「おんな」と「おんな」の恋愛を深いところまで描いた『キャロル』を観て、
21世紀の映画小僧として「あたりまえ」のようにこの物語に触れてはいるけれど、こうした世界観が認められるようになったのは、それほど前の話ではなかったのだよなぁ、、、と思った。
映画は華やかであるいっぽうで、マイノリティを掬うのに適した表現でもあって。
トラビスにしたってそうじゃないか。
あんなヤツがあちこちに存在している世の中はどうかしている、
だから名作ではあるけれども、観たもの全員のこころを捉えることはない、
ないが、100人のうち3人くらいのこころを鷲掴みにするわけですよ、
そのひとりが、自分みたいなザーメンクソヤロウであったと。
LGBTということばの浸透も、ここ最近のことである。
(簡単にいえば、性的少数者の総称)
映画は120歳くらいだが、モノクロームの時代にゲイのキャラクターが登場しなかったわけではない。
ただ、登場はしてきてもコメディリリーフのような役割を担わされているのが常で、ひとりの人格として描かれることはなかった。
それを「はっきりと」変えたのはビスコンティだった、と個人的には思う。
以下は、LGBTを主題にした映画の10傑である。
これらの映画が格闘したうえに『キャロル』の誕生がある―ということを、忘れないでおこう!
(1)『クライング・ゲーム』(92)
「―それがお前の、性なんだ」
この台詞に尽きるだろう。
(2)『ボーイズ・ドント・クライ』(90)
胸をさらしで巻いて、腕立て伏せに励み「男」になろうと努めた「おんなのこ」の物語。
(3)『ブエノスアイレス』(97)
途中から、男であるとか、女であるとか、どうでもよくなってしまった。
(4)『マルホランド・ドライブ』(2001)
とはいえ。
キッタネー男として思うのは、男と男の愛より、女と女の愛のほうが「絵としては」美しいなと。
(5)『モンスター』(2003)
先天性と後天性。
この主人公の場合は、おそらく後天性だと思われる。
(6)『ベニスに死す』(71)
圧倒的な「ゲーージツ!!」感で、四の五のいわせない迫力がある。
(7)『プリシラ』(94)
一見すると陽気なコメディ、だがその陽気さは「そうでなければ、やっていられない」切実さの裏返しなのだ。
(8)『ユージュアル・サスペクツ』(95)
明確にゲイとして描かれているわけではないが、雰囲気は濃厚。
・・・と思っていたら、監督はのちにゲイであることをカミングアウトした。
(9)『真夜中のパーティ』(70)
学生時代、講師に薦められて鑑賞。
講師いわく「フリードキンほど、真剣にゲイを描いた映画監督は居ない」。
なんとなく、分かる気がする。
(10)『御法度』(99)
雰囲気だけで見せる内容には、やや不満があったが・・・。
オオシマが若いころに撮っていたとしたら、もっと直截的に描いたかもしれない。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『オスカー短評 + 2月コラムの目次』
21世紀の映画小僧として「あたりまえ」のようにこの物語に触れてはいるけれど、こうした世界観が認められるようになったのは、それほど前の話ではなかったのだよなぁ、、、と思った。
映画は華やかであるいっぽうで、マイノリティを掬うのに適した表現でもあって。
トラビスにしたってそうじゃないか。
あんなヤツがあちこちに存在している世の中はどうかしている、
だから名作ではあるけれども、観たもの全員のこころを捉えることはない、
ないが、100人のうち3人くらいのこころを鷲掴みにするわけですよ、
そのひとりが、自分みたいなザーメンクソヤロウであったと。
LGBTということばの浸透も、ここ最近のことである。
(簡単にいえば、性的少数者の総称)
映画は120歳くらいだが、モノクロームの時代にゲイのキャラクターが登場しなかったわけではない。
ただ、登場はしてきてもコメディリリーフのような役割を担わされているのが常で、ひとりの人格として描かれることはなかった。
それを「はっきりと」変えたのはビスコンティだった、と個人的には思う。
以下は、LGBTを主題にした映画の10傑である。
これらの映画が格闘したうえに『キャロル』の誕生がある―ということを、忘れないでおこう!
(1)『クライング・ゲーム』(92)
「―それがお前の、性なんだ」
この台詞に尽きるだろう。
(2)『ボーイズ・ドント・クライ』(90)
胸をさらしで巻いて、腕立て伏せに励み「男」になろうと努めた「おんなのこ」の物語。
(3)『ブエノスアイレス』(97)
途中から、男であるとか、女であるとか、どうでもよくなってしまった。
(4)『マルホランド・ドライブ』(2001)
とはいえ。
キッタネー男として思うのは、男と男の愛より、女と女の愛のほうが「絵としては」美しいなと。
(5)『モンスター』(2003)
先天性と後天性。
この主人公の場合は、おそらく後天性だと思われる。
(6)『ベニスに死す』(71)
圧倒的な「ゲーージツ!!」感で、四の五のいわせない迫力がある。
(7)『プリシラ』(94)
一見すると陽気なコメディ、だがその陽気さは「そうでなければ、やっていられない」切実さの裏返しなのだ。
(8)『ユージュアル・サスペクツ』(95)
明確にゲイとして描かれているわけではないが、雰囲気は濃厚。
・・・と思っていたら、監督はのちにゲイであることをカミングアウトした。
(9)『真夜中のパーティ』(70)
学生時代、講師に薦められて鑑賞。
講師いわく「フリードキンほど、真剣にゲイを描いた映画監督は居ない」。
なんとなく、分かる気がする。
(10)『御法度』(99)
雰囲気だけで見せる内容には、やや不満があったが・・・。
オオシマが若いころに撮っていたとしたら、もっと直截的に描いたかもしれない。
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明日のコラムは・・・
『オスカー短評 + 2月コラムの目次』