Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

(パーカー羽織って)歩いてかえろう

2013-09-30 00:30:00 | コラム
おとといは、女2男1の呑み会に参加。

44歳女子22歳女子、そして、39歳の自分。
20~40代、みっつの世代が集い、少しだけ噛み合わない話もあるにはあったが、まあまあ盛り上がり、17時から翌3時まで呑んで騒いで楽しかった。

22歳の女子は小柄で、いかにも「守ってね♪」といいそうな子。
自分に「好きなタイプの女子は?」と聞いてきたので、

色白、それも引くくらい白く、出来れば血管が浮き出ていてほしい。
ほんとうにそうだといろいろ困るけれど、病弱に見える子がいい。すぐ貧血起こすような。繰り返すけれど、「見える」というだけで、ほんとうに病弱だと困る。
黒髪のロング。

と答えたら、「黒髪ロング以外は同じ!」という。

え?
そういう男が好きなん?

「そう、そう! たまらない~」

分からんものだね、見かけだけでは。
「守ってね♪」タイプではなく、「守りたい」ほうだったのか。

そういや、意志の強そうな目をしているものな。

彼女とはほかにも、小豆、干しブドウ、つぶあん、プルーンなどが嫌いという共通点があったりして、
ちょっとだけ、繰り返すがちょっとだけ気があったりしたのだが、
まぁ可愛い子だし、きっちり彼氏が居る。つーか、自分だってこんなこと書けばハニーに怒られるわけだが。

なんでも書いちゃうついでに書いてしまえば、その22歳女子がいう「彼氏の困ったところ」というのが、

アレの最中、すぐに体位を変えたがるところ笑

なんだそうだ。

あぁ分かる分かる、ということで、そこだけは彼氏を擁護しておいた。

これ以上書くと怒られそう―確実にここを読んでいるからね―なので、本テーマを。

ここのところ急激に気温が下がり、とくに晩~朝は寒いといっていいほど。

さすがのTシャツ&ハーフパンツ野郎でも、上くらいはなにかを羽織るわけで。

気に入りは、映画好きのためにイケてるTシャツを制作しているデザイナー、ビンセント・ベガさんによるパーカー。
自分はトップ画像に掲げた『ケープ・フィアー』のパーカー(主演デ・ニーロの身体に彫られたタトゥーを完全再現したもの)を色違い/生地違いで3つ持っており、秋~冬はそれらを着回している。

格好いい! と、周囲にもモノスゴ評判いいのだよね。


で、呑み会がお開きになって店の外に出ると、パーカー羽織っても寒く感じるくらいだった。

「まっき~、どうする? タクシー呼ぶ?」
「そっか、ふたりとも家が近いんだっけか」
「(笑う)そう、ごめんね、まっき~だけ遠い」
「それは構わんけど・・・そうだな~、歩こうかね」
「歩くの!?」
「うん、たぶん始発のころには、まだ着いてない感じだろうけれど、これはこれで経験」
「そーとー遠いよ」
「新宿から町田よりは近いよ」
「そりゃあ、ねぇ」
「そういうの、やってきたから」
「でも10年前でしょ?」
「(笑う)そう、まだチューネンと呼ばれていなかった、20代のころね」
「それから、いっぱい怪我もしていて・・・」
「うん、で、精力も少しは落ちてきたと」
「(笑う)それは知らないけれど」
「まぁでも、疲れたらコンビニ寄ったりするからさ、歩くよ」

というわけで結局、3時から8時くらいまで歩いた。


パーカー羽織って。
ふたりから贈られた、ワインのフルボトルふたつ抱えて。
ときどき、小便をして。
好きな歌を歌って。
2度ほど、吐いて。
野グソしたくなり、ズボン下ろしては「いかんいかん、、、」と踏みとどまって。

ジョッキ15杯とハイボール2杯くらい呑んだはずだが、5時間も歩くと完全に酔いは醒める。

美しい日の出を見ながら、さて、これからの人生どうしようか、どう生きるべきかなんて考える。
ふだんは「もう決めた」なんて思ってはいるものの、あらためて考えてみると明確な答えなんか出なかったりしてね、
家が近づいてくると「酔いも寒さも感じない、とっととクソして、風呂入って、自慰をして寝よう」なんて思うのだが、こういう思考の時間も必要なんだ、昔の哲学者の真似は出来ないが、1年に1度くらい、こんな時間を作らなきゃな、人間は考える葦なんだからな・・・なんて、分かった風なことを呟いてみるのだった。





