ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

コンセプトでは夢を語れ

2010-09-18 23:17:00 | 日記
FOI(フレンズオンアイス)の話、ちょっとだけ続きます。
私これ毎年書いてるような気がするんですが、プロデューサーとしての荒川さんの仕事ぶりには毎年感服しております。
私も近頃本業の方で、小さいイベントの企画とか運営とかやってるんですが、大変ですよ本当に。やるのも大変だし、続けて行くのはもっと難しい。
FOIみたいな大きな企画を動かして、しかもそれを5年間続けてるのは本当にすごい事。周囲のブレインも優秀なのだと思いますが、そういう人たちを集めること自体が既にシゴトの才能ですから。
見習わなければいけないなあ、という気持ちと、正直真似できないなあ(笑)という気持ちの狭間で揺れながら楽しく見ています。

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何も考えずに目の前の演技や演出だけを楽しみ、あれがよかった、あの人がよかったというのも、ショーの楽しみ方として何ら間違った所はありません。

でもこのFOIというショーを総括するなら、舞台の上に出てきたものだけでなく、その根底に流れているコンセプトを見ずして、このショーの本質は語れないと思います。

このショーが他とは違うこと。それはスケーター自らの意志で発案し、企画し、協力し合って創られたショーだということです。
それが「どんな意志によって創られたのか?」が分かれば、「何故こんなショーなのか?」もわかります。
そしてその「意志」がどんなものなのかは、誰にでも簡単に分かるはずなのです。だってショーの開演前、わざわざ字幕入りでアナウンスされてるから。

自分を育ててくれたスケート界に恩返しをし、これからのスケート界を担う子供たちに夢とチャンスを与えたい。
(うろ覚えですが意味はこういうことだったはず)

2006年、第1回のFOIは、今から思えば手作り感が強く、手探りでの開催だったことが伺えますが、その当時からコンセプトは明確でした。
あれから5年たってショーとしては年々グレードアップしていますが、このコンセプトがブレることはなく、当時の、仲の良い仲間が集まった和気藹々とした雰囲気も失われていません。

前のエントリーにも書きましたが、ひとつ事業を起こそうと思うと、必要になるのはヒト・モノ・カネ。
でもその前に、まずは夢を語る事って大事なんだなと、このアナウンスを聞いて改めて思いました。

第1回のFOIが開かれた当時は、トリノ五輪の後の荒川ブームが続いていたから、ブームを利用すればヒトもお金も比較的楽に集まっただろうけど、ブームありきで集まった人たちはブームが終われば去って行く。
でも最初に夢のあるコンセプトを打ち立てていれば、夢に共感して集まった人が残ります。
5年経って出演者の入れ替わりもありましたが、独特の暖かい雰囲気が変わらないのは、単なる仲良しグループではなく、夢を共有している仲間だからかも知れません。

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厳しい競技生活に青春時代を捧げてスケートに打ち込んで来ても、フィギュアの選手生命は短い。でもプロスケーターとしてショーで滑るという世界があれば、競技生活を終えた後も華を咲かせることができる。人間、先の見えない中での努力は辛いもの。でも目標とする将来像をイメージできれば頑張れるというものです。
(昨今の発言や、ショーでの演技の充実ぶりを見るに、荒川さんて本当にアマチュアの頃からプロになるのを夢見てたんだろうなあ…と思います)
ショーの世界が充実すれば、そこを目指してアマチュアの世界も活性化するし、アマチュアの選手たちが活躍することでフィギュア全体への注目が高まり、ショーの集客にも繋がる。
プロとアマチュアが相互にお互いを盛り上げる良い循環を作り出すために。
(1)自分はプロスケーターとして、誰かがショーに呼んでくれるのを受け身で待つだけでなく、自ら発信し、活動の場を広げる努力をする。
(2)アマチュアの選手たちには、まずは試合で結果を出すよう激励する(今回のFOIでも、現役組についてコメントする時には必ず『試合で応援してあげて下さい』というような意味の事を言っていました)。
(3)そしてキッズスケーターたちには、成長した時に今この時感じた夢や憧れがパワーになるように、ショーの華やかな舞台を実際に体験して貰う。

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そしてそういう流れの中に、今回のDAISUKEプロデュースによるメンズナンバーがあったと思いました。
↓これ、すごくいい記事でしたね。
JOC-TEAM JAPAN DIARY : 高橋大輔選手「セカンドキャリアのステップ」プロデューサーに挑戦

思えば2006年、荒川さんがトリノ五輪でアジア人として初の金メダルに輝いたことが直接のきっかけとなって、最初のFOIが実現しました。
そして4年後のバンクーバー五輪で、大ちゃんがアジア人として初の男子のメダリスト(そして世界王者)になった。
ある意味4年前の荒川さんと似た立場に立ったことで、荒川さんの始めた「スケーターの立場からの発信」を引き継げるようになったのかなと思いました。
勿論、競技を続ける以上試合が優先なので、きっぱり競技と決別した荒川さんのように一からショーを立ち上げる余裕はありませんが。
日曜日の昼だったと思いますが、荒川さんが「大ちゃんが五輪や世界選手権で結果を出したらやって貰おうと前から思っていた」と発言した時、大ちゃんは驚いていましたが、私は「ああ、やっぱり」と納得しました。
FOIのような活動が、荒川さん1人だけのものなら結局は『点』で終わってしまう。でも大ちゃんがその流れに続けば、彼の独特のセンスと人脈で、また違った新しい試みが生まれるし、それがまた次へと繋がる。そうやってどんどん『点』が『線』へと繋がり、そうこうしている内にかつてのキッズスケーターたちがシニアへ、そしてプロへと育って行って…と考えると、わくわくして来ませんか?

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来年の事を言うと鬼が笑うと申します。この記事を鬼が呼んだら大爆笑されることでしょう。
でも私がFOIが好きなのは、過去から現在、そして未来への流れを感じられることも大きな理由なのです。単に今、見て楽しいだけでなく、今のこの流れが未来に繋がっていると感じられる。それがこのショーの、他にはない魅力だと思います。

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拍手コメントへのお返し

□2010/9/16 12:43
コメントありがとうございます。私も来年も絶対行きたいです!

□2010/9/18 15:51
こんにちは、コメントありがとうございます。
マンボは、試合に向けて衣裳や髪型も変わるだろうし、振付けも詰めて行くだろうし、また違う感想も出て来ると思います。
グループナンバーは新しかったし、かっこ良かったですよね。
あと、私はファンのテンショが下がっているとは全く感じないのですが、何を見てそう思われたんでしょう?
大ちゃんのファンはちょっと自虐的な所があるような気はしますが、長く欧米主導だったフィギュアの世界では仕方がない部分もあるのかなと思います。

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