これは、新教出版社からでています文庫、バルトセレクション1「聖書と説教」の中の1959年12月27日 57年前の今日、イザヤ書54章10節から あなたを憐れむ方なる主 と題してバーゼル刑務所にて行われた説教の一部です。(先に述べてきましたが、バルトらしい言い回し(日本訳ではありますけれど)、そして彼は、何をポイントとしているかを念頭においてもらえれば、20世紀最大の神学者と言われるカール・バルトの膨大な著作の一部に触れることが、いつかあるかも知れない方にも恐るにたらずです。この本の表紙にもこうあります。「人は超越者の言葉を聴くことができるのか」) ひとりでも多くの方が自分の言葉でイエスと語ることができますように心から祈ります。それでは・・・
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私たちはあと数日で大晦日を迎えることになります。そしてその意味することはこうでしょう。「1959年よ、さようなら! お前は過ぎ去り、再び帰ってくることはない」と。そして、来るべき1960年に関して全く確実なことが何かあるとすれば、それは、この年もまた大晦日を迎えるであろう、それゆえ、この年もまた倒れ、離れ去り、過ぎ去るであろう、ということです。そうです、そしていつか、つまり死が訪れる時、それは私たちすべての者にとって大晦日となるでしょう。そしてまた、いつか、あの大いなる大晦日そのものが始まるでしょう。その時、全世界にとってもはや時間は存在しないでしょう。「しかし、我が恵みがあなたから離れることはない」! 人がこれを聴くならば、そのとき人は強くなるのです。離れ去り、倒れ、過ぎゆく時間の中で生きることができるほどに、---時間が私たちになおも与えられているかぎり---その時間を所有することができるほどに、その時間を用いることができるほどに、しかしまた、---時間が致し方なくも過ぎ去りゆき、私たちから再び取り上げられる時---悲嘆に暮れることなしに、その時間を引き渡すことができるほどに、強くなるのです。
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私は終わりに近づいています。人は新年に向かうにあたって良きことを願うのが常です。幸福や祝福、健康や喜ばしき日々を。それは麗しいことですし、正しいことです。私たちもまた互いに、そのことを願いたいと思います。私はあなたたちに、そしてあなた方は私に。けれども、根本においては、私たちが互いに対して望みうるただ一つの全く善きことだけが存在致します。それは、わたしたちが今しがたお聴きしたことが私たちを本当に真っ直ぐに起こして励まし、支え、慰め、喜ばせてくださいますように、ということです。すなわち、「我が恵みがあなたから離れ去ることはなく、我が平和の契約が倒れることはない」ということが、です。これこそが、ものを言います。なぜなら、誰か或る人間がこれを言っているのではなく、これを語り給うのは主、だからです。あなたを、私を、私たちすべての者を憐れむ方なる主が、語り給うのだからです。アーメン
(1959年12月27日 バーゼル刑務所にて カール・バルト)・・・ Ω
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私たちはあと数日で大晦日を迎えることになります。そしてその意味することはこうでしょう。「1959年よ、さようなら! お前は過ぎ去り、再び帰ってくることはない」と。そして、来るべき1960年に関して全く確実なことが何かあるとすれば、それは、この年もまた大晦日を迎えるであろう、それゆえ、この年もまた倒れ、離れ去り、過ぎ去るであろう、ということです。そうです、そしていつか、つまり死が訪れる時、それは私たちすべての者にとって大晦日となるでしょう。そしてまた、いつか、あの大いなる大晦日そのものが始まるでしょう。その時、全世界にとってもはや時間は存在しないでしょう。「しかし、我が恵みがあなたから離れることはない」! 人がこれを聴くならば、そのとき人は強くなるのです。離れ去り、倒れ、過ぎゆく時間の中で生きることができるほどに、---時間が私たちになおも与えられているかぎり---その時間を所有することができるほどに、その時間を用いることができるほどに、しかしまた、---時間が致し方なくも過ぎ去りゆき、私たちから再び取り上げられる時---悲嘆に暮れることなしに、その時間を引き渡すことができるほどに、強くなるのです。
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私は終わりに近づいています。人は新年に向かうにあたって良きことを願うのが常です。幸福や祝福、健康や喜ばしき日々を。それは麗しいことですし、正しいことです。私たちもまた互いに、そのことを願いたいと思います。私はあなたたちに、そしてあなた方は私に。けれども、根本においては、私たちが互いに対して望みうるただ一つの全く善きことだけが存在致します。それは、わたしたちが今しがたお聴きしたことが私たちを本当に真っ直ぐに起こして励まし、支え、慰め、喜ばせてくださいますように、ということです。すなわち、「我が恵みがあなたから離れ去ることはなく、我が平和の契約が倒れることはない」ということが、です。これこそが、ものを言います。なぜなら、誰か或る人間がこれを言っているのではなく、これを語り給うのは主、だからです。あなたを、私を、私たちすべての者を憐れむ方なる主が、語り給うのだからです。アーメン
(1959年12月27日 バーゼル刑務所にて カール・バルト)・・・ Ω
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