最近落語をよく聴きに行く。
もともと落語に興味はあったけれど、
足繁く通い始めたきっかけは
個人宅で隔月に開かれる落語会に伺うようになったこと。
それからは気になる噺家さんの独演会に行ったり
中規模ホールで開かれる落語会のイベントに行ってみたり。
先月、初めて浅草演芸ホールに行く機会を得た。
二ツ目の三遊亭遊七さんのご案内ツアーで、
11時から4時半まで、マジックや漫談や紙切りもはさみ
13人の噺家さんが次から次へと高座へ。
桂宮治師、春風亭昇太師、三遊亭小遊三師と
笑点でもお馴染みのメンバーも登場。
これで3,500円って、安すぎでしょ!?
(夏の特別興行だから普段の500円増し。つまり、いつもは3,000円)
遊七さんとお茶する時間があったので、
色々お話を伺った中で印象的だったことがある。
人気の噺家さんたちはもちろん全国で引っ張りだこだし、
独演会を開けば会場は満杯。
テレビ出演のお誘いもある。
でも、ギャラは少なくても演芸場の出演は大切なんだそうだ。
演芸場は10数人の噺家が順番に高座にあがるが、
事前にプログラムが決まっているわけではなく、
何を話すかはその日、その場で決まるのだそう。
前に出た演目はかけられないし、内容も似たものは出せない。
後ろに行けば行くほどレパートリーの豊富さも要求されるし
機転の利いた話し方が必要になってくる。
どういう情況でも対応できなければトリにはなれないし、
それが真打ちというものなのだ、と。
なるほど、どんな世界でも参考になる話だと思う。
茶人もおなじように15年もやっていれば立派な真打だ。
そこまで来れば、自分の主催する茶会では自分で茶譜を采配できる。
自分の好きな茶葉を自分の好きなように、好きな順番で皆さまにお出しする。
それはそれで、とても美味しい素敵な茶会になるだろう。
でも、敢えて自分では普段使わないであろう茶葉や茶器を工夫する機会もあった方がいい。
今年の初め、とあるお茶屋さんの主催の茶会で
お茶を淹れさせていただいたのだが、
支給された茶葉は自分だったら茶会で選ばないタイプのものだった。
美味しいけれど、これというインパクトやストーリーがない。
あれこれ考え、どうにかこうにか25分の持ち時間で
この茶葉のパフォーマンスを披露することができた。
他の茶席とのバランスや相性も考えなくてはならず、
昔エコ茶会の茶席で毎年培った感覚が戻ったような気がした。
貴重な体験だったと思う。
だから、駆け出しの茶人はなるべくたくさんの茶席経験を積んだ方がいい。
それも、独演会ではなく、演芸場タイプで。
もちろん、ベテランの真打茶人でもその感覚は忘れないように心がけたい。
どんな茶葉でも臨機応変に。
自分の好きなお茶ばかり淹れていては真打ちとは言えないのではないだろうか。
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