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顔と、声

2013-09-29 09:32:27 | コラム
好きな声、あるいは歌声。

憧れを抱く同性の声は、ジョー・コッカーとかトム・ウェイツとか、自分がそうではないからか、「しゃがれた感じ」が好きみたい。
でも俳優さんでいえば森雅之とか渡辺謙とか、低音にしびれるというかね。

異性の場合はやはり下半身を刺激するような声が好きで、
AVのつぼみとか、9nine西脇彩華(ちゃあぽん…トップ画像は、彼女が担当するラジオ番組から)とか、きゃりぱみゅとか、ももクロの「あーりん」とか、まぁ「行き過ぎないアニメ声」というか、
でも壇蜜の感じもいいし、歌手のYUKIみたいなのもよかったり。


自分の声は、やや高め。
電話で話すと「穏やかで、優しい感じ」に聞こえるらしい。
だから、、、なのかどうか、カラオケでは男子より女子の歌のほうが上手に歌えたりする。
積極的には選曲しないものの、聖子ちゃんとか歌うと、まあまあな歌唱力っぽいよ。

つまり、顔から抱くイメージと実際の声が一致しないみたい。

あぁ、そうかも。

坊主。
アゴヒゲ。
Tシャツにハーフパンツのスタイル。
異様な胸板。

という見た目から想像するのは、「ザ男」の声。

で、いざ話してみると「やや高音」であると。

べつに幻滅することはないが、「ちょっとだけガクッと」するらしい。

そんなこといわれたってね~。


現代の「男女の」出会いは・・・
ネットで顔や興味のあることを知り、実際に会って初めて声を聞く―という流れが主流(とまでいうと、アレかな)だから、余計にそういう反応をされることが多い。

「顔のイメージと、なんかちがう~」
「がっかり?」
「それはないけど、もっと低い声かと思った」
「高いのと低いの、どっちが好きなん?」
「うーーーん」
「・・・あぁ、(笑う)もう答えは分かったよ」

だが20年くらい前の「男女の」出会いは、まぁ一部ではあるが、テレクラだったはずであり・・・

(1)まず声を聞く
(2)声と興味のあることから顔を想像する
(3)気に入ったら、実際に会ってみる

という流れ―そう、現代とは逆だったんだよね。


テレクラ?

はまらなかったよ、キャバクラ同様、面白さがよく分からんかった。
もっとストレートに行きたいというか、面倒なことはすべてすっ飛ばして、即ハダカが楽しいよね、、、なんて。


なんの話をしているんだっけ。

ともかく。
顔でガクッとされるのも堪えるが、
声でガクッとされるのも「ぜんぜん、平気だよ」とはいえないわけで、結局、異性からは肯定的ではないことをいわれると、どんな内容でも「そこそこには凹む」ものなのだろう。


もっと前、ずっと前はどうか。
それこそ『シラノ・ド・ベルジュラック』くらい時代を遡れば、顔や声は二の次で、
ことば、それを記す文字の美醜が勝負になっていた・・・実際はどうかは分からないが、そういう世界もあったのだろう。

情熱的な恋文。
これだったら、それなりの自信があったりするのだけれど。

という自分は、現代でも「ここだ!」というときは恋文でいく。

性交、じゃなくて成功率は?

自分に「やや」甘くして、3割かなぁ。

つまりはあれだ、自信と結果は比例していないと。
顔のイメージと実際の声もちがうし、自分はあべこべだ。

でも人間って、そんなもんでしょ?

・・・と、誰かに同意を求めてみる。


※やっぱり動画は、『VOICE』でいこうかしらね




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20代男子に贈る映画

2013-09-28 14:30:56 | コラム
きのうのテーマの後半として、
【映画小僧が選出する、20代男子に贈る映画】を。


ただ並べるだけ、短いコメントだけでは物足りないだろう? から、
自分は何歳ごろに触れたのか、当時はどう思ったか・・・など、映画鑑賞の記録帳で確認しながら記してみたい。


『灰とダイヤモンド』(58…トップ画像)

社会派に目覚めた16歳の夏に観て、絶望感を抱きつつ、映像のインパクト―キリスト像や、ラストシーン―について考えた。
ひたすら、延々と延々と、母国ポーランドを見つめるアンジェイ・ワイダの映画には教えられることが多い。

とはいえ、これを20代の彼に薦めたのは「そうした映画論」とは無関係で、理由はただひとつ、物語があまりにも鮮烈だから。

『カリートの道』(93)

