2005年5月28日(土)
#272 ナラダ・マイケル・ウォルデン「ルッキング・アット」(ワーナー・パイオニア P-11380)
最初に一言。筆者多忙のため、しばらくはワンポイント評のスタイルで行かせていただきます。悪しからず、ご了承を。
ナラダ・マイケル・ウォルデン、83年のアルバム。彼のセルフ・プロデュース。現在ではブラコン界のトップ・プロデューサーとしてしての名が高いが、自身もシンガーでもあったころの代表的アルバム。
フォー・トップスのカヴァー「リーチ・アウト」に始まり、作家リチャード・ライトに捧げたオリジナル「ブラック・ボーイ」に終わる全9曲。ダンサブルなナンバーあり、バラードあり、女性シンガーとのデュエットあり、ファンクなナンバーあり。
作詞・作曲、歌だけでなく、プレイヤーとしての腕前も一級品。ピアノ、シンセ、パーカッション類、ドラムスと、さまざまな楽器を巧みにあやつるマルチ・プレイヤーなのだ。当然、アレンジも全部自分でやる。
少し高めで中性的なクリア・ヴォイスが特徴的。シンガーとしては、いささか線が細いが、これだけのことを全て一人で出来るのは、ただ者ではない。
その後はずっとプロデューサー業に専念しているようで、85年の「THE NATURE OF YHINGS」以降、ソロ・アルバムを出していないのは惜しまれる。ぜひ、20年ぶりに、その繊細な歌声を聴かせてほしいもんだ。
筆者的にベスト・トラックは「リーチ・アウト」。原曲のダイナミズムをそこなうことなく、モダンなアレンジを施す手腕には、舌を巻きます。
<独断評価>★★★