ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

今週のセイザーX・今日はマジメに語ります

2006-06-17 14:22:06 | 特撮
泣けました。
不覚にも、超星神でマジでウルっと来てしまった。

暗黒恐獣内部での拓人とブラックライオ(=ネオデスカル)の会話、あれに尽きますね。

皆が最初から『同じ』であれば、争いも諍いも初めから起きない。
けれどそれでは意味がない。皆それぞれ『違う』のが当たり前。『違う』者同士が、葛藤を超えて分かり合うことにこそ意味があるのだから。

60年前の隊長とじいちゃんの友情に始まり、『嫌いだった』という現代地球人を理解することでモノクロームの世界が色彩を取り戻して行くアドの描写、拓人とブレアードの奇妙な友情、戦い続けることしか知らなかったジャッカルの虚しさ、平和を訴えるサンダーラ……すべてが一点に集約される、一本太い背骨の通った気持ち良い脚本を久々に見ました。
これこそが、「セイザーX」のみならず、グランセイザーから続く超星神シリーズが三作かけて伝えようとしたことの集大成なんだと思ったら、マジで泣きそうになってしまった。

もともとグランセイザーの時から、何とかして単純な「勧善懲悪」ではないものを書こう、という意志は感じられました。
勧善懲悪ヒーローってちょっと角度を変えて見れば『異質な者を排除する』全体主義の物語になってしまうんですよね。そこを超星神では始めから、なんとかして『異質な者と分かり合う』物語を作ろうとしていた部分が確かにありました。
それでもヒーロー物自体手探りな状態の中ではなかなか上手く行かない感じで、グランもジャスティも最後には、分かりやすい悪役をスケープゴートにしてカタルシスを得る、という形にならざるを得なかった。
セイザーXが上手く行ったのは、最初に出て来た分かりやすい敵=三将軍とは和解し(それも安易なご都合主義にならないよう、十分に時間をかけて描写を積み重ね、説得力のあるものにした)、同時に最後に出て来た真の敵=ネオデスカルを、『異質な者を排除する』者、言ってみれば、従来の「正義」であった者の暗黒面を体現したキャラクターとしたことが勝因だったと思います。

あとはもう、『異質な者を排除する』存在であるネオデスカルを、異質な者同士が手を取り合った拓人たちが倒すだけ。
これで約三年間続いた超星神シリーズが一旦幕を降ろしてしまうのはとても寂しいことですが、でもこの終わりかたなら悔いはない、と思いました。
「やり切った!」という幸せな形で幕が下ろせるのではないかと思います。
世間から見ればマイナーだし、商業的にも苦戦して刀折れ矢尽きた感のあるシリーズでしたけど、私的には「見ててよかった!」と心から言える、そんな作品だったと思います。
このシリーズに出て来るヒーローたちは、揃いも揃ってバカばっかりだけど、皆ホントに一生懸命で輝いてるバカたちだった。
そして女の子たちは、ほとんど例外なくみんな男前でカッコ良かった。

あーもうまだ最終回1回残ってるのに何を言ってるんだろう私は。