21歳のころ、アルバイトしていた映画館で観て切なさに包まれる。
地下鉄やエスカレーターを使った逃走劇は、スリリングというより、ちょっと笑ってしまう展開であったりするのだが、にも関わらず「頑張れ! あともう少しで自由だ!!」と応援してしまう。
だからこそ、最後が切なくて切なくて。あそこでジョー・コッカーを持ってくるセンスも、巧いというか、もう、ずるい感じがする。

パチーノ主演の映画には男子が観るべき傑作―73年の『セルピコ』、75年の『狼たちの午後』、83年の『スカーフェイス』、97年の『フェイク』―が多いが、敢えてこの映画を。
ショーン・ペンの演技も「振り切っている」感があるしね。

『酔いどれ天使』(48)

黒澤漬けになった17歳の秋に観る。
もちろんビデオ鑑賞であったが、それから6年経った23歳の夏に名画座で初スクリーン鑑賞。

ひとり自宅で観る映画と、他者と同空間で体感する映画はちがう。
内容は当然同じなのに、ときとして「まったく、べつのもの」と感じてしまうのだから不思議。
ひとりで観たときは、この映画の格好よさとヒューマニズムにしびれたが、
名画座で観たとき、志村喬の「ふん!」、挿入歌の『ジャングル・ブギ』、「ぜんぜん音と映像があっていない」ギター演奏シーンなどで笑いが起き、自分もそれにつられて爆笑したのだった。

『カノン』(98)

26歳の初秋、劇場公開初日に観た。
場所はシネマライズ渋谷、監督のギャスパー・ノエ舞台挨拶つき。
きのう取り上げた『奇跡の海』(96)は自分が最も泣いた映画だが、2番目に泣いた映画がこれ。

あまりにも感銘を受けたものだから、劇場周辺で監督を「出待ち」。
出てきた監督に対し、フランス人だというのに「エクセレント! マスターピース!!」と激賞する。
監督は笑顔で「サンキュ、サンキュ」って。
いい思い出である。

しかしこれを薦めるのは、じつはちょっと気が引ける。
自身を「ちんぽ」と表現するダメダメなオヤジの開き直りの物語は、ひとによっては映画を嫌いになってしまう可能性もあるから。
映画を学ぶ学生は、ゼッタイに観るべきだけれど。

『トト・ザ・ヒーロー』(91)

18歳の冬、ミニシアターで鑑賞。
ロードショーが終了して数ヵ月後の(支配人の趣味による)特集上映だったためか、客は自分を含めて3人だった。
だったが、味わったことのない幸福感に包まれた。
あぁ映画を観た! 生きるっていいな!! これだから映画はやめられない!!! って。

『カノン』で傷ついたこころ(?)を癒すため、この順番で観ることを薦めたい。

『KT』(2002)

28歳の真夏に鑑賞、阪本順治の最高傑作が生まれたと歓喜する。
負け続けるものが最後の最後で勝者になったり、勝ち続けたものが転落していったり、いろんな物語があるが、この物語は最初から最後まで「負け犬」を主人公にしているというのがいい。

「口を出すな! お前らに、何が分かる!?」
金大中を運ぶ船をヘリで追う米国軍、その巨大で強大な力に対して銃を向ける男の叫びに、暗い感動を覚えた。

『ハートブルー』(91)

17歳の春にビデオで鑑賞する。
いまやオスカー監督となったキャスリーン・ビグローのフレッシュな演出によって、「その他多くの」刑事映画とは感触が「ずいぶん」ちがう快作に仕上がっている。
歴代大統領のマスクをかぶって強盗をする―というビジュアル面でのインパクトも二重丸。

追うものが追われるものに対し、抗い難い魅力を覚えてしまう・・・という筋そのものは新しいものではないが、サーフィンやスキューバダイビングなど、映像の刺激性を最優先にした構成が冴えているので、なんとなく大根に見えてしまうキアヌの演技も「あんまり」気にならないのだった。

『ミラーズ・クロッシング』(90)

17歳の冬にビデオで鑑賞する。
ギャング物としては映像も音楽も洗練され過ぎていて、さらにいえば「血なまぐささ」さえ弱かったりするのだが、コーエン兄弟の興味はそこにはなく、舞い続ける帽子のような生きかたをする主人公と「その周辺」を見つめて、じつに味わい深いおとなのドラマに仕上げている。

ところでコーエン兄弟作品の音楽を担当しているカーター・ヴァーウェルは、
ティム・バートン×ダニー・エルフマン同様、もっと評価されていい映画音楽家だと思う。

『レイジング・ブル』(80)

15歳の夏、『タクシードライバー』(76)を観た翌日にビデオで鑑賞、その晩はうなされて一睡も出来なかった。(実話)
それを理由にして、翌日の学校をズル休みした。(実話)
もういちど『タクシードライバー』『レイジング・ブル』を連続して観たくなり、その翌日も学校を休んだ。(実話)

しかし『タクシードライバー』とちがって、こっちは権利関係がなかなかクリア出来ず、リバイバル公開されることがない。
なんということだ!!

