Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

黄金週間特別企画 やっぱり「ここ」が好き(24)

2018-04-30 00:10:00 | コラム
『クライング・ゲーム』(92)

IRAに誘拐された黒人兵士ジョディと、彼を見張る男ファーガスの奇妙な友情を描いたサスペンス。

この映画の鍵は中盤から登場するジョディの恋人デイル「と、されていて」、それはある事情から公開時「秘密」になっていた。

ただこの「秘密」は、じつはほとんどのひとにバレていた―というのも、デイルの指があまりにも太かったから、、、かもしれない。

もう20年以上も前の映画なのでネタバレも構わないだろう、デイルは男(ニューハーフ)で、ファーガスは途中までそのことに気づかずに恋心を抱いてしまう、という物語。


いちばん好きなシーンは、ラスト。

物語の前半で、ジョディはファーガスに「君は親切だ。それが君の性なんだ」といって、カエルとサソリの寓話を話し始める。

これが、最後の最後になって効いてくるのだった。


「川を渡りたがっているかなづちのサソリが、カエルの背中に乗せてくれと頼む。
カエルは云う。
君を乗せたら僕を刺すに違いない。
サソリは答えた。
僕が君を刺したら両方とも溺れてしまう。
カエルはしばらく考え納得し、サソリを背中に勇敢に川を渡り始める。
だが半分まできたところで強烈な痛みを感じ、自分がサソリに刺されたことに気づく。
徐々に沈み始めるサソリとカエル。
カエルは叫んだ。
サソリ君なぜ僕を刺したんだ?溺死すると分かっていながら。
サソリは答えた。
仕方がないんだ。これは僕の性だから」


時間のあるひとは・・・(字幕つきです)



この映画の主題歌を担当するのは、ボーイ・ジョージ。
プロデュースはペット・ショップ・ボーイズなので、この人選にピンときたひとは、物語を観る前から「秘密」にも薄々気づいていたことでしょう。



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黄金週間特別企画 やっぱり「ここ」が好き(23)

2018-04-29 00:10:00 | コラム
『悪い奴ほどよく眠る』(60)


公団とゼネコンの汚職に、ひとりの男の復讐譚を取り込ませた重厚な黒澤流サスペンス。

5人で手がけた脚本―小国英雄、久板栄二郎、菊島隆三、橋本忍、そして黒澤―はさすがにスキがなく、とくに冒頭の結婚式は脚本を勉強する学生さんにとっての最良のテキストになると思う。


好きなシーンも、この結婚式から。

新婦(香川京子)の



兄(三橋達也)のスピーチがあまりにも素晴らしいので、後半部分すべてを引用しておこう。

※西とは、主人公・三船敏郎のこと。

「―佳子が西に惚れているように、私も西に惚れてます。
一年半前に西のやっていたちっぽけな自動車商会から中古スポーツカーを買ったのがきっかけでふたりは友達になったんですが、私は彼がいまどき珍しい正義感であることを知ってます。
一部では足の悪い妹と結婚して立身出世の足がかりにしているという噂もあるようですが、断じてそんなことはありません。
おい、西。
妹を可愛がってやってくれ。俺はこんなだらしない奴だが妹を幸せにするなら何でもする。妹を不幸せにしたら、貴様殺すぞ」




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黄金週間特別企画 やっぱり「ここ」が好き(22)

2018-04-28 00:10:00 | コラム
『ユージュアル・サスペクツ』(95)

「オチ」ばかりに注目が集まったが、個人的には、集団心理の怖さを巧みに表現した脚本「全体」に感心したサスペンス。

筋はなかなかに複雑なので、とてつもなく大雑把にいえば・・・

一筋縄ではいかないクセモノの犯罪者5人が、そんなクセモノのクセして「カイザー・ソゼ」という誰も見たことがない(?)伝説の悪党に怯えて右往左往する、、、という物語。


いちばん好きなシーンは、「カイザー・ソゼ」に命ぜられた犯罪を決行しなければならなくなった5人(いや、4人)が、車のなかで会話をするところ。


「リスクが大きい、みな死ぬだろう」と話しているとき、

マクマナス(スティーヴン・ボールドウィン)が、ほとんど開き直ったように、

「やりゃ、なんとかなるんじゃない?」と発する。


そのあと、
「ニューヨークは雨だってさ…」とポツリ。


関係のない台詞で、このシーンは終わる。
が、それが逆に、覚悟を決めた男の姿を際立たせていて素晴らしい。


※ここでは、ソゼの弁護士であるコバヤシの登場シーンを



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黄金週間特別企画 やっぱり「ここ」が好き(21)

