Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

ものがたり、の復権を願う。~2024回顧(5)~

2024-11-09 03:01:16 | コラム
本年度の総括、第五夜は「読み物」の10選。

web発信のものも含まれるので「書籍」とはいいませんし、10「冊」ではなく「選」と表記しました。

ここ数年の「読み物総括」としては、小説が最も多くランクインした年になってます。
例年はノンフィクションが8~9割を占めていた印象ですもの。

「なによりも、なによりもノンフィクション」という自分の嗜好に変化はありませんが、こころのどこかでは「ものがたり、の復権」を願っているのでありました^^


①『猪木のためなら死ねる!』 藤原喜明・佐山聡・前田日明…宝島社


この装丁で、興味を持つものは紙が擦り切れるほど読むであろうし、興味のないものは「一瞥さえくれない」であろう(^^;)(^^;)(^^;)

「死後も影響を与えつづけている」みたいな意味では、ローラ・パーマーみたいなひとなのかもしれないね猪木さんは。


②『デイヴィッド・リンチ 幻想と混沌の美を求めて』 イアン・ネイサン著、中山宥・訳…フィルムアート社

我々世代が誇る偉大なアーティスト、リンチの本格評伝。


現代を生きる映画監督のなかで(比較的)研究本が多いのは、それだけ語りがいがあるってことなのだと思う。


③『われは熊楠』 岩井圭也…文藝春秋

謎に満ち満ちた植物学者、南方熊楠の半生に迫る。

なかなか共感を許さない生きかたではあるものの、それでも魅かれるのだよなぁ!!

ノンフィクションではなく「あくまでも伝記小説」であり、ゆえに直木賞候補になった。


④『百年の孤独』文庫版 ガブリエル・ガルシア=マルケス著、鼓直・訳…新潮社

文庫化されるというだけでYahoo!のトップニュースになり、タイトルを口にすれば呑み会の議題として数時間は持つ―ある意味では、最も有名な小説なのかもしれない。

ハードカバーを何遍も読み返した自分も、思わず買ってしまったよ^^


⑤『パッキパキ北京』 綿矢りさ…集英社

中国滞在の経験をもとに、言語感覚に優れた著者が現代中国をリズミカルに綴ってみせた。

読んで楽しい、気持ちよいという意味では今年いちばんかも。


⑥『わいことヒトミさん』 雪わいこ…web漫画

仲睦まじい夫婦の日常に触れていると、なんだか知らないが涙が出てくるのであった…。



⑦『野球で話せ』 中原とほる…ビッグコミックオリジナル(小学館)

今年の発見。

80歳の新人漫画家が誕生した事実は、もう諦めようかと迷っている若人になにかしらの啓示を与えてくれる、、、かもしれない???


⑧『インティマシー・コーディネーター 正義の味方じゃないけれど』 西山ももこ…論創社


近年、いや今年に入ってよく聞くようになったインティマシー・コーディネーターは、女優さんだけでなく男優さんのための職業でもあり、じつは監督のためでもあるんだよ。

性的描写がワンショットでもある映画は、俳優が希望しなくとも用意しておくポジションでしょう。

『ラストタンゴ・イン・パリ』(72)が「いま」創られるとしたら、たとえベルトリッチでも「騙し演出」などしちゃいけないのだ!!


⑨『サンショウウオの四十九日』 朝比奈秋…新潮社

ここ数年のなかで、最もこころを動かされた芥川賞受賞作。



⑩『神と銃のアメリカ極右テロリズム』 ブルース・ホフマン&ジェイコブ・ウェア著、田口未和・訳…みすず書房

多発する極右テロ(とくに連邦議会議事堂襲撃)の起点は70年代にあると論じ、95年に発生したオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件などの背景を探っていく。

怖いがページを繰る手を止められない、5000円もする大著だが買ってよかった。




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明日のコラムは・・・

『from China』

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