Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(282)

2019-02-28 00:10:00 | コラム
どい「つ」→「つ」あー(ツアー)

観光旅行・小旅行ではなく、ここでは、芸能・スポーツに携わるひとによるtourのほうを指す。

いわゆる、巡回方式の興行のこと。
「全国ツアー」とか「ドームツアー」とかね。

それにちかいものに同行し取材をしたことはあるし、観客として参加したこともあるけれど、パフォーマンスを提供する側に立ったことは「もちろん」ない。

憧れる面もあるが、そもそも共同生活に向いていないところがあるので、他者と長期間ともにするというスタイルは「ちょっと…」と思ったり。


以下は、広義の意味における「ツアー」を背景とした映画6本。

映画としてはどれも素晴らしいものばかりだが、では自分がそこの一員になれるのかというと、やっぱり自信はない。

ヘタレですよ、どーせ。

ほとんど「音楽」になってしまうのは、それはしょうがないことだよね。


『イン・ベッド・ウィズ・マドンナ』(91…トップ画像)

マドンナのツアーを密着取材した記録映画。

アレック・ケンシアン監督は度胸があるのか、なにも考えていないのか、あるいはマドンナが「あけっぴろげ」なのかは分からないが、カメラの肉迫度はなかなかのもので、素のマドンナを沢山拝めることの出来る快作。


『あの頃ペニー・レインと』(2000)



10代なかばで『ローリング・ストーン』誌の記者となった経験を持つ、キャメロン・クロウの「半」自伝的青春映画。

いわゆるグルーピーたちとの交流が、ただただうらやましかった。


『旅芸人の記録』(75)

ギリシャが誇る映像詩人、テオ・アンゲロプロスによる232分の大作。

40年代のギリシャ政治史を見つめた映画なので「背景を知らないと…」という意見もあるが、いやいや、なーーーーーんも知らなくても、なぜか感動してしまう。

これが、映像の力ってやつだと思う。




『グリーンブック』(2018)

本年度オスカー受賞作。

黒人ピアニストと、差別主義を隠そうともしない野卑な白人ドライバーの珍道中。

『ドライビング Miss デイジー』(89)と『最強のふたり』(2011)をミックスしたような作品で、これをファレリー兄弟の兄ピーターが手がけたというのが意外。

日本公開は3月1日から。


『グレイテスト・ショーマン』(2017)

日本でもスマッシュヒット記録した、ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル。

ジャックマンが演じるのは、19世紀に大成功をおさめた興行主P・T・バーナム。

史実とはだいぶちがうようだが、この映画はミュージカルであり演者たちの美声に酔いしれればいいんだ。


『WE ARE Perfume ―WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』(2015)



しかしこのポスター、最高だな。

「ファンしか観ない」という声が聞こえてきそうだが、まぁ実際にミュージシャンのツアードキュメントってそういうものだろう。

ただ、映像作品としてもけっしてダメな創りではなかったよ。


次回のしりとりは・・・
つ「あー」→「あー」めん。

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明日のコラムは・・・

『ハーフパンツ、a go go!! + 2月コラムの目次』
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シネマしりとり「薀蓄篇」(281)

2019-02-27 00:10:00 | コラム
まくどなる「ど」→「ど」いつ(ドイツ)

ドイツがからんだ映画の大半が、ナチス物―といっても大袈裟には聞こえないほど、映画界にとってナチスは(敢えていうが)ありがたい存在。

ほら、みんなのヒーロー、インディだって「ナチは嫌いだ」と発するじゃない。

それを踏まえてナチスの最高権力者と対峙するこのシーンを観れば、映画的に捉えた場合、理想的な悪役であることに納得するでしょう。



強調しておくけれど、理想的なのは映画などのフィクションにかぎっての話。

しかしヒトラーは現実に存在していたわけだし、ほとんど悪魔といってよかった。

ガキのころから悪魔だった、、、とまではいわないがね。

イエモンも歌っている、

♪ あの偉い発明家も 凶悪な犯罪者も みんな昔、子どもだってね ♪


どこで狂ってしまったのかを「時代」だけのせいにするのもちがうとは思うが、
とりあえずそれは置いておいて、現代ドイツ人はえらいなと感動さえ覚えてしまうのは、

世界各国で制作されているそれら「ナチスドイツを悪役として設定する」映画を、きちんと受け入れているところ。


それが出来るのは、あの時代を負の歴史として認識しているからでしょう、
これって簡単なようでいて、その実なかなか出来ないことなんじゃないかな。

ハリウッドが、米先住民に対する迫害を負の歴史として描き始めたのは「ごくごく」最近のことなんだもの。


そんなドイツは、映画史的にも重要な国であったりする。

創世記におおきな関りを持っている・・・のだが、ここいらへんの話をすると20000字でも足りなくなるので、きょうは「なんらかの形でドイツが関わっている」映画、そのなかでも割と知られているもの、一般的な映画好きが観ても「すんなり物語に入っていける」もの―という基準で、おすすめの5作を選出してみた。


『ブリキの太鼓』(79)

