2021年度の総括、映画篇。
本日より3日にわたって「2021年映画のベスト15」を発表、最終の4日目は項目別に語っていこうかと。
長いけど、お付き合いくださいませ!!
本日は、第15位から第11位まで。
ではどうぞ!!
第15位『14歳の栞』
カメラ慣れしている現代っ子―中学2年生―35人の3学期に肉迫したドキュメンタリー。
この歳らしく「自分をコトサラよく見せよう」とする子も居れば、敢えてクールに見せようとする子も居て、当然「天然の子」も居る。
好感が持てるのは不登校だったとしても、車椅子に乗っている子だったとしても公平を保っていること。
第14位『最後の決闘裁判』
リドリー・スコット御大、83歳にして代表作を増やした力作。
14世紀―フランスで法的に認められた最後の決闘を3つの視点で描く、いかにも映画的な構造を持つ物語だが、
コスチューム劇に抵抗があるひと、さらにいえば強姦の場面が生々しいという評判から観ないと決めたひとはきっと後悔すると思うので、勇気を持ってぜひ観てほしい。
この構造から『羅生門』を引き合いに出すひとは多いが、
最も力が込められているといっていい第3幕「マルグリット・ド・カルージュの真実」は、おそらく現代だからこそ描くことの出来た視点であり、脚本を担当したニコール・ホロフセナー、そしてベン・アフレック&マット・デイモンのコンビの勇気と野心に敬意を表したい。
第13位『サマーフィルムにのって』
シロートが映画を創ろうと奮闘する―という設定だけでも採点が甘めになるというのに、
奮闘するのは女子高生、しかも題材は時代劇ときたもんだ。
挙句にはSF的要素も加わり、はっきりいえば「ごった煮」。
しかし。
強引ともいえるクライマックスに触れ、自分は物語にではなく、その心意気に感動し涙したのだった。
完成度という点ではこの映画を上回る青春映画は沢山あるだろう、
けれどもフレッシュな情熱という点では、この映画以上のものはなかなかお目にかかれない。
第12位『ノマドランド』
新鋭クロエ・ジャオがハリウッドの姉御フランシス・マクドーマンドと組み、路上に暮らす車上生活者「ノマド」たちを見つめたオスカー受賞作。
配給がディズニーであること、この物語と規模で108分にまとめていること、空の「見えかた」でキャラクターのちがいを表現する分かり易さなどなど、感心するところが沢山。
ヒロインが「これでよし!」として生きているわけではないことは明らかで、だからといって諦念に支配されているわけでもない。
そんな彼女をも飲みこむ「Amazon」という大帝国に現代のからくりを見た気がして、やや陳腐な表現にはなるが、劇場を出たあと空を見つめると、それがいつもとはちがった風に見えたのは自分だけではなかったはず。
第11位『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
自分は、それほど理想的なアンノファンとはいえない。
富野や大友には熱狂するが、アンノの新作だからといって絶対に初日に行こうと決意するほどではない。
25年をかけたサーガの完結と聞いても、『ツイン・ピークス』ほどの感動は押し寄せてこない。
こない―にも関わらず、不覚にも泣いてしまった。
物語どうこうではなく、アンノの生きざまによるところが大きいのだと思う。
そんなの知らんよ!
と、たとえば三池崇史や園子温と同じように呟くのがアンノではあるのだが。
鬱状態に陥り、『式日』が彼にとっての再生の映画だったのだよと(鈴木敏夫の発言で)知ったときから、エヴァが完結しないかぎりアンノの暗いトンネルはつづいていくのだろうなと。
それが果たされたアンノの、清々しさといったらどうだろう。
ウルトラマンにも仮面ライダーにも、一抹の不安さえ感じず期待しかない、
いま自分は、はっきりとアンノのファンといえるようになりました。
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明日のコラムは・・・
『観客が求めるもの、その変化~2021映画回顧②~』
本日より3日にわたって「2021年映画のベスト15」を発表、最終の4日目は項目別に語っていこうかと。
長いけど、お付き合いくださいませ!!
本日は、第15位から第11位まで。
ではどうぞ!!
第15位『14歳の栞』
カメラ慣れしている現代っ子―中学2年生―35人の3学期に肉迫したドキュメンタリー。
この歳らしく「自分をコトサラよく見せよう」とする子も居れば、敢えてクールに見せようとする子も居て、当然「天然の子」も居る。
好感が持てるのは不登校だったとしても、車椅子に乗っている子だったとしても公平を保っていること。
第14位『最後の決闘裁判』
リドリー・スコット御大、83歳にして代表作を増やした力作。
14世紀―フランスで法的に認められた最後の決闘を3つの視点で描く、いかにも映画的な構造を持つ物語だが、
コスチューム劇に抵抗があるひと、さらにいえば強姦の場面が生々しいという評判から観ないと決めたひとはきっと後悔すると思うので、勇気を持ってぜひ観てほしい。
この構造から『羅生門』を引き合いに出すひとは多いが、
最も力が込められているといっていい第3幕「マルグリット・ド・カルージュの真実」は、おそらく現代だからこそ描くことの出来た視点であり、脚本を担当したニコール・ホロフセナー、そしてベン・アフレック&マット・デイモンのコンビの勇気と野心に敬意を表したい。
第13位『サマーフィルムにのって』
シロートが映画を創ろうと奮闘する―という設定だけでも採点が甘めになるというのに、
奮闘するのは女子高生、しかも題材は時代劇ときたもんだ。
挙句にはSF的要素も加わり、はっきりいえば「ごった煮」。
しかし。
強引ともいえるクライマックスに触れ、自分は物語にではなく、その心意気に感動し涙したのだった。
完成度という点ではこの映画を上回る青春映画は沢山あるだろう、
けれどもフレッシュな情熱という点では、この映画以上のものはなかなかお目にかかれない。
第12位『ノマドランド』
新鋭クロエ・ジャオがハリウッドの姉御フランシス・マクドーマンドと組み、路上に暮らす車上生活者「ノマド」たちを見つめたオスカー受賞作。
配給がディズニーであること、この物語と規模で108分にまとめていること、空の「見えかた」でキャラクターのちがいを表現する分かり易さなどなど、感心するところが沢山。
ヒロインが「これでよし!」として生きているわけではないことは明らかで、だからといって諦念に支配されているわけでもない。
そんな彼女をも飲みこむ「Amazon」という大帝国に現代のからくりを見た気がして、やや陳腐な表現にはなるが、劇場を出たあと空を見つめると、それがいつもとはちがった風に見えたのは自分だけではなかったはず。
第11位『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
自分は、それほど理想的なアンノファンとはいえない。
富野や大友には熱狂するが、アンノの新作だからといって絶対に初日に行こうと決意するほどではない。
25年をかけたサーガの完結と聞いても、『ツイン・ピークス』ほどの感動は押し寄せてこない。
こない―にも関わらず、不覚にも泣いてしまった。
物語どうこうではなく、アンノの生きざまによるところが大きいのだと思う。
そんなの知らんよ!
と、たとえば三池崇史や園子温と同じように呟くのがアンノではあるのだが。
鬱状態に陥り、『式日』が彼にとっての再生の映画だったのだよと(鈴木敏夫の発言で)知ったときから、エヴァが完結しないかぎりアンノの暗いトンネルはつづいていくのだろうなと。
それが果たされたアンノの、清々しさといったらどうだろう。
ウルトラマンにも仮面ライダーにも、一抹の不安さえ感じず期待しかない、
いま自分は、はっきりとアンノのファンといえるようになりました。
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明日のコラムは・・・
『観客が求めるもの、その変化~2021映画回顧②~』