今回紹介するのは日本文化史・茶道史の第一人者、熊倉功夫氏の『
茶の湯日和―うんちくに遊ぶ』。
新刊の単行本であるためちょっとお値段が張ること、
どちらかと言えば茶の湯にある程度親しんでいる人のほうがより楽しめるであろうことを
最初に断っておきます。
とは言え茶道の初心者にとって難解なわけではありません。
日本の文化、日本の言葉の源流をたどり、
そこに隠された伝統や知恵をわかりやすく読み解いてくれるエッセイです。
知的でありながらも謙虚なお人柄が表れた文章で
こういう先生の講義を一度聴いてみたいなあと思います。
特に我が意を得たり、と思ったのは
『○○の品格』と題した本が嫌いだというくだり。
「茶の湯には・・(一部省略)・・不足の美が発掘される場面は多いでしょうが、
一番大切なのは、人間として不十分だという自覚です。
それを思えば他人の品格など、とても論じられません。」(本文から一部抜粋)
私も自分のことを思えば人の品格などとても語れませんし、
そういう題名の本も好きにはなれません。
『○○の品格』の本についてはひとつ思い出があります。
かれこれ3年ほど前になりますが、息子が通っていた高校の保護者交流会でのこと。
国語科のある先生が挨拶の時に『○○の品格』の本を持ち出し、
とても面白い本なので保護者の皆さんお読みください、とお話されました。
その直後に挨拶に立った校長先生は「品格などという題名の本は私はどうかと思います」と反論し
いつもの穏やかさとは違う面を見せられました。
先の先生も校長先生もとても仲が良いのでざっくばらんな応酬となったわけですが、
私はこの件に関しては校長先生派でしたね(笑)。
結局その後、検証するために『○○の品格』を購入して読んだので
国語科の先生の意図するところとなってしまいましたが。
今日の午後のお茶は
教室に通ってくださっているYさんからいただいたプーアル茶頭。
お茶請けは自家製の金柑の甘煮。
明日は東日本大震災からちょうど二年。
あの日、あの時の恐怖と混乱がよみがえります。
被害に遭われた方々へ心よりお見舞い申し上げると共に
亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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