グロテスクな大人たちに幻滅、3歳のころに自らの意思で「成長を止めた」オスカルの目を通し、ドイツ近代史を俯瞰する大傑作。

公開当時の価値観で捉えても、現代の観客からみても児童ポルノを想起させる描写が散見されるものの、映画表現は、このくらい自由であったほうがいい。




『M』(32…トップ画像)

初期ドイツ映画を牽引した天才、フリッツ・ラングによるサスペンス。

異様な弾劾裁判のシーンに、ラングの深い洞察力が光る。


『U・ボート』(81)

本コラムでも何度か言及しているが、やはり、潜水艦映画にハズレなし。

極限状態を生きる男たちをリアリティ溢れる演出で描き、こんなものには乗りたくないと思わせてくれた。


『愛を読むひと』(2008)

「はじめてのひと」が、アウシュヴィッツ強制収容所の女性看守になっていた。

映画を支えるのは俳優の顔ではなく、身体なのかもしれない・・・とまで思わせる、ケイト・ウィンスレットの裸身が素晴らしい。




『イングロリアス・バスターズ』(2009)

「せめて映画のなかだけでも…」という思いがあるのか、QTタランティーノは「歴史の大逆転」を図った作品をいくつか撮っている。

そういうところが格好いいんだな。




あすのしりとりは・・・
どい「つ」→「つ」あー。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(282)』
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米オスカー総評

2019-02-26 02:53:16 | コラム
面目ない涙

24部門中、正解したのは、たったの13部門!!

ぎりぎり5割を超した程度・・・で、果たして映画小僧を自称していいのかって話である。

自分が設定した及第点は「6割超」、
しょうがない、自尊心が少し傷つけられるが映画小僧を(今年いっぱい)返上することにしよう。


(1)総合司会なし

・・・でも、なんとか進行出来るものだね。

個人的には、居たほうが特色が出るので来年は誰かにやってほしいところだが。

(2)スパイク・リーの脚色賞受賞

これが、いちばんうれしかった。

『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)のころ、神童扱いされていたオシャレな黒人監督もすでに還暦を迎えている。

スランプを乗り越え、壇上で大喜びするリーの姿に胸が熱くなった。


※「マザーファッカー」と発してしまったため、やっぱり音声カットされてる笑笑




(3)グレン・クローズ、受賞逃す

逆にいちばんショックだったのが、また受賞出来なかったクローズ。

「めぐりあわせ」的に、今度こそ! と思ったのだけれども。。。

(4)愛されるキュアロン



アルフォンソ・キュアロンほど、現代のハリウッドで愛されている映画作家は居ない。

今回、カメラマンとして撮影賞を取ったことで、外国語作品・監督・撮影賞のオスカーをコレクションしたことになったのだもの。

(5)ガガさまの涙



パフォーマンスとしてはベッド・ミドラーの歌声にやられたが、
あれだけセルフプロデュースに長けているガガさまが、ふつうに涙している姿は感動的。

えがった、えがった。


総じて楽しめたが・・・

時間短縮を意識し過ぎるあまり、「スピーチはやく終わらせて」テーマ曲が頻繁に流れたこと、

それから日本のメディアが『ボヘミアン・ラプソディ』受賞ばかりを取り上げ、作品賞への言及が少なかったこと、

さらにいえば、

「日本勢は受賞ならず」のニュースに、「是枝さんは反日発言が多いから受賞なんかしなくていい」みたいな、料簡が狭過ぎるコメントを残す一部アホタレが居たことは、とっても残念に思う。


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~受賞結果一覧~


▽作品賞

『グリーンブック』

▽監督賞

アルフォンソ・キュアロン『ROMA ローマ』

▽主演男優賞

ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』

▽主演女優賞

オリビア・コールマン『女王陛下のお気に入り』

▽助演男優賞

マハーシャラ・アリ『グリーンブック』

▽助演女優賞

レジーナ・キング『ビール・ストリートの恋人たち』

▽脚本賞

ニック・バレロンガ、ブライアン・カリー、ピーター・ファレリー『グリーンブック』

▽脚色賞

チャーリー・ワクテル、デビッド・ラビノウィッツ、ケビン・ウィルモット、スパイク・リー『ブラック・クランズマン』

▽視覚効果賞

『ファースト・マン』

▽美術賞

『ブラックパンサー』

▽撮影賞

アルフォンソ・キュアロン『ROMA ローマ』

▽衣装デザイン賞

『ブラックパンサー』

▽長編ドキュメンタリー賞

『Free Solo』

▽短編ドキュメンタリー賞

『Period. End of Sentence.』

▽編集賞

『ボヘミアン・ラプソディ』

▽外国語映画賞

『ROMA ローマ』(メキシコ)

▽音響編集賞

『ボヘミアン・ラプソディ』

▽録音賞

『ボヘミアン・ラプソディ』

▽メイクアップ&ヘアスタイリング賞

『バイス』

▽作曲賞

ルドウィグ・ゴランソン『ブラックパンサー』

▽長編アニメーション賞

『スパイダーマン スパイダーバース』

▽短編アニメーション賞

『Bao』

▽主題歌賞

“Shallow”『アリー スター誕生』

▽短編実写映画賞

『Skin』

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『シネマしりとり「薀蓄篇」(281)』
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指示待ち人間

