面目ない。
いつもエラソーに、いかにも映画のことを分かっている風にコラムを綴っている自称・映画小僧だが、
きのうの米オスカー賞で、24部門中12部門しか受賞結果を当てられなかった。
的中率5割じゃ、予想屋としても映画小僧としても信用を抱かれまい。
作品賞が『ラ・ラ・ランド』でなかったら、今年いっぱい「映画小僧」と名乗らない―と宣言していたので、実際そうすることにしよう。
さて短評。
式典そのものの展開は、クライマックスを除いて予想どおり。
(トップ画像は、主演女優賞受賞のエマ・ストーン。衣装も素敵だった)
一時期のオスカーは意図的に政治色を排していたが、9.11以降、そうもいっていられなくなったわけで、しかもハリウッドは基本的に反トランプである、第一級のジョークを交えながらトランプ政権をコケにしていた。
司会者ジミー・キンメルの餌食になっていたのは、マット・デイモンとメリル・ストリープ。
トランプに、Twitter上で「過大評価女優」と評されたメリルは、キンメルに同じことをいわれて笑いのネタにされていた。
こういうパロディ精神、さすがだなぁと思う。
いっぽうで、『ディア・ハンター』(78)の彼女の演技を観て、こころを動かされないような感受性の低い男が国のトップだとしたら、こんなに不幸なことはないよなぁ、、、と。
恒例となった追悼企画も素晴らしかったが、いちばん「ときめいた」のは、マイケル・J・フォックスがプレゼンターを務めたところ。
若年性パーキンソン病は進行中なのだろう、どこか麻痺しているような動きかたが痛々しくもあったが、敢えて「いま」を晒すところが格好よかった。
けれども。
生中継を観ていた映画ファンのほとんどが、クライマックスで大仰天し、それまでの3時間30分を忘れてしまったようなところがある。
投票結果はトップシークレット、受賞者・受賞作の名前が書かれた封筒の中身は徹底管理されている・・・はずなのに、手違い? が起こり、プレゼンターのフェイ・ダナウェイは作品賞受賞作を『ラ・ラ・ランド』といってしまう、
ほんとうは、『ムーンライト』だったのに!!
その後の混乱と収束は舞台慣れしているプロならではで、さすがだと感心はしたが、運営側としては最悪のミスであり、まちがいなく責任問題にまで発展し、ひょっとしたら代表者が辞任するかもしれない。
いちファンの視点でいえば「いちどくらいなら、あり。だな」とは思ったが、速報を流したメディア関係者にとっては大迷惑で、速報のあと「速報の訂正をする速報」を流さなければならなくなった。
まちがわれた『ラ・ラ・ランド』関係者が寛容? だったのは、それはプロだからであり、また、すでに数え切れないほど賞をもらっているからだろう。
結論。
中盤までの加点が効いて、クライマックスの大失点も致命傷にはならなかった。
技術賞や追悼企画に触れるたび、米国映画界は立派だよなぁと。
日本アカデミー賞も、そういうことやろうよ。
年にいちどくらい、編集マンやカメラマンが着飾り、壇上でスピーチしているものを放送する日があってもいいじゃない?
【受賞結果一覧】
■作品賞
『ムーンライト』
■監督賞
デイミアン・チャゼル 『ラ・ラ・ランド』
■主演男優賞
ケイシー・アフレック 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
■主演女優賞
エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』
■助演男優賞
マハーシャラ・アリ 『ムーンライト』
■助演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス 『フェンシズ』
■長編アニメ映画賞
『ズートピア』
■短編アニメ映画賞
『ひな鳥の冒険』
■脚本賞
ケネス・ロナーガン 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
■脚色賞
バリー・ジェンキンズ、タレル・アルヴィン・マクレイニー 『ムーンライト』
■撮影賞
リヌス・サンドグレン 『ラ・ラ・ランド』
■美術賞
デヴィッド・ワスコ、サンディ・レイノルズ・ワスコ 『ラ・ラ・ランド』
■音響編集賞
『メッセージ』
■録音賞
『ハクソー・リッジ』
■編集賞
ジョン・ギルバート 『ハクソー・リッジ』
■視覚効果賞
『ジャングル・ブック』
■歌曲賞
「City of Stars」 『ラ・ラ・ランド』
■作曲賞
ジャスティン・ハーウィッツ 『ラ・ラ・ランド』
■衣装デザイン賞
コリーン・アトウッド 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
■メイク・ヘアスタイリング賞
『スーサイド・スクワッド』
■外国語映画賞
『セールスマン』(イラン)
■短編実写映画賞
『シング』
■長編ドキュメンタリー賞
『O.J.:メイド・イン・アメリカ』
■短編ドキュメンタリー賞
『ホワイト・ヘルメット―シリアの民間防衛隊―』
※オープニングは、ジャスティン・ティンバーレイク。
かっけー!
おしゃれ!!
