僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

ワープ…②

2007年07月03日 | SF小説ハートマン
宇宙(ひろし)はセクションの専用ルームで訓練を続けていた。

「マスター、ワープはトンネルをくぐり抜けるのではなく、確か空間の境界を飛び跳ねているのだと説明してくれましたね。」
「その通りだ宇宙君。」
「しかし僕の計算ではそんなに大きな屈折はできないと思うんです。」

宇宙は計算の結果を示しながらマスターに尋ねた。

「君の計算は正しい、ただし一つ見落としている。」
「何を見落としてしまったのでしょうか?」
「屈折率と速度だ。」
「光が水に入る時に曲がってしまう、というアレですね。」
「そうだ。その時、光の速度も変わる。」
「速度が減速することは計算の条件に入れてあります。」

「もっと密度の濃いものの時はどうだ?」

「はい、もしもダイヤモンドの中を通れるとしたら、屈折率は水の2倍、速度は1/2になります。でもそんなものの中をスペースシップは通れません。」
「ダイヤモンドが美しく輝くのは大きな屈折率によるからだが、地球にある物体だけで考えると確かにそうだ。しかし宇宙空間には別のものが存在するんだ。」
「え?」

「ブラックホールだ。」

「しかしマスター、どんな物もブラックホールには入れません。入れたとしても出られません。光線すら出られないのですから。」
「ブラックホールとはそうゆうものだ。ただしそれはブラックホールに真っ直ぐ進んでいった場合の計算に過ぎない。」

「どうゆう事なんですか?」
「ブラックホールはその中心に近づくにつれて質量も引力も大きくなるのは知っているね。」
「はい。そして全てのものが、光もその引力に捕まって潰れてしまいます。」
「計算上ダイヤモンドよりもずっと質量が大きく屈折率も大きい空間があるとしたらどうだね。」

「あっそうか!でも固体でなく空間でないと…」

「そうだ、空間だ。宇宙君のスペースギアがくぐり抜けられる空間があればよい。」
「その空間を屈折して飛び跳ねていくんですね。」
「やっと分かったかな。」

つづく…
コメント (9)
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