを知り過ぎたという事が挙げられるが、モンローが残した赤いメモ帳と闇社会との交際は、ケネディ兄弟を脅すというより、政治家になる為の最後のカードではなかったか。
ケネディとの交際は彼女の年齢からしても、単なる遊びだったと思う。それに、ロバートとの結婚を望んでたとは、到底思えない。老いたモンローも自らの醜悪さには、本人が十全に知り尽してたはずだから。
故に、或る意味、ケネディ兄弟の勘違いが、モンローを死に至らしめたと言えなくもない。彼女の性の暴走というより、ケネディ兄弟の悍ましい性への錯綜がモンローを破壊したと言えなくもない。600頁を超える、この完全無比なルポルタージュを読み終えて、そういう思いが一層強くなる。
性や美を武器にする事が、如何に怖くおぞましい事であるかを、教えてもらった気がします。それに、女性を極端な性や美の対象にする事も。
モンローの性の底知れぬ躍動と歪みは波動となり、時空を歪め、世の男達を、そして時代をも支配したと言えますね。
錯綜した性が歪む程に、狂乱した情欲が剥き出しになる程に、その魔力は底なしになる。それは、彼女の大きな武器でもあり、致命傷でもあったのです。
ルポルタージュは、対象となる人物の本性と本質を等身大に描くから、大きな物議を醸し出す。この作品もその典型で、個人的にはもっと評価して欲しい本です。性の残忍さを悍ましさを忠実に描いてるが故、酷ではありますが、特に若い女性に、絶対に読んで欲しい位です。
著者の2年を掛けた執念と執着は、モンローの全てを占有したいという、男の絶大なる性の欲望のなせる技ではと。その気持、男としてとても理解できます。
『モンローとディマジオ』で、彼女の人としての偉大さと、女としての優美さ、それに神の様な慈悲に満ちた優しさを知った私にとって、モンローは崇高な理想郷に佇む女神に映ったものです。
私は、この本が下衆だとは思わない。寧ろ、美しいと思う位です。人間の本性や強欲なんて、これに比べたらずっとずっと恐ろしいもんです。ゾラやバルザックが好んだ、闇に光を当てる事で真理を呼び覚ますとは、よくある事で、この本もその典型ではです。
という事で、アンソニー•サマーズに感謝!感謝!です。
だから誰をも愛して、誰をも愛さなかった。
彼女は、個人としての幸せの尺度を超越した人だったのでは?
だから、いつが幸せだったとか言えないと思います。
お孫さんとても可愛かったです。それに、絵もピアノも字も上手なんて、凄い多才ぶりですね。典型の芸術家タイプですかね。でも、直ぐに腕白になるから、心配ないですよ。
モンローの死に関しては、実に様々な見方がある。私はロバートの指図で殺したのではと思う。ロバートとモンローは本気だったと思う。
確かにケネディー兄弟は無能かもしれないが。危機意識はあったと。大統領のジョンに諭され、モンローが切れたのか。そのモンローもカッとなり、言ってはいけない事を口にしたのでしょう。意外に単純な理由かもしれません。
全く考える程に、判らなくなってきます。マフィアが殺したとされるが、彼らはそれほど単純じゃないだろうに。という事で、CIAの線が一番強いかな。
当時はCIAとマフィアは繋ってたから、でもかなり酷く殴られた痕があり、見るも悍ましかったと。アメリカ大統領の女癖の悪さは定番だから、こればかりは、どうしようもないですね。