Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

誰も褒めないって、じつは稀!!

2021-10-11 00:10:00 | コラム
ある意味で、あっぱれ!をあげていいかもしれない。

撮影の時点でこういう出来になることは「ある程度」分かっていたはずで、それはつまり、園子温監督は確信犯的にこれを撮ったのだろうなと。

公開中の映画、『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』のこと。

主演はニコラス・ケイジ、
園監督にとってのハリウッド・デビュー作。

しかし現時点で、誰ひとりとして褒めていない。

「今年ワースト」
「園監督の悪い面だけが出た」
「ケイジをオモチャにした罪は重い」

SNSは酷評の嵐で、こういうのばかり読むとしかめっ面になるはずだが、なぜか笑みがこぼれてしまう。


自分?

もちろん、面白くないと思った。
作品を壊すことと新しいことは必ずしも同意ではない、、、ということが分かってないのかな? 園さんほどのひとが?
とは思ったが、それでも失望はしなかったんだよね、なぜか。

なぜか。

それは、はっきりいって、最近の園子温にさほど期待してなかったから。

上がって/下がってを繰り返す三池崇史のほうが、まだ期待感を持続出来るというかね。

予告を観た時点で悪い予感しかしなかったし、必ず観なければ! という使命感も抱かなかった。
もちろん「それらを裏切ってほしい」とは思っているけれど、今回は「案の定」そうならなかったと。

この映画にあるのは悪ふざけだけで、映画への情熱や、すべてをぶち壊そうとするエネルギーもない。
映像は派手でいろんなことをやっているにも関わらず、欠伸が出てしょうがない。

自分の手で最大のチャンスを潰してしまった。
この破壊気質が映画の内部に起これば傑作になったかもしれないが、なぜか外側にだけ巣食っていたという。

映画ファンはこれを喜べる環境に、いまはない―園さんに誤算があったとするならば、そこに尽きるだろう。
これを撮っちゃった勇気には感心するが、
これで時代を撃てるという感覚があったとするならば、少し休んだほうがいいかもね? と皮肉もいいたくなるのであった…。




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明日のコラムは・・・

『さすがに沖縄は(^^;) でも重度の花粉症としては、いつか永住したい。』
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にっぽん女優列伝(288)満島ひかり

2021-10-10 00:10:00 | コラム
85年11月30日生まれ・35歳。
鹿児島出身。

公式インスタグラム

なにをやらせても巧い、若手俳優として先頭を突っ走ってきた満島ひかり(みつしま・ひかり)さん、もう30代真ん中。

後続として猛追しているのは伊藤沙莉あたりになるのでしょうが、満島さんは将来的に樹木希林のポジションにまで辿り着くような気がします。

巧い、ひたすら巧い。
このひとがすごいのは、感情移入出来る主役はもちろんのこと、ぜんぜん感情移入出来ない「いや~な端役」もきちんとこなせるところ。


※歌唱も、グッとくるところありますね。


<経歴>

じつはクォーターで、祖父はイタリア系アメリカ人。

弟は、俳優の満島真之介。


元旦那は、映画監督の石井裕也。

「安室奈美恵を目指せ!NEW・SUPER MONKEY'Sオーディション」で優勝し、芸能界入りを果たす。
「Folder」(のちのFolder5)に「HIKARI」名義で参加し、スマッシュヒットを記録する人気アイドルグループになる。

映画俳優デビュー作は、97年の『モスラ2 海底の大決戦』での子役。

「Folder5」解散後、俳優一本での活躍を目指すもなかなか芽が出ず、そのころは多数のグラビアにも挑戦。

自分が存在を知ったのは「Folder5」ではなく、このころですね。



『デスノート』と『デスノート the Last name』(ともに2006)、
園子温による怪作『エクステ』(2007)、
初主演の『僕の彼女とその彼氏(ゆうれい) Drop in Ghost』(2007)、『少林少女』(2008)、『プライド』(2009)。

