Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

初体験 リッジモント・ハイ(216)

2017-03-31 00:10:00 | コラム
「専門学校で、初めて交わした会話」がテーマなので、映画のなかの「ふたりが、初めて交わした会話」で印象に残るものをふたつほど。

…………………………………………

『セブン』(95)



「サマセットさん? 新人のミルズです」
「ひとつ聞きたいことがある」
「どうぞ」
「なぜ、ここへ来た?」
「なぜ、、、って?」
「君は、喧嘩してまでここへ来た。そんな奴は初めてだ」
「あんたと同じだろう、活躍したかったんだよ」
「私のこと、知りもしないで」
「最初から、あんまり難癖をつけないでくれ」
「君は、ここでは新人だ」
「そうです」
「7日間は、私に黙ってついてくればいい」
「・・・・・」

ふたりの関係性が、わずか数秒で分かる見事な導入部。

…………………………………………

『タクシードライバー』(76)




「ボランティアしたい」
「いいねぇ」
「彼女の、ボランティアをしたいんだ」

(中略)

「コーヒーでも飲まないか」
「なぜ?」
「君は孤独な人間だ。いろんなものに囲まれているが、ひとりぼっちさ。友達が必要なんだよ」

トラビスは、積極的に、ひとと、社会と関わりを持とうとしていたんだよね。

…………………………………………

人間関係は、最初が肝心。

基本的には、繰り返す、基本的には第一印象が揺らぐことはないだろうから。

だから、ナンダカンダいって「顔」は大事だし、最初に交わす会話で、その後の関係性が決定づけられるようなところがあると思う。

長いこと関係を築けている友人とは、大抵、よい出会いかた・面白い会話を展開しているもん。


にっかつ撮影所のスタジオでおこなわれた入学式、、、のあとの親睦会。

隣りに座ったのが、きのうのトップ画像に掲げたNくん(向かって左)だった。

すぐに会話をしたわけではない、互いに会釈はしたが、しばらくは周りの雑談などに耳を傾けていた。

この雑談の内容が、自分にとってはショッキングで。

というのも。
誰も、映画の話をしていないのである。

映画の学校だというのに!?

あちこちで映画作家の名前が飛び交っている・・・あぁ、自分のなかにあった映画学校のイメージが壊れていく。

そのことに不安を抱き、焦り? そうしてNくんに話しかけたのであった。

敢えて、映画の話で。

「―あの、どんな映画が好きなんですか」
「ジャンルですか、作品名で答えたほうがいいのかな」
「監督でいきましょうか。自分は、知っていますかね、マーティン・スコセッシって」

スコセッシの名前を聞いた途端、Nくんは「指ぱっちん」をして、こう答えたのである。

「あぁ! 『タクシードライバー』!!」

ふたりは笑顔になり、握手を交わした。

この瞬間、彼とは長い付き合いになるだろうなと確信出来た。


映画学校とはいえ。
世界で屈指の名監督とはいえ。

なかなか居ないですよ、好みの監督が同じというのは。
この時代と、18歳という年齢を考えれば、なおのことである。

黒澤やスピルバーグ、であったとしたら、これほどの驚きはなかったのだろうけれども。


先日も同年代のひとと初対面し、そこそこ映画を観るというので、どんな映画が好きなのか・映画監督では誰が好きなのかを問うたが、なかなか答えてくれなかった。

こういう場合は「ド」メジャーが好きなのでいうのが恥ずかしい、か、誰も知らないような作品なので周りが白けると思っているか、のどちらかである。

それでも自分が諦めないので、彼はやっと重い口を開いてくれた。

ジム・ジャームッシュ。

あぁ、なるほど! と思った。

彼は自分がジャームッシュを知っていることに驚いていたが、いやいや、そこまでマイナーなひとでもないし!

ただ、どんな場所でこの名を出しても周りが「しーん。」となって困る、、、といったこと、なんとなく分かるなぁ笑


おわり。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『このまま卒業、してくれまいか。 + 3月コラムの目次』
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

初体験 リッジモント・ハイ(215)

2017-03-30 00:10:00 | コラム
前にも書いたことがあるが・・・

自分が関わったところは、潰れてしまう・閉鎖されてしまう傾向にある。

(1)高校生のころにアルバイトした映画館、『清流』は閉館。

(2)20歳のころにアルバイトした複合映画館、『多摩カリヨンシアター』も閉館。

(3)23歳のころに勤めたパン工場、『日糧製パン町田工場』まで閉鎖。

(4)18歳から30歳まで住んだアパート、『マカロニほうれん荘』は取り壊された。


そして、
(5)わが学び舎『にっかつ芸術学院』が閉校。


・・・・・切ないねぇ。

生きてりゃ、連続した偶然性なんていくつもある、それが世の常だというひとも居るだろうが、こうやってまとめて書いてみると、「そういうもの」を持っているヤツなんじゃないかって笑


