たばこは吸わない方がいい。無駄だし、はた迷惑で体にも悪いらしい。近年、たばこを取り巻く環境もはなはだ厳しい。これまでの、たばこ吸いの行儀の悪さは言語道断だと認めなければならない。家人の健康も心配ではある。たばこを中断して3カ月。なかなか吸いたい気持ちが体から抜けない。1日数回、たばこのことが頭に浮かぶ。昨年、10月からたばこ税の値上がり。これまで値上げはあったが止めようという気持ちにはならなかった。長年体を張って、車1台分を灰にした。庶民のささやかな楽しみ、というか悪しき習慣ではある。今回の値上げで吸い続けることに少し情熱を失い、反発も感じた。ひょっとしたら、止めていいのではないか。買い置きが無くなる最後の1本を深々と吸い、中断することにした。昨年の11月11日。思ったほど、たいして苦しくはない。我慢できないほどの苦しさではない。
ただ、食後やコーヒータイムの後、終了というスイッチが入らない。仕方なくだらだらと食べたり飲んだりする。酒量も増えたし、絶えず何かが口を動かす。せっかく昨夏5kgの減量だった体もすっかり元通り以上。これも想定済みなので、今度の夏に頑張る他ない。禁煙外来という方法も承知しているが、止めるのに金をつかうというのは、ケチな性分として選択肢にない。意志の力はたいして強くはないが、ケチの力は結構強かった。私の場合「止める!」とは思わないことにしたのだ。あくまで中断、また吸いたくなったらいつでも再開するつもりの、中断だ。止めると思うとプレッシャーになる。肺がんで死ぬのは辛いが、これからはいつ死んでも悔いは、ない。これから大したことが出来るとは思わないし、やり残したことがあるわけでもない。再開は何年後になるか分からないが、楽しみではある。
90歳の老婆が車に酔った後に初めてたばこを吸い、以後吸い続けているというのをテレビで見た。しゃれているではないか、誰も止められはしない。将来の楽しみのために今を我慢する。ストイックに考える必要はない、何回も中断すればいいのだ。気楽に中断し、たばこ税を大幅に減額してやろう。評判の悪い民主党だが、簡単に出来たのがたばこ税の大幅増税。ありがたや、ありがたや民主党。ちゃちな減税より節税効果大いにあり。写真は昔々家人がくれたデュポンのライター。アランドロン、フタを開けるピーンという音に憧れたものだ。クリント・イーストウッドの「小さな葉巻」。池部良の「あさひ」。かっこよかったなー。映画にはいつまでもなくてはならぬアイテム。