2018-04-27 00:10:00 | コラム
別名「サボっていることを誤魔化す」ための企画を、4ヵ月ぶりに復活させます。

お気に入りの映画のなかの、最もお気に入りなシーンを取り上げるというものです。


『太陽を盗んだ男』(79)

理科の教師(沢田研二)が単身、原子力発電所に潜入しプルトニウムを強奪、自宅で原子爆弾を作り上げる。

もちろん、自身の被爆を甘んじて受け入れながら・・・。


本来、映画というものは、このくらい大きな嘘を吐いても、このくらい強烈な毒を吐いてもいいはずだったのにな・・・と思わせてくれる。

本編には、「王と長嶋で、原爆キャッチボールをやってもらいたい」なんていうことばも出てくるし。


この映画で個人的に最も好きなシーン、、、の前に、2番目に好きなシーンをあげておく。

毎日暑いからエアコンでも買おうかな―といったジュリーに、菅原文太が扮する刑事が、

「日立のビーバーエアコンがいいらしいぞ」と返すところが面白い。



じつはビーバーエアコンは三菱製なのだが、それをツッコむのは無粋の極みだろう。

異様な物語なのに、こんなユーモラスな台詞を入れてしまうあたりに、この映画の頼もしさを感じる。


そしていちばん好きなシーンは、ジュリーが池上季実子を海に落としてしまうところ。

池上季実子はとっさにジュリーの髪をつかむと、被爆の影響だろう、髪は「あっさりと」しかも「ごっそりと」抜けてしまう、、、っていう。


こんな風に端的に被爆を表現出来てしまう力が、映像にはあるのだなぁ。




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御意見番

2018-04-26 00:10:00 | コラム
比嘉大吾について記したときにも少しいったけど、
映画・格闘技・AVの世界で「なにかあったとき」だけ、メールをくれる友人知人が居る。

年賀状、みたいなものかな。

まぁでも、「この世界のことはコイツに聞こう」と思われているわけで、これはかなりうれしいことですよ。


オスカー作品賞に輝いた映画はどうだ、これは観にいくべきか。

とか、

あの格闘技の試合、判定おかしくない? 君の見解を聞かせてくれ。

とか、

〇〇がAVデビューだって!? 観る価値あるかな?

とか、まぁだいたいはこんな感じ。


自分は送信者がどれだけ「その世界に明るいのか」を確認したのち、可能なかぎり分かり易い解説文を「まず、自分のパソコンで打ち」そのあと「自分のケータイ」へ送信、さらにそれを転送という形で送信者に返信する。
長文になるからね、ケータイでは大変だし。
パソコンから直接送信してもいいんだけれども、ケータイに送られてきたものはケータイで返したい、、、という、自分のよく分からない考えがあるので。


格好よくいえば、御意見番か。
でも『サンデーモーニング』(TBS・トップ画像)でいえば張本さんではなく、サッカーのときだけ出てくる中西さんみたいな感じがいいな。




ちなみに、発言が度々問題になる張本さんだけど、ヘンクツジジイなんてこんなものでしょう。

大リーグへの偏見とか、日本人の大半がこんな意見を持つようになったらどうかと思うが、極端なのはこのひとくらいだから、もうネタとして面白いし、放っておいていいんじゃないかと思う。

ネットライターも質が落ちたよマジで、なにかといえば「騒然」「苦言」「賛否両論」なんだもの。

いうほど騒然としていないし、ラクな稼ぎかたすんなや! と同業者にいっておく。


映画の御意見番といえば、昔はおすぎ、いまは町山智浩あたりでしょう。

ときに「キャラ立ち」が先行して知識は二の次だったりするひとも居たけれど、町山さんは信用出来るひとだと思う。

自分?

偏り過ぎているからなぁ、張本さんみたいになってしまうかもしれない。


自分で調べることも容易になった現代では、昔ほど御意見番の持論を鵜呑みにすることもなくなっている、、、のではないかしら。

話半分で聞いて、あとは自分で考えるみたいな、それが理想なんじゃないか。


そういう意味では、フジテレビの『ワイドナショー』の御意見番というかコメンテーターは、人選に新味があって面白い。




この番組だったら、ちょっと出たいかなと思ったり。

・・・って自分、芸能人でもなんでもないんだった笑




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