トップ画像は、4年前だろうか、(5)に記した学び舎がなくなることを惜しんで開催された同窓会でのワンショット。

生意気に中央に陣取っているが、周りの子たちの恩師じゃないよ、みんな同級生だからね笑


そんなわけで今回の初体験シリーズは、「専門学校で交わした、初めての会話」でいってみたい。

うん、モノスゴはっきりと覚えているんだ。

一言一句、きちんと覚えている。

それだけ印象的だったということだが、そこから遡ること6年―中学1年時に交わした、初めての会話も「はっきりと」覚えている。

「岡田有希子、死んだね」だった。



隣りの席の子と、そんな会話を展開した。

その子の名前は、覚えていないけれど。。。


トップ画像を、もう少し解説していこう。

自分の下の位置でしゃがんでいる、キュートな女子Aちゃん。

自分と同じシナリオを専攻する子で、現在でもときどき連絡を取り合う仲である。

ひとりの女子として、まあまあ好きだった。

未だつながりのある子なのだから、すごく好きだった・・・くらい書いたほうがいいのだろうが、まぁ照れているのです、少し。

向かって左端に映っている、メガネ男子Nくん。

趣味嗜好が自分と似ていて、とても仲良し。
彼とも、ときどき連絡を取り合っている。

このNくんと最初に交わした会話が、今回のシリーズの本題である。


その内容は、あしたに譲るとして・・・。

自分が専門学校で映画術を学んだのは、92年~94年のこと。

90年代前半が、どんなだったかというと、社会的には「バブル後遺症」などと評された時代である。

バイト情報誌が見る見る薄くなっていき、就職氷河期などともいわれていた。

尤も自分のようなガキはピンときていなかった。

映画界ではミニシアターブームが到来し、インディーズ映画がもてはやされた。
その波に乗って、、、というより、彼自身が牽引したともいえるが、QTタランティーノが登場し映画ファンに衝撃が走る。

音楽はグランジ一色、誰も彼もがカート・コバーンの死に涙した。

漫画では小林よしのりが『SPA!』で『ゴーマニズム宣言』を連載開始、『朝まで生テレビ』を誌面で展開するような内容が画期的で、知的好奇心が旺盛な若者は、みんな読んでいたと記憶する。




自分より年上のひとには「まだまだ、だよ。」と突っ込まれるほどの近過去ではあるが、昔話が出来るほどには、時間が経過したのだなぁ、、、。


つづく。


※そのころに出会った、自分にとっての宝物のような映画

日本版『タクシードライバー』(76)みたいな物語―現代の感覚で再編集した予告編が、じつにいい。




…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(216)』
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Laylaからedgeへ

2017-03-29 00:10:00 | コラム
気のせいか、実際にそうなのか・・・

ケータイからスマホに変わり、いわゆる着メロを好きな曲に設定しているひとが減った気がする。

「どこで鳴るか分からんし、俺の風貌で、ももクロ流れ出したら“いかにも”って感じで、イタいでしょう」とは、ひとつ上の先輩ライター。

なるほど、そういうものだろうか。

着信音だけでそのひとの好みが分かるって、けっこう面白いけれどね。

というわけで、自分は未だ着メロ派だ。


初めてケータイを持ったときは、しばらく『いとしのレイラ』だった。

※冒頭の ♪ じゃがじゃがじゃがじゃーん ♪ ね





次いで、『タクシードライバー』(76)のメインテーマ。

けれども、渋過ぎておとなし過ぎて、鳴っていても気づかないことが多いから、すぐに変えたんだっけ。


スマホにして最初に設定したのは、『テクノポリス』だった。

音楽で最初に衝撃を受けたのは、YMOだったから。





で、現在はPerfumeのなかでいちばん好きな『edge』。





どうですか。

自分のスマホから『edge』が鳴ったら、イタいのでしょうか?


まぁ実際がイタいひとなので、なんとも思わないけれども。。。笑

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(215)』
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泡まつり

2017-03-28 00:10:00 | コラム
・・・いや、ソープ(ランド)の話ではなく。

かといって、CYBERJAPAN DANCERS(トップ画像)が出演する「泡フェス」の話でもない。

ビールね、ビールの泡の話。

泡がきめ細かい、あるいは、泡を生クリームのメレンゲ状態にしてグラスに注ぐことが「ビールの醍醐味」みたいなことがいわれているけれども、
ビール党のなかには、泡を重要視していないひとが2割くらい居て。

「缶のまま吞む派」は、まさにそうであるし、
グラスに注ぐ際も、「泡を作らないようにして」と注文するひとだって居る。

自分?