2019-02-25 00:10:00 | コラム
先日の『マツコ&有吉 かりそめ天国』(テレビ朝日)で、

「指示を待つ人間はダメなのか」という視聴者投稿があった。


曰く「コンビニのバイトの先輩に自分で仕事を探してと注意されたが、そんな先輩は店長に余計なことをするなと怒られていた」。


これに対しマツコさんも有吉ちゃんも、

「そんな特殊な例を出してはダメ。やっぱり自分から動こうとするひとじゃないと評価なんてされない」みたいに返していて、あぁ分かる分かる、、、と。

たとえそれが間違っていたとしても「ボーーーーーっと」しているよりマシだし、役に立ちたいとか、使えないヤツと思われるのがイヤだとか、そういう思いの表れってポイント高いものね。

という自分だって若いころは、なかなかに使えないヤツだった(と思う)。

「やること分からないんだったら、あのひとに聞いて」といわれるも、その「あのひと」がモノスゴ忙しそうにしていたら話しかけるのも気が引けるし、
使えないヤツが自分のほかに「もうひとり」居たときなんか、ボスの使う脚立を左右から支えたりしてさ。

「ふたりで同じことして、どーすんだよ」みたいな。

北野武の『ソナチネ』(93)でもあったよね、子分たちがワチャワチャやりながらお茶をくんでいたら、ボスが「みんなでお茶くんでどうすんだよ」と怒るシーン。


そういうことを何度も繰り返しつつ、

分からないヤツによる、分からないなりの振る舞いかた―というものを(なんとなく)習得した。


投稿者は10代だったみたいだから、その歳でマツコ&有吉に注意を受けるなんて幸福だよ~。

怒られる先輩見て「余計なことはするべきでない」というのを第一義として考える20代になってしまったらきっと、方々で「使えないヤツ」といわれるようになると思うから。。。


※トップ画像と予告編動画は、成龍の『プロジェクトA2』(87)。

汚職にまみれたダメな署長に代わって、成龍が署員に指示を出すところが好き。

署員さんたち、みんなうれしそうなんだもの。



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映画監督別10傑(41)トニー・スコット

2019-02-24 00:10:00 | コラム
~トニー・スコットのキャリア10傑~

弟は遺書を書き残し、橋からダイブしてこの世を去った。

享年68歳。

弟のぶんまで―と奮闘する兄リドリーは、自身の持つ美的センスのほかに弟「のほうが」持っていた「ヒット要素」を取り入れ、なにかに取り憑かれたかのように映画を撮りつづけている。

けなげだなぁ、そして弟トニーは幸福なヤツだなぁ! と思う。


死んだから褒める・・・というのはちがうと思うが、ヒットメーカーの宿命だろう、リドリーに比べてトニーは「批評面」で評価されてこなかったところがある。

たしかに荒い演出は見受けられるが、観てつまらないと思う作品を「ほぼ」撮っていない事実は、もっと称えられていいと思う。


(1)『ビバリーヒルズ・コップ2』(87)

スピーディな展開にキレのあるアクション、そして冴え渡るエディ・マーフィーの話芸。

つまらないはずがない。




(2)『トゥルー・ロマンス』(93)

正直、この映画に関してはトニーの功績よりも、QTタランティーノの詩心と、熱演する俳優陣のおかげといったほうがいいのだが。




(3)『クリムゾン・タイド』(95)

潜水艦映画にハズレなし、を証明してくれた会心のアクション。

「アラバマ、サー!」のシーンは、ほんとうにしびれる。


(4)『ラスト・ボーイスカウト』(91)

私立探偵と元フットボウラーが手を組む、いわゆるバディ物。

無茶な展開がつづくが、一気に魅・見せるので綻びも気にならない。


(5)『リベンジ』(90)

ケビン・コスナーの「ワル」な一面を描こうとして(じつは)失敗しているのだが、当時好調のマデリーン・ストーがとにかく美しく魅力的なので。




(6)『アンストッパブル』(2010)

乗り物パニックの佳作。

次から次へトラブルが発生する・・・みたいな王道のアクションを撮らせたら、たぶんマイケル・ベイより上手なのだよね。




(7)『トップガン』(86)

トム・クルーズ主演のメガヒット作。

MTVのような創りに批判的な向きも多く、じつは自分もそんなひとりだが、じゃあつまらないのかといえばそんなことはない。


(8)『ザ・ファン』(96)

偏執的な野球ファンをデ・ニーロが嬉々として演じ、脚本の綻びを補ってくれているところはあったかな。


(9)『デイズ・オブ・サンダー』(90)

トム・クルーズ&ニコール・キッドマン主演でカーレースの世界を描く。

中年になってさらに輝くニコール様のファンだが、若いころは「それほど…」だったという点でジュリアン・ムーアと似たところがあるのかもしれない。




(10)『ワン・モア・トライ』(88)

CM、PVも多く手がけているが、ここではジョージ・マイケルの1本をチョイス。

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明日のコラムは・・・

『指示待ち人間』
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