実在のボクサー、ジェイク・ラモッタの半生をスコセッシ×ポール・シュレイダー×デ・ニーロの黄金トリオで描く。
この映画で文句があるとしたら、10代からジジイまでを演じたデ・ニーロの「10代演技」に、やや・・・というか、かなりの無理がある、、、ということくらいか。

『ゾディアック』(2006)

最後に意外と思われるチョイスを。
でもこれ、かなーり好きな映画で、さらにいえば、こういう物語に触れるのは、若ければ若いほどいい―そんな風に思う。

30歳の秋、特別試写で観る。
『セブン』(95)を期待した向きには不評だったのかもしれないが、デヴィッド・フィンチャーの器用さにうれしい驚きを覚えた会心作。

実際に起こった「ゾディアック事件」に取り憑かれ、翻弄される男たちを描く。
狂気の沙汰といえばそうかもしれないが、ある意味では、なにかを極めようとするものの「理想形」なのではないか・・・そう解釈することも出来るので、敢えて本作を挙げてみた。


※『ジャングル・ブギ』、『酔いどれ天使』より

歌が始まる前に出てくる情婦は、木暮実千代




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20代女子に贈る映画

2013-09-27 00:30:00 | コラム
若い男女を連れて呑みにいった。

21歳女子と、23歳男子。
プラス、39歳のオッサン。

女子のほうは漫画家助手、男子はインディーズバンドのドラム担当。

ともに、映画とは無縁ではいられない世界を目指すもの・・・ではあるものの、その世界に対する一途さゆえか、本人たちがいうように「映画には、うとい」。


「そこそこは、観ているんでしょ」

女子「う~~ん、観ていないほうだと思います」
男子「僕もそうですね」

「好きな映画、ひとつ挙げるとすれば?」

女子「・・・最近観た『上京ものがたり』、、、かなぁ」
「あぁ、悪くないし、いかにも漫画家さんだとは思うけど、最近過ぎるよね」

男子「・・・すぐには出てこないですねぇ」
「『ザ・コミットメンツ』も?」
「・・・知らないですね、バンドの話ですか」
「うん、これはゼッタイに観なきゃダメ」

女子「―で、まっき~さんと呑むことが決まった先週からずっと、彼と“観るべき映画”を教えてもらおうって」

「そうなん?」

男子「そうっす。迷惑ですか?」

「そんなことはないけど、200本くらい出てくるよ」

男女「(笑う)それは、ちょっと・・・」

女子「20代女子が観るべき映画と、」
男子「20代男子が観るべき映画、」
女子「それぞれ10本ずつ挙げてほしいなって」

「なるほど」

女子「漫画家とか、」
男子「ミュージシャンとか関係なく」

「関係なく?」

女子「えぇ、単に性別と年齢だけで」

「了解、しかも、あまり映画を観ていないひとに向けて、、、というわけね」

男子「そういうことです」


―というわけで、二夜連続(きょうは女子版、あすは男子版)で、そのときに挙げた映画10本を紹介しておきたい。


【映画小僧が選出する、20代女子に贈る映画】

『フライドグリーン・トマト』(91…トップ画像)

一時期、惚れた女子には必ずビデオかDVDをプレゼントしていた。

『六月の蛇』(2002)

おそらく現代の監督で、塚本晋也は最も女優を美しく撮ることが出来るひと。

『テルマ&ルイーズ』(91)

遅れてやってきた、女のニューシネマ。

『ライアンの娘』(70)

映像美と、ヒロインを演じるサラ・マイルズの力強さ。
この映画を観て自分は、アイルランドに強く魅かれたんだっけ。

『奇跡の海』(96)

自分がいちばん泣いた映画。

『おとうと』(60)

岸恵子の演技と、そっけないラストシーンが好き。

『ジャッキー・ブラウン』(97)