『エクステ』以外、印象の残らない作品がつづいていましたが再び園子温に起用された『愛のむきだし』(2009)でパンチラ大放出の大熱演、これで風向きが完全に変わります。
あした監督について取り上げる予定ですが、園子温だけでなく、満島さんのキャリアにも大きな「よい」変化を与えた、2000年代を代表する傑作でした。

『ちゃんと伝える』(2009)、『クヒオ大佐』(2009)、『食堂かたつむり』(2010)、『カケラ』(2010)、

コメディエンヌとしての才能まで開花させた『川の底からこんにちは』(2010)、


ある意味で「殺されても、しゃーない」と観客に思わせるほどの好演『悪人』(2010)、
『ラビット・ホラー3D』(2011)、『一命』(2011)、『スマグラー ―おまえの未来を運べ―』(2011)、『北のカナリアたち』(2012)、『夏の終り』(2013)。

2013年には日本テレビのドラマ『Woman』に主演、これが高く評価され数々の演技賞を受賞。


『ハロー!純一』(2014)、『駆込み女と駆出し男』(2015)、
若手が多数出演、頭ひとつ抜けた巧さに感心した『愚行録』(2017)、
『海辺の生と死』(2017)、最新作が犬童一心による『最高の人生の見つけ方』(2019)。


向かうところ敵なし! といったところでしょうか。


次回のにっぽん女優列伝は、南果歩さんから。

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明日のコラムは・・・

『誰も褒めないって、じつは稀!!』
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にっぽん女優列伝(287)三田佳子

2021-10-09 02:22:57 | コラム
41年10月8日、なんときのうがバースデーだった80歳。
大阪出身。

公式サイト

自分も「不肖の息子」なので、ヨソサマのことをアアダコウダいえる立場にないですけど…

三田佳子(みた・よしこ)さんのキャリアが、次男によって大きく変わってしまったのは気の毒でなりません。

彼が10代のころに起こした騒動について親が責められるのは、まぁ仕方なかったと思いますけれど、もう40代ですからね。
それ以降の逮捕を受けて、三田さんが活動を自粛するのはちがうのではないかと。

お小遣いン十万?
そのくらいもらっている子どもでも、マトモに育つひとは居るわけで。
多忙なぶんお金でなんとかしようという考え、それが常識外れだったとまでは思いません。
環境のせいもあったのでしょうが、結局は本人の性みたいなものですよ。(と、親不孝の自分は思います)

三田さんの後期キャリアを救ったのが水野晴郎であることは、あまり知られていません。
あの伝説的珍作で、吹っ切れたところもあったのでしょうね。

※一般的には、このあたりが人気なのでしょうか


<経歴>

夫はNHKのプロデューサーだった高橋康夫。

学生時代、主にテレビドラマの端役して活動。
高校卒業後に第二東映に入社、映画俳優デビュー作は60年の『殺られてたまるか』。

67年に退社しフリーになるまで…

『不死身の男』(60)、『にっぽんGメン 摩天楼の狼』(60)、『野獣の眼』(60)、『海底の挑戦者』(60)、『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』(60)、『炎の城』(60)、『乾杯!ごきげん野郎』(61)、『男の地平線』(61)、『天下の快男児 旋風太郎』(61)、『俺らは空の暴れん坊』(61)、『逆襲の街』(61)、『富士に立つ若武者』(61)、『アマゾン無宿 世紀の大魔王』(61)、『男の血潮がこだまする』(61)、『金も命もいらないぜ』(61)、『静かなるならず者』(61)、『街』(61)、『復讐は俺らの歌』(61)、『地獄の底をぶち破れ』(61)、『南太平洋波高し』(62)、『黄門社長漫遊記』(62)、『残酷な月』(62)、『山麓』(62)、『ギャング対ギャング』(62)、『まぼろし天狗』(62)、『太陽の子 アイ・ジョージ物語』(62)、『東京アンタッチャブル』(62)、『王将』(62)、『裏切者は地獄だぜ』(62)、『海軍』(63)、『武士道残酷物語』(63)、『傷だらけの不敵者』(63)、『暴力街』(63)、『東京アンタッチャブル 脱走』(63)、『恐喝』(63)、『昭和侠客伝』(63)、『ギャング忠臣蔵』(63)、『続・王将』(63)、『東京ギャング対香港ギャング』(64)、『暗黒街大通り』(64)、『東京アンタッチャブル 売春地下組織』(64)、『鮫』(64)、『日本侠客伝』(64)、『廓育ち』(64)、『赤いダイヤ』(64)、『仇討』(64)、『顔役』(65)、『黒い猫』(65)、『無宿者仁義』(65)、

