ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

トヨタが発売した新型「カローラ」のダウンサイズについて考えました

2012年05月23日 | イノベーション
 トヨタ自動車は、全面改良(フルモデルチャンジ)した小型乗用車「カローラ」(COROLLA)の10代目を、5月11日から発売しました。

 新型「カローラ」のテレビコマーシャルも5月12日から放映されているようです。しかし、この新型「カローラ」のテレビコマーシャルはあまり見た記憶がありません。大衆車カローラとしては、リッターカー「ヴィッツ」などその座を譲ったために、販売促進費のかけ方を反映しています。カローラとしては、寂しい感じです。

 今回の新型カローラは10代目のフルモデルチェンジ車です。一番の特徴は、車体サイズを小型化し、ダウンサイズを図ったことです。セダン「カローラ アクシオ」で50ミリメートル、ワゴン「カローラ フィールダー」で60ミリメートル、従来車よりも短くしました。





 その一方で、ホイールベースは2600ミリメートルを維持し、室内空間は逆に広くしてます。搭載するエンジンにも、従来同様の1500シーシーに加えて、小さい1300シーシーも加えました。

 この結果、日本を代表する乗用車のカローラは、今回のフルモデルチェンジを機に、初めてサイズダウンし、日本の乗用車のトレンドを象徴する動きになりました。

 米国の乗用車と比べると、日本の乗用車は平均的にはコンパクトですが、欧州の乗用車と比べると、平均的に大きいと思います。欧州でも、ベンツEクラスやBMW7シリーズはかなり大きい乗用車です。欧州ではコンパクトな乗用車が普通です。日本でも、リッターカーや軽自動車のコンパクトな車が売れています。この点で、日本車はフルモデルチャンジの度に、車体サイズが少し大きくなり、エンジンも大きくなる大型化することを転換する時代を迎えました。それを具現化したのが今回の10代目カローラです。日本の乗用車のターニングポイントです。

 1966年に登場した初代カローラはエンジンサイズが1100シーシーの大衆車でした。日本のモータリーゼイションの成長を代表する乗用車としてヒットし、1974年に発売された3代目カローラは、車種がセダン、ハードトップ、クーペ、リフトバックと多様に展開され生産台数が歴代最多になったそうです。エンジンも1200、1400。1600シーシーと多様化しました。カローラだけでほとんどのタイプをカバーする、売れに売れた乗用車になりました。

 今回の10代目カローラがダウンサイズできた理由は、リッターカー「ヴィッツ」などに適用している「Bプラットフォーム」を採用したからです。従来の「MCプラットフォーム」からBプラットフォームに変更したために、5ナンバー枠を守りつつ、車体を小型化して操縦性を向上させました。車体を小型化し、操縦性を高めて欲しいというカローラユーザーの声に応える設計変更のようです。

 カローラはやはり、日本の乗用車の流れをつくる代表車です。トヨタ自動車は国内市場の流れを見極める眼力を持っています。