おとなの味わい。それを映画小僧QTが撮ったという新鮮な驚き。

『近松物語』(54)

香川京子がゾッとするほど美しい。出来ればスクリーンで観てほしい。

『突然炎のごとく』(61)

ジャンヌ・モローが振り返ったときの笑顔。
これだけでも、観る価値「おおいに」あり。

『夜がまた来る』(94)

堕ちる美学を、イマドキ女子はどう捉えるのか興味がある。


※『六月の蛇』予告編




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初体験 リッジモント・ハイ(54)

2013-09-26 00:30:00 | コラム
再会を楽しみにするとかではなく、変わった自分を見てもらいたいという強い意識の表れ―それが、自分を同窓会参加率100にしているのだと思う。

見て、あたしを見て! みたいな。

イヤだねぇ、「自分が! 自分が」星人は。
さすがに現在はそうした意識は薄れた―ゼロではないんだな、ゼロでは―が、20代のころはその一心で参加していたのだった。

無理もないさと、ちょっと自己弁護をしておく。

何遍も記しているとおり、中学卒業時に体重100kg、高校1年の夏休み前には115kgを突破していた肥満児が、夏休みを経過すると70kg(トップ画像)まで落としていたわけでね、
40日間、顔を合わせていなかっただけのクラスメイトでさえ絶句したのだ、ということは「ぶーちゃん」としての自分しか記憶していない小・中学時代の同級生であれば、もっと驚いてくれるはずだ、、、と想像することは容易だろう。

で、実際、20代のころに参加した同窓会では、皆から「変わった、変わった」と評され、じつに気分がよかったんだ。
地味な格好でも体型の劇的な変化によって目立つのに、「自分が! 自分が」星人だったものだから、超ド派手なジャケットとネクタイをして「さらに」目立っていたのだった。

あぁ目立つって、なんて気持ちいいんだろう!!


と同時に、イタい男子が抱きがちな「同窓会幻想」も当然のように抱いていた。

当時好きだった子と急接近するとか、
(斉藤和義の『ずっと好きだった』って、そういう歌なんだよね?)
なんとも思っていなかった子がモノスゴ可愛くなっていて、(やっぱり)急接近するとか。

なにしろ基本、イタい男子だったから。

そんなこと、まーーーーーーーーーず起こらない。

いや、ゼロじゃないのだろう、たぶん。
うまいこと転がせる? ヤツは、うまいこと転がしておいしい思いをしているにちがいない。

しかし自分には、その経験も技術もない、「痩せた~♪」とクラスの元マドンナから声をかけられても、「でしょー?」と返すのが精一杯だった。

くそ!
いまだったら! みたいに思っているヤツって、腐るほど居るのだろうなぁ。


さて、初めての同窓会について―。

高校2年の夏休みだったと思う、中学2年のころの「あまり親しくなかった」クラスメイトから「来週、同窓会やるから、来なよ」と誘いの電話を受けた。

「どこで?」
「Kの家。あいつの親って、スナックやってたでしょ、そこでやる」
「オッケー。驚くぜ」
「楽しみにしてるよ」

なんだ、驚くぜって。
やせた自分に―といいたいのだろうが、そういう煽りかたが、いかにもダサい。
「サプライズ用意したから」といって驚きを半減させるようなもので、なにもいわずに登場したほうが格好いいのに。

自分は元クラスメイト全員を誘ったのかと勘違いしたが、約40人居たわけでね、3分の2が参加したとしても町のスナックじゃ狭過ぎる、
そう考えれば男子にしか声をかけていないことに気づきそうだが、気分はイケイケだ、舞い上がった自分は女子にも会えると思い、Tちゃんは相変わらず可愛いのかな、Мちゃんも可憐なままなのかなぁ、、、などと妄想を逞しくした。

当日―。

Kのスナックの扉を開くと、野郎しか居ない。
ザーメン臭漂う、野郎10人(くらい)。

もちろんザーメン臭が最もきついのは自分? だが、周りもさほど変わらない。

いい匂いを漂わせる女子が居ない! ひとりも居ない!


・・・まぁそれはそれで楽しめたし、実際に「痩せた!」「すごいね!」ともいわれ気分がよかったのだが、
想像していたのとは、だいぶちがったなぁ。

誰だったか、「まっき~、だいぶ期待して来ているよね(笑)」なんていっていたし。


なにがいいたいかっていうと、イタいのは、いま始まったことじゃない、、、ということなんだ。


※斉藤和義&YUI




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