『昭和残侠伝』(65)と『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(66)、

『四畳半物語 娼婦しの』(66)、『愛欲』(66)…などなどなど、東映作品のヒロインとしてジャンルを越境し「大」活躍。

プログラムピクチャーというものが、きっちり機能していたことが分かる充実のキャリアです。

『反逆』(67)、『夜のひとで』(67)、『座頭市喧嘩太鼓』(68)、『野獣の復活』(69)。


自分にとって馴染みのある作品が多数出てくるのは、70年代以降。

『望郷』(71)、
篠田正浩が遠藤周作の代表作を映画化した、名作というより珍作『沈黙 SILENCE』(71)、
『恋は緑の風の中』(74)、『愉快な極道』(76)、『赤穂城断絶』(78)、
『漂流』(81)、『未完の対局』(82)、『きつね』(83)、『序の舞』(84)。

そして『Wの悲劇』(84)では、ある意味で薬師丸ひろ子以上に目立つキャラクターで熱演、これが真の代表作といえるのではないでしょうか。

(メジャーではあまり結果の出ない)自分の師匠・荒井晴彦の脚本も、今回は監督―澤井さん合掌。―と俳優に恵まれました。



『春の鐘』(85)、『道』(86)、『化身』(86)、『別れぬ理由』(87)、
「向こう側」に居る息子に向かってバットを放るシーンが「なんか知らんけど」笑ってしまう『漂流教室』(87)、
『ラブ・ストーリーを君に』(88)、『敦煌』(88)、『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』(88)、『極道の妻たち 三代目姐』(89)、『利休』(89)、『おいしい結婚』(91)、『遠き落日』(92)。

しかし次男の事件が大きく報道され活動自粛。
そのときに救ってくれたのが批評家の水野晴郎で、自身が監督した抱腹絶倒の『シベリア超特急3』(2003)でキャリアを再スタートさせる。

その後も度々騒動を起こす次男でしたが、周りの説得もあってかしだいに「我関せず」の態度を取るようになっていく。
うん、大正解だと思います。

よかった、きちんとしたひとが周りに居て。


2000年代以降の作品に…

『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』(2003)、『ドラッグストア・ガール』(2004)、『海猫』(2004)、『魂萌え!』(2007)、『人間失格』(2010)、『マンゴーと赤い車椅子』(2015)、『の・ようなもの のようなもの』(2016)、近作は『俳優 亀岡拓次』(2016)。


『ガキの使いやあらへんで』(日本テレビ)の「街でプライベートな芸能人に会うまで帰れません」的な企画で、フツーに銀座でショッピングする三田さん、すごく面白かったです。
一時期は悲壮感が歩いているような感じでしたが、本来は明るいひとなんですよね!!

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(288)満島ひかり』
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にっぽん女優列伝(286)水原希子

2021-10-08 00:10:00 | コラム
90年10月15日、まもなくバースデーの30歳。
米国テキサス州出身。

公式サイト


水原希子(みずはら・きこ)さん、大好きです。

いろんな意味で大胆ですし、ちょっと生意気そうなところも好みです。


俳優としてはまだ未知数ですが、モデルとして、かっけー!ですからね。



しかし彼女を批判する向きが多いのもたしかで、それは沢尻エリカ風であるから、、、ではなく!
韓国の血が入っているからなんですよね。

ヘイトかよ、だせぇぜ!!

