NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#280 V.A.「AMERICAN FOLK BLUES FESTIVAL '80」(Optimism/L&R LR CD -2013)

2022-08-21 05:51:00 | Weblog

2005年8月28日(日)



#280 V.A.「AMERICAN FOLK BLUES FESTIVAL '80」(Optimism/L&R LR CD -2013)

アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティバル、80年の回のライブ盤。同年リリース。ドイツはハンブルグ、デュッセルドルフにての録音。

出演するブルースマンたちにとっては異国の、ヨーロッパにおけるコンサートなのだが、いやー、本国に負けないくらい熱~い、観客の歓迎を受けとります。

まずはルイジアナ・レッドが登場。本欄では初めて扱うひとなんで簡単に紹介しときますと、1936年ミシシッピ州ヴィックスバーグ生まれ、本名アイヴァースン・ミンター。ギター、歌、ハーモニカをこなす。

彼は弾き語りスタイルでオリジナル「PRETTY WOMAN 」「I WONDER WHO」「LONESOME TRAIN」を歌う。

どこかひなびた雰囲気を漂わせるハスキーな歌声が、いかにもカントリー・ブルースという感じで、味わい深い。

続いて、ウィリー・メイボンが登場。まずはインスト・ナンバー「MABON'S BOOGIE」で達者なピアノ・プレイを聴かせる。ギター・ソロはヒューバート・サムリン。

そして、メイボンといえばこの曲!という大ヒット「I DON'T KNOW」を披露。おなじみのユーモアあふれた、粋な歌唱を聴かせる。

ふたたびルイジアナ・レッドが登場、2曲を演奏。「SHAKE, RATTLE AND ROLL」「FLIP, FLOP AND FLY」。いずれもビッグ・ジョー・ターナーの歌で知られたナンバーだ。

アコギを弾きながら、陽気に歌うルイジアナ・レッド。ウオッシュボードやカズーのバックがいかにもお祭りっぽい、リラックスした雰囲気をかもしだしている。

続くはサニーランド・スリムによる「ROCK LITTLE DADDY」。こちらもルイジアナ・レッドのスライド・ギターが加わったりして、ほのぼのとしたムードがナイス。

さて、メイボンのバックで既に登場していたヒューバート・サムリンが、歌も披露。自作の「GAMBLIN' WOMAN」である。

ここでサムリンはアコギを弾きつつ、モノローグふうのスロウ・ブルースを歌う。

バックでオブリを入れ、ソロもとる、キャリー・ベルのハープの響きがなんとも素晴らしい。

続く「I GOT A LITTLE THING THEY CALL IT SWING」もサムリンの作品。サムリン、エディ・テイラー、キャリー・ベルの見事なアンサンブルが聴きものの、ブギ・ナンバー。

サムリン、テイラー、ベルの演奏が続く。ウィリー・ディクスンのナンバー「ONE DAY I GOT LUCKY」では、キャリー・ベルが歌う。これがなかなか威勢がよろしい。

マディ・ウオーターズの作品「NINETEEN YEARS OLD」も、ベルの歌。ハープが最高に泣いている。

続くは、アップテンポのシャッフル、「WHAT MY MAMA TOLD ME」。歌はこちらもベル。

ここで、この3人にサニーランド・スリムが加わり、彼のオリジナルを。スロウ・ブルース「EVERYTIME I GO TO DRINKING」である。サニーランド・スリムのピアノに絡む、サムリンの鋭いギター・フレーズ。うーむ、これぞブルースや。

同じメンツでインストを。サニーランドのオリジナル「SUNNYLAND'S NEW ORLEANS BOOGIE」である。

陽気なブギ・ビートにのせて、おのおのが繰り出す自由なソロ・フレーズを堪能出来るナンバー。会場の聴衆も乗りまくっている。

駄目押しの一発は、名曲「ダスト・マイ・ブルーム」。バンド全員、そして客席にも大きなうねりのようなものが感じられる。

エディ・テイラーが歌うのは、彼のオリジナル「THERE'LL BE A DAY」。エディお得意のステディなビートに乗せて、肩の力の抜けた素朴なヴォーカルを聴かせてくれる。

ラストは、再びルイジアナ・レッドが登場、サムリンたちのバンドと合流してのフィナーレ。ルイジアナ・レッドのオリジナル、エルモア調のナンバー「LABOUR BLUES」を。

彼のスライド・ギター、シャウトは、ホンマにシブ~い味わいがあります。

演奏内容的には、いささかバラつきがあるので、アルバム評価としてはあまり高い点をあげられないのですが、気持ち的には非常に好きな一枚。

いわゆる「巧い」歌い手はいないのだが、それぞれの出演者が自分自身の持ち味を出し切って歌っている、そこに惹かれます。

そう、ブルースとは、巧拙よりまず存在感が大切な音楽。「華」はなくとも「味」で勝負。

このフェスティバルに集結した、オヤジたちの力演ぶりを聴いて、そのことを改めて確信した筆者なのでありました。

<独断評価>★★★