僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

「パトスとエロス」 あれは…

2009年01月09日 | ケータイ小説「パトスと…」
事故を知ったのは一週間後だった。

昼飯を早弁している時隣の席にいたクラスメートが言った。
「こないだの高速で事故ったやつ、辰雄知ってんじゃん?同じ中学だろう?」
「何?、事故って」

「ほら、こないだ事故で女子校のやつ死んだだろ」
「誰が死んだって?」
「ナントカってほら、女子校のやつだよ、知らねーの?」

留美子の名前だった。


夜になって長池に電話をしてみた。長池は辰雄とは違う高校に進学していた。

「おう辰雄か、久しぶりだなぁ」
全く変わっていない声だった。

「今日、留美子のこと聞いたんだけど」
「あぁそうか、俺は3日前に聞いたんだけどさ、びっくりしたなぁ」

事実だった。留美子は死んでしまったのだ。
留美子が死んだ?え?あの留美子だよ?


留美子の思い出は沢山あるが、ふたりだけの思い出はあんまりないなぁと辰雄は思った。

その日はテレビも見る気が起きず早めに布団に入った。
いつまでたっても眠気がこなかった。それでもしばらくするとうとうととしたらしい。
横向きに寝返りをうった時、突然何かに全身を揺り動かされたようにはっとした。
あの時の虫を思い出したのだ。


あれは留美子だ!




















コメント
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