「専門学校で、初めて交わした会話」がテーマなので、映画のなかの「ふたりが、初めて交わした会話」で印象に残るものをふたつほど。
…………………………………………
『セブン』(95)
「サマセットさん? 新人のミルズです」
「ひとつ聞きたいことがある」
「どうぞ」
「なぜ、ここへ来た?」
「なぜ、、、って?」
「君は、喧嘩してまでここへ来た。そんな奴は初めてだ」
「あんたと同じだろう、活躍したかったんだよ」
「私のこと、知りもしないで」
「最初から、あんまり難癖をつけないでくれ」
「君は、ここでは新人だ」
「そうです」
「7日間は、私に黙ってついてくればいい」
「・・・・・」
ふたりの関係性が、わずか数秒で分かる見事な導入部。
…………………………………………
『タクシードライバー』(76)
「ボランティアしたい」
「いいねぇ」
「彼女の、ボランティアをしたいんだ」
(中略)
「コーヒーでも飲まないか」
「なぜ?」
「君は孤独な人間だ。いろんなものに囲まれているが、ひとりぼっちさ。友達が必要なんだよ」
トラビスは、積極的に、ひとと、社会と関わりを持とうとしていたんだよね。
…………………………………………
人間関係は、最初が肝心。
基本的には、繰り返す、基本的には第一印象が揺らぐことはないだろうから。
だから、ナンダカンダいって「顔」は大事だし、最初に交わす会話で、その後の関係性が決定づけられるようなところがあると思う。
長いこと関係を築けている友人とは、大抵、よい出会いかた・面白い会話を展開しているもん。
にっかつ撮影所のスタジオでおこなわれた入学式、、、のあとの親睦会。
隣りに座ったのが、きのうのトップ画像に掲げたNくん(向かって左)だった。
すぐに会話をしたわけではない、互いに会釈はしたが、しばらくは周りの雑談などに耳を傾けていた。
この雑談の内容が、自分にとってはショッキングで。
というのも。
誰も、映画の話をしていないのである。
映画の学校だというのに!?
あちこちで映画作家の名前が飛び交っている・・・あぁ、自分のなかにあった映画学校のイメージが壊れていく。
そのことに不安を抱き、焦り? そうしてNくんに話しかけたのであった。
敢えて、映画の話で。
「―あの、どんな映画が好きなんですか」
「ジャンルですか、作品名で答えたほうがいいのかな」
「監督でいきましょうか。自分は、知っていますかね、マーティン・スコセッシって」
スコセッシの名前を聞いた途端、Nくんは「指ぱっちん」をして、こう答えたのである。
「あぁ! 『タクシードライバー』!!」
ふたりは笑顔になり、握手を交わした。
この瞬間、彼とは長い付き合いになるだろうなと確信出来た。
映画学校とはいえ。
世界で屈指の名監督とはいえ。
なかなか居ないですよ、好みの監督が同じというのは。
この時代と、18歳という年齢を考えれば、なおのことである。
黒澤やスピルバーグ、であったとしたら、これほどの驚きはなかったのだろうけれども。
先日も同年代のひとと初対面し、そこそこ映画を観るというので、どんな映画が好きなのか・映画監督では誰が好きなのかを問うたが、なかなか答えてくれなかった。
こういう場合は「ド」メジャーが好きなのでいうのが恥ずかしい、か、誰も知らないような作品なので周りが白けると思っているか、のどちらかである。
それでも自分が諦めないので、彼はやっと重い口を開いてくれた。
ジム・ジャームッシュ。
あぁ、なるほど! と思った。
彼は自分がジャームッシュを知っていることに驚いていたが、いやいや、そこまでマイナーなひとでもないし!
ただ、どんな場所でこの名を出しても周りが「しーん。」となって困る、、、といったこと、なんとなく分かるなぁ笑
おわり。
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明日のコラムは・・・
『このまま卒業、してくれまいか。 + 3月コラムの目次』
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『セブン』(95)
「サマセットさん? 新人のミルズです」
「ひとつ聞きたいことがある」
「どうぞ」
「なぜ、ここへ来た?」
「なぜ、、、って?」
「君は、喧嘩してまでここへ来た。そんな奴は初めてだ」
「あんたと同じだろう、活躍したかったんだよ」
「私のこと、知りもしないで」
「最初から、あんまり難癖をつけないでくれ」
「君は、ここでは新人だ」
「そうです」
「7日間は、私に黙ってついてくればいい」
「・・・・・」
ふたりの関係性が、わずか数秒で分かる見事な導入部。
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『タクシードライバー』(76)
「ボランティアしたい」
「いいねぇ」
「彼女の、ボランティアをしたいんだ」
(中略)
「コーヒーでも飲まないか」
「なぜ?」
「君は孤独な人間だ。いろんなものに囲まれているが、ひとりぼっちさ。友達が必要なんだよ」
トラビスは、積極的に、ひとと、社会と関わりを持とうとしていたんだよね。
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人間関係は、最初が肝心。
基本的には、繰り返す、基本的には第一印象が揺らぐことはないだろうから。
だから、ナンダカンダいって「顔」は大事だし、最初に交わす会話で、その後の関係性が決定づけられるようなところがあると思う。
長いこと関係を築けている友人とは、大抵、よい出会いかた・面白い会話を展開しているもん。
にっかつ撮影所のスタジオでおこなわれた入学式、、、のあとの親睦会。
隣りに座ったのが、きのうのトップ画像に掲げたNくん(向かって左)だった。
すぐに会話をしたわけではない、互いに会釈はしたが、しばらくは周りの雑談などに耳を傾けていた。
この雑談の内容が、自分にとってはショッキングで。
というのも。
誰も、映画の話をしていないのである。
映画の学校だというのに!?
あちこちで映画作家の名前が飛び交っている・・・あぁ、自分のなかにあった映画学校のイメージが壊れていく。
そのことに不安を抱き、焦り? そうしてNくんに話しかけたのであった。
敢えて、映画の話で。
「―あの、どんな映画が好きなんですか」
「ジャンルですか、作品名で答えたほうがいいのかな」
「監督でいきましょうか。自分は、知っていますかね、マーティン・スコセッシって」
スコセッシの名前を聞いた途端、Nくんは「指ぱっちん」をして、こう答えたのである。
「あぁ! 『タクシードライバー』!!」
ふたりは笑顔になり、握手を交わした。
この瞬間、彼とは長い付き合いになるだろうなと確信出来た。
映画学校とはいえ。
世界で屈指の名監督とはいえ。
なかなか居ないですよ、好みの監督が同じというのは。
この時代と、18歳という年齢を考えれば、なおのことである。
黒澤やスピルバーグ、であったとしたら、これほどの驚きはなかったのだろうけれども。
先日も同年代のひとと初対面し、そこそこ映画を観るというので、どんな映画が好きなのか・映画監督では誰が好きなのかを問うたが、なかなか答えてくれなかった。
こういう場合は「ド」メジャーが好きなのでいうのが恥ずかしい、か、誰も知らないような作品なので周りが白けると思っているか、のどちらかである。
それでも自分が諦めないので、彼はやっと重い口を開いてくれた。
ジム・ジャームッシュ。
あぁ、なるほど! と思った。
彼は自分がジャームッシュを知っていることに驚いていたが、いやいや、そこまでマイナーなひとでもないし!
ただ、どんな場所でこの名を出しても周りが「しーん。」となって困る、、、といったこと、なんとなく分かるなぁ笑
おわり。
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明日のコラムは・・・
『このまま卒業、してくれまいか。 + 3月コラムの目次』