雨が静かに降っている
あちこちの染井吉野のように
部屋中で洗濯物が満開になった
寒くもないのにストーブを焚いて乾かす
ねぇふち子さん
思い出すのは青春の日
民宿の乾燥室でスキー靴を脱いで並べた
あの時の蒸し暑さと同じだね
山盛りの野沢菜をつまみに
一升瓶の地酒を湯飲みに注ぎ
誰かが軒のつららを折ってロックだとはしゃぎ出す
ねぇ、ふち子さん
あの頃こんな日が来るなんて想像もしなかったよ
さんざん笑い、歌い、そして泣いた
今、しっとり穏やかな夜
そぼ降る雨に感謝しつつ
友人にいただいた新種のふち子さんと遊んでいる
バカじゃね、おまえ
いいんだって青春の思い出なんだから…
そして、いつの間にかこたつの回りで雑魚寝していたんだ