最初の1杯だけ、泡がほしい。
2杯目からは、あってもなくても無問題。


職業柄、店頭に並ぶ前に新商品のビールをいただくことが多い。

いい文章を書いて宣伝してくださいよ! ってことだが、プルタブ開けた途端に仕事であることを忘れてしまうことが多く、モノカキとしては失格だろう。

春の新作も、ほとんど試した。

そこできょうは、花見に最適な「真に美味い新作ビール」を3つほど紹介しておきたい。


(1)スーパードライ エクストラハード(アサヒ)



ドライ系のビールにハズレなし。

ちなみにジョッキには、「光永、生涯現役!」と記されている。

(2)一番搾り 若葉香るホップ(キリン)

パッケージも鮮やか。

1位と2位は、ほんの少しの差です。

(3)春の薫り クラシック(サッポロ)

しかし北海道限定で発売。

自分も350mlひとつしか呑んでいないので、きっちりと味の評価をするには、あともう1缶ほど呑みたいところだが。


アサヒ・キリン・サッポロの3大メジャーが仲良く並ぶ結果に。

タダでもらったからって、配慮して展開しているわけじゃないからね笑


それを証明? するために、ひとつ落第点をつけたビールを挙げておこうか。

今期のヱビスは、ダメ。

上品に過ぎて、労働者階級の舌には喉には、響かなかったです。





…………………………………………

明日のコラムは・・・

『Laylaからedgeへ』
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

にっぽん女優列伝(6)浅田美代子

2017-03-27 00:10:00 | コラム
56年2月15日生まれ・61歳。
東京出身。

公式プロフィール


音痴でいじられることの多い浅田美代子(あさだ・みよこ)さんですが、自分なんかからすると、有名人のなかでは「まだ」上手なほう、、、だと思います。

1位、宮沢りえ
2位、菅野美穂
3位、仲村トオル

次いで、美代子さんかと。

とくに宮沢りえは、「満を持して」的な感じがありましたし。

自分は実家でとーちゃんと「初歌唱」に触れたと記憶していますが、とーちゃん、立ち上がってどこかに行ってしまいましたもの笑


「元祖・天然」、、、いや「元祖・おバカ」と評されることも多いひと、しかし近年は河瀨直美、俊英・安藤桃子らの映画に起用され、



「意外と女優さん」しているところが、ちょっとオドロキではあります。




<経歴>

前夫は、フォークシンガーの吉田拓郎。

女子高生だったころにスカウトされ、芸能界入り。
TBSの人気ドラマシリーズ『時間ですよ』の第3シーズン(73)に、お手伝いさん・相馬ミヨコ役としてデビュー、その庶民性が受けて人気を博し、と同時に劇中歌『赤い風船』が大ヒットを記録する。

映画俳優デビュー作は、同年の『ときめき』。

キャリア前半はテレビドラマが中心で、映画にはあまり顔を出していません。

『あした輝く』(74)
『しあわせの一番星』(74)
『陽のあたる坂道』(75)
『フリーター』(87)
『息子』(91)

94年―松竹の人気シリーズ『釣りバカ日誌』の第7作目より、2代目の浜崎みち子役に挑戦。
これが好評を得て、2009年の第20作目まで浜ちゃん夫人を演じつづけました。

このあたりから徐々に映画の仕事が増え始め・・・

『大夜逃 夜逃げ屋本舗3』(95)、『走れ!イチロー』(2001)、『銀のエンゼル』(2004)、『愛の流刑地』(2006)、『赤い鯨と白い蛇』(2006)、『オトシモノ』(2006)、『佐賀のがばいばあちゃん』(2006)に出演、

とくに2007年以降は作品にも恵まれ、

『赤い文化住宅の初子』(2007)、『歓喜の歌』(2008)、『受験のシンデレラ』(2008)、『僕らのワンダフルデイズ』(2009)
『きな子~見習い警察犬の物語~』(2010)、『ばかもの』(2010)、『シェアハウス』(2011)、『ツナグ』(2012)、『カラアゲ☆USA』(2014)、『0.5ミリ』(2014)、『さいはてにて―やさしい香りと待ちながら―』(2015)、そして河瀨直美の『あん』(2015)・・・という具合に、キャリア前半からは想像のつかない「中堅映画女優」としての活躍がつづいています。

年齢的に「おかあさん」を演じることが多いですが、実際に居そうですものね、ああいう感じの、穏やかなおかあさん。

そのあたりが受けている―ことを考えると、人気の核は、デビュー当時と変わっていないのかもしれません。


次回のにっぽん女優列伝は、浅野温子さんから。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『泡まつり』
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする