ヒトリシズカのつぶやき特論

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日本経済新聞紙の解説「『国立大文系再編』を通知の狙いは」を拝読しました

2015年08月13日 | 日記
 2015年8月10日に発行された日本経済新聞紙の朝刊中面の記事「変わる社会、大学も改革を、『国立大文系再編』を通知の狙いは」を拝読しました。

 文部科学省が今年6月8日に出した国立大学の第3期中期目標・中期計画の策定に向けた通知の中に、国立大学の教育学部や人文社会系学部の縮小や再編を求めたことから、大学教員などから大きな反発の声や疑問視する声が上がっています。

 この疑問視する声に対して、この通知を出した文部科学省の意図は何かを中心に、下村博文文部科学大臣にインタビューしたのがこの記事です。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「変わる社会、大学も改革を、『国立大文系再編』を通知の狙い聞く」として報じています。



 今回の文部科学省の通知は、国立大学や市立大学、私立大学の教員などでは、大きな関