自分は能力差別は「あり。」だと思ってますが、出自や人種差別はペケ。
こう書くのも恥ずかしいくらい、当たり前のことだと思いません?


※初めて触れたのは、ゾフのCM。これ、ずっと観ていられる!!


<経歴>

妹・水原佑果もモデルとして活躍中。


米国人の父親と(日本生まれの)韓国人の母とのあいだに生まれる。
現在、国籍は米国だそうです。

2003年―「ミスセブンティーン」に選出され、『Seventeen』の専属モデルとしてデビューする。

以降のモデルとしてのキャリアは割愛。

映画俳優デビュー作は、2010年の『ノルウェイの森』。
ある世代以上なら誰だって「赤」と「緑」のハードカバーを知っている村上春樹の代表作を、(なんと!)トラン・アン・ユンが映画化。
水原さんは、主人公(松山ケンイチ)の恋人役・小林緑を演じました。

言動を含めて類似性が指摘されることの多い沢尻エリカと共演した『ヘルタースケルター』(2012…水原さんは、エリカのようにならないでね!)、
『プラチナデータ』(2013)、『トリック劇場版 ラストステージ』(2013)、
話題作『進撃の巨人』(2015)ではミカサを好演。

出来はともかく、この映画に出演した俳優さんは、みんな頑張っていたと思うんですよ。
(とくに、武田梨奈が!!)

『信長協奏曲』(2016)、『高台家の人々』(2016)、『ブルーハーツが聴こえる「ジョウネツノバラ」』(2017)、『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(2017)、

そして本年、代表作が誕生。
『ノルウェイの森』は話題先行型でしたが、『あのこは貴族』(2021)は、それに内容がともなった佳作だと思います。
こういう役、似合いますね。


この勢いで俳優としても…と期待したのですが、
ゲスの極み乙女。のドラマー、「ほないこか」こと「さとうほなみ」と共演したNetflix産の『彼女』(2021)は、これは監督のせいかな、不発に終わる。

せっかく同性愛を扱っているのに、いろいろ古臭いのですよね。


ともあれ。
野心的な映画監督にとっては起用したくなる俳優さんのはず、
よいホンとよい監督に巡り合えることを祈ってます。

強そうなので大丈夫でしょうが…ヘイトに負けるな!!

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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(287)三田佳子』
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少し、、、鬱陶しくもあるけれど。

2021-10-07 00:10:00 | コラム
チャリ通勤は、20kmとちょっと。
55分をかけて坂の多いルートを疾走する。

この時期でも、まだまだ大量に汗をかく。
職場のすぐそばに大きな公園があり、そこで汗を拭い、洗顔をし、広いトイレで着替えをする。
制汗スプレーを吹きかけ、喫煙エリアで2本程度の煙草を吸って、完全に汗のにおいを消してから職場へ。



職場についてからやってもいいことだけど、よい公園なんだよね、だから雨が降っていない日はここで休憩することにしている。

自分が休憩する時間くらいまで、ゴルフのスイング練習をしているおじさんがひとり。

よく話しかけてくるひとで、この前は…

「―やっぱり、煙草はやめられない?」
「まぁそうですね」
「やめたほうがいいと思うけれどね」
「(苦笑)」

きのうは…

「―やっぱり、スマホが手放せない?」
「えぇ、まぁ、吸いながらついでに」
「若いひとは、みんなそうだね」
「(苦笑)」


最初はそんな風に思ってなかったけれど、最近ちょっと、鬱陶しくなってきたかな(^^;)

ひとを依存症みたいに。

まちがってないけどさ!
ただスマホはちがうな、単に煙草吸う「ついで」でしかない。

自分が依存しているのは、映画や格闘技、煙草や酒であって。
こっちからすれば、おじさんゴルフ依存だし、自分より若いひとになんかいいたくなる依存じゃね? と。


まぁでも、こんなところで喧嘩してもしょうがないし、苦笑交じりに愛想を返しておくのが大人の接しかたというものでしょう。

えらいぞ自分!!



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明日のコラムは・・・

『にっぽん女優列伝(286)水原希子』
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