「そこそこ映画を観る」という、20代前半の女子と知り合いになった。
「ここ数年でいちばんの脚本」と評価出来る『スリー・ビルボード』が公開直後だったということもあり、この作品を強く薦めると、
彼女は「ふつうに観ていて、脚本のすごさって気づくものなんでしょうか」と問うてきた。
(彼女にかぎらず)みんなが疑問に持つことのようで、同じような質問は何度も受けてきた。
「あなたは脚本の勉強をしてきたからそういう視点で捉えるけれど、ふつうのひとは…」ってやつだ。
そこで自分は、彼女に以下の10本を薦めた。
「ふつうに観ていても、脚本すげー! と思っちゃう映画10選」。
好き嫌いはあると思うが、映画好きの同志たち、すげー! と認めざるを得ない傑作群だよね?
※きょうのタイトル「screenplay」とは、英語で脚本のことを指す。
(1)『生きる』(52)
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
自分の能力を過信していなかった黒澤は、脚本を複数で手がけていた。
その結果、主人公が居ないという驚くべき後半が生まれたのでしょう。
(2)『太陽を盗んだ男』(79)
脚本:レナード・シュレイダー
発想の勝利。
ひとりで原爆作っちゃう男の話なんて、狂人でなければ考えつかないよ。
(3)『クライング・ゲーム』(92)
脚本:ニール・ジョーダン
巧みなストーリーテリングとは、こういう映画のことをいう。
(4)『切腹』(62)
脚本:橋本忍
誰も想像出来ない展開も素晴らしいが、時代劇に批評性というものを宿らせた野心を称えたい。
(5)『ロッキー』(76)
脚本:シルベスター・スタローン
頭の悪いキャラクターを演じることが多いスライ(失礼!)だが、じつはキレ者なんだよ。
キャラクターの描き分けかたは、教材級だと思う。
(6)『ユージュアル・サスペクツ』(95)
脚本:クリストファー・マッカリー
みんなオチのことしか言及しないけど、そうじゃないということは何遍もいっている。
(7)『天国と地獄』(63)
脚本:黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄
全文を書き写してみた脚本は、後にも先にもこれ1本だけ。
(8)『狼たちの午後』(75)
脚本:フランク・ピアソン
室内劇の教科書のような作品。
(9)『スティング』(73)
脚本:デヴィッド・S・ウォード
騙された観客自身が、笑顔で「やられた!」と思ってしまうほど巧妙。
(10)『パルプ・フィクション』(94)
脚本:クエンティン・タランティーノ
基本的にQTの脚本は「演出がプラスされてこそ」だとは思うが、この映画にかぎっては「脚本オンリー」でも読み物として楽しめる完成度かと。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『いうほど降らない + 05月コラムの目次』
「ここ数年でいちばんの脚本」と評価出来る『スリー・ビルボード』が公開直後だったということもあり、この作品を強く薦めると、
彼女は「ふつうに観ていて、脚本のすごさって気づくものなんでしょうか」と問うてきた。
(彼女にかぎらず)みんなが疑問に持つことのようで、同じような質問は何度も受けてきた。
「あなたは脚本の勉強をしてきたからそういう視点で捉えるけれど、ふつうのひとは…」ってやつだ。
そこで自分は、彼女に以下の10本を薦めた。
「ふつうに観ていても、脚本すげー! と思っちゃう映画10選」。
好き嫌いはあると思うが、映画好きの同志たち、すげー! と認めざるを得ない傑作群だよね?
※きょうのタイトル「screenplay」とは、英語で脚本のことを指す。
(1)『生きる』(52)
脚本:黒澤明、橋本忍、小国英雄
自分の能力を過信していなかった黒澤は、脚本を複数で手がけていた。
その結果、主人公が居ないという驚くべき後半が生まれたのでしょう。
(2)『太陽を盗んだ男』(79)
脚本:レナード・シュレイダー
発想の勝利。
ひとりで原爆作っちゃう男の話なんて、狂人でなければ考えつかないよ。
(3)『クライング・ゲーム』(92)
脚本:ニール・ジョーダン
巧みなストーリーテリングとは、こういう映画のことをいう。
(4)『切腹』(62)
脚本:橋本忍
誰も想像出来ない展開も素晴らしいが、時代劇に批評性というものを宿らせた野心を称えたい。
(5)『ロッキー』(76)
脚本:シルベスター・スタローン
頭の悪いキャラクターを演じることが多いスライ(失礼!)だが、じつはキレ者なんだよ。
キャラクターの描き分けかたは、教材級だと思う。
(6)『ユージュアル・サスペクツ』(95)
脚本:クリストファー・マッカリー
みんなオチのことしか言及しないけど、そうじゃないということは何遍もいっている。
(7)『天国と地獄』(63)
脚本:黒澤明、菊島隆三、久板栄二郎、小国英雄
全文を書き写してみた脚本は、後にも先にもこれ1本だけ。
(8)『狼たちの午後』(75)
脚本:フランク・ピアソン
室内劇の教科書のような作品。
(9)『スティング』(73)
脚本:デヴィッド・S・ウォード
騙された観客自身が、笑顔で「やられた!」と思ってしまうほど巧妙。
(10)『パルプ・フィクション』(94)
脚本:クエンティン・タランティーノ
基本的にQTの脚本は「演出がプラスされてこそ」だとは思うが、この映画にかぎっては「脚本オンリー」でも読み物として楽しめる完成度かと。
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