僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

洞窟…③

2007年02月09日 | SF小説ハートマン
「宇宙君、まず水の流れている場所まで行って。」
「はい、僕すぐ側にいます。」
「良かったわ。じゃぁ次はそのブロックから7つ目、下から3つ目のブロックを見て。何かが書いてあると思うの。急いで。」
「はい。」

そのブロックはすぐに見つかったが、かなり高いところにある。

「・・どう?何・か分かっ・・た?」
「今、ブロックのすぐ下にいます。特別変わったようには見えません。字も分かりません。何とかそこまで登ってみます。」

ヘッドセットに雑音が入ってくるようになってきたのが気になっている。それが少しずつ大きくなる。

「今3段目まで登りました。雑音が大きくなっています。」
「そう、急ぎましょう。字でなくても何かマークみたいなもの、見えないかしら。」

「ありました。とぐろを巻いた蛇のような絵です。」
「蛇な・ね・・はど・・・ちを向い・・・る?」
「向きは左です。えーっと僕から見て左です。」

「・ずと・なじ?・それと・・・んたい?」
「よく聞こえなくなってきました。水のことなら、出ている方とは逆向きです。」
「そ・・なの、ぎゃ・ね・・・ひだり・・いく・・・ずっと・・・・もうじか・・ない・・・・ばってね。・」
「左へ、左へ行けばいいんですね。そこで会えるんですか?あなたは誰なんですか?」
「・・・・・はミリ・ダ・・・・・・・・」

雑音に消されて何も聞き取れなくなってしまった。ブロックの下に降りてヘッドセットをはずした。ビシビシッと軋む音が遠くで聞こえ、次第に大きく近づいてきた。身構えた時すぐ横のブロックが地鳴りと共に崩れ始めた。
コメント (27)
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