ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

友を選ばばFOI(大輔編)

2010-09-12 21:27:00 | 日記

ルンバがサンバがチャチャチャが新しい朝を告げる
踊ったことのないリズム東京に朝を告げる
(「TOKYO LOVE」The BOOM from極東サンバ

そういう訳で。
なんて呼んだらいいんだろう、な大ちゃんの新SP。

実は私、このプログラムにあんまり「笑い」の要素を感じないんですよね。どうも、「黒いオルフェ」の印象が頭に残っているようで。「陰」の要素なんてどこをどうさがしても見あたらない底抜けに明るい音楽とダンスだけど、実はその明るさは普段の生活の苦しさを忘れたいっていう、現実の辛さの裏返しだったりするという。
そしてそれ以上に、黒人のとんでもないリズム感にひたすら圧倒される映画。あんなの、日本人には絶対に無理だと思ってたのに…やっぱり、踊っちゃうのねあなたは。

ラテン系の音楽は基本的にダンサブルなものだとは思うんですが、特にこれに使われる曲(特に後半で使われてる曲)は、なんか、座って黙って聴いてるのがアホらしくなるような曲です。「聴く」音楽じゃないでしょ。「踊る」ための曲でしょ。という感じで。
ちょっとムーディなゆったりしたリズムの前半から疾風怒涛の勢いでステップに突入して行く辺りで、そこがつるつる滑る氷の上だということを完全に忘れる(ボーンさんてこういう盛り上げ方上手いですね)。

まだ細かい部分で詰め切れてない部分があるのかも知れないけど、そんな事はどうでも良い(というか、競技で戦って行くことを考えると、振り付けてすぐに簡単にできてしまうようなものでは逆に困る訳で)。
シーズンの終わりにどんなダンスになっているのか、とても楽しみです。できれば東京で一緒に踊りたい。

***

そんな訳で新SPも良かったんですが、個人的には今回メンズナンバーを強く推したい。これ、もっと評価されても良いと思います。
プロデューサーDAISUKEとしても、ダンサーDAISUKEとしても。

基本的に「止め」の動きを多様するストリート系のダンスを、スケートの「滑る」動きに落とし込むのは素人が考えても簡単ではなさそうです。
加えて、フィギュアのファンは保守的なセンスの人が多そう(オペラとかバレエとか)なので、そういう人たちのお気に召すものではないかも知れませんが。
個人的には、今回一番の見物でした。
フィギュアスケートって、本来バレエ的な表現だけでなく、ジャンルにとらわれずにいろんな事が表現できるもののはず。
にも関わらず、今、一番新しいストリート系のダンスのかっこよさを、ここまで『Cool』に表現したものは、私は今までほとんど見たことがありませんでした。

まあ、あの「HipHop白鳥の湖」でさえ「なんちゃっては恥ずかしい」という理由で当初は気が進まなかったという大ちゃんですから、「ダサいものは絶対に見せられない」という決意もあったことでありましょう(笑)。

企画を成功させるのに必要なのは「ヒト・モノ・カネ」。中でも重要なのが「ヒト」の要素でございます。こういう時、普段からどういう「ヒト」と繋がりを持っているかがモノを言います。
今回、振り付けを手がけたのはプロのストリート系のダンサーの方という事ですが(千秋楽で大ちゃんから紹介されていました)、こういう、今までフィギュアに縁の無かったであろう人材を「こういうことがやりたい、じゃあこういう人が必要だ」で連れて来れるのもシゴトの才能なんですよね。

最近はプロの振り付け師でも、専門分野を持つ陸上のダンサーとコラボで振り付けたという話をよく耳にします。
今回のプログラムも、振り付けの原型をその道のスペシャリストであるダンサーの方に頼んでいますが、それを氷の上の動きに落とし込むのは当然大ちゃん自身が大きく関わっていると思います。
「本物の、ストリートのかっこよさを氷の上で再現してみたい」そんな大ちゃんの思いが伝わって来る、まさにCOOLなプログラムでした。

***

そして。
かつてあの「白鳥の湖」を踊ったくらいなんだから、「この手のダンスは一番踊れて当然だよね」と思われていた大ちゃん、見事に期待に応えて、期待以上のものを見せてくれました。

なんて言うか、いい感じに力が抜けてるんですよ。ああそうか、こういうのは力いっぱい、元気いっぱいじゃなくて、ちょっと抜け感があるのがCoolなんだなと。
そのくせリズムはばっちり合っていて、ピタ、ピタ、ピタとポーズが決まるのが気持ち良くて、何か変な脳内物質が出て来そう。しかもそのポーズがまたいちいちかっこいい。
見てて腰が抜けそうになる程かっこ良かったです。映像で見れるまで間が空くのが辛い。何回でも繰り返し見たいのに。

これだけのメンバーが集まる機会というのは他になかなかないかも知れませんが、是非いつかまたどこかで見たい、と思いました。

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そう言えば大ちゃん、プーマのTシャツの上から、この夏の彼のマストアイテムとおぼしき救命胴衣みたいなベスト着てましたね。ああいうのをさりげに私物として持ち込むところがなにげにツボだと思います。

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