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『Tシャツで出かけたい + 2月コラムの目次』
いつもエラソーに、いかにも映画のことを分かっている風にコラムを綴っている自称・映画小僧だが、
きのうの米オスカー賞で、24部門中12部門しか受賞結果を当てられなかった。
的中率5割じゃ、予想屋としても映画小僧としても信用を抱かれまい。
作品賞が『ラ・ラ・ランド』でなかったら、今年いっぱい「映画小僧」と名乗らない―と宣言していたので、実際そうすることにしよう。
さて短評。
式典そのものの展開は、クライマックスを除いて予想どおり。
(トップ画像は、主演女優賞受賞のエマ・ストーン。衣装も素敵だった)
一時期のオスカーは意図的に政治色を排していたが、9.11以降、そうもいっていられなくなったわけで、しかもハリウッドは基本的に反トランプである、第一級のジョークを交えながらトランプ政権をコケにしていた。
司会者ジミー・キンメルの餌食になっていたのは、マット・デイモンとメリル・ストリープ。
トランプに、Twitter上で「過大評価女優」と評されたメリルは、キンメルに同じことをいわれて笑いのネタにされていた。
こういうパロディ精神、さすがだなぁと思う。
いっぽうで、『ディア・ハンター』(78)の彼女の演技を観て、こころを動かされないような感受性の低い男が国のトップだとしたら、こんなに不幸なことはないよなぁ、、、と。
恒例となった追悼企画も素晴らしかったが、いちばん「ときめいた」のは、マイケル・J・フォックスがプレゼンターを務めたところ。
若年性パーキンソン病は進行中なのだろう、どこか麻痺しているような動きかたが痛々しくもあったが、敢えて「いま」を晒すところが格好よかった。
けれども。
生中継を観ていた映画ファンのほとんどが、クライマックスで大仰天し、それまでの3時間30分を忘れてしまったようなところがある。
投票結果はトップシークレット、受賞者・受賞作の名前が書かれた封筒の中身は徹底管理されている・・・はずなのに、手違い? が起こり、プレゼンターのフェイ・ダナウェイは作品賞受賞作を『ラ・ラ・ランド』といってしまう、
ほんとうは、『ムーンライト』だったのに!!
その後の混乱と収束は舞台慣れしているプロならではで、さすがだと感心はしたが、運営側としては最悪のミスであり、まちがいなく責任問題にまで発展し、ひょっとしたら代表者が辞任するかもしれない。
いちファンの視点でいえば「いちどくらいなら、あり。だな」とは思ったが、速報を流したメディア関係者にとっては大迷惑で、速報のあと「速報の訂正をする速報」を流さなければならなくなった。
まちがわれた『ラ・ラ・ランド』関係者が寛容? だったのは、それはプロだからであり、また、すでに数え切れないほど賞をもらっているからだろう。
結論。
中盤までの加点が効いて、クライマックスの大失点も致命傷にはならなかった。
技術賞や追悼企画に触れるたび、米国映画界は立派だよなぁと。
日本アカデミー賞も、そういうことやろうよ。
年にいちどくらい、編集マンやカメラマンが着飾り、壇上でスピーチしているものを放送する日があってもいいじゃない?
【受賞結果一覧】
■作品賞
『ムーンライト』
■監督賞
デイミアン・チャゼル 『ラ・ラ・ランド』
■主演男優賞
ケイシー・アフレック 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
■主演女優賞
エマ・ストーン 『ラ・ラ・ランド』
■助演男優賞
マハーシャラ・アリ 『ムーンライト』
■助演女優賞
ヴィオラ・デイヴィス 『フェンシズ』
■長編アニメ映画賞
『ズートピア』
■短編アニメ映画賞
『ひな鳥の冒険』
■脚本賞
ケネス・ロナーガン 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
■脚色賞
バリー・ジェンキンズ、タレル・アルヴィン・マクレイニー 『ムーンライト』
■撮影賞
リヌス・サンドグレン 『ラ・ラ・ランド』
■美術賞
デヴィッド・ワスコ、サンディ・レイノルズ・ワスコ 『ラ・ラ・ランド』
■音響編集賞
『メッセージ』
■録音賞
『ハクソー・リッジ』
■編集賞
ジョン・ギルバート 『ハクソー・リッジ』
■視覚効果賞
『ジャングル・ブック』
■歌曲賞
「City of Stars」 『ラ・ラ・ランド』
■作曲賞
ジャスティン・ハーウィッツ 『ラ・ラ・ランド』
■衣装デザイン賞
コリーン・アトウッド 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
■メイク・ヘアスタイリング賞
『スーサイド・スクワッド』
■外国語映画賞
『セールスマン』(イラン)
■短編実写映画賞
『シング』
■長編ドキュメンタリー賞
『O.J.:メイド・イン・アメリカ』
■短編ドキュメンタリー賞
『ホワイト・ヘルメット―シリアの民間防衛隊―』
※オープニングは、ジャスティン・ティンバーレイク。
かっけー!
おしゃれ!!
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明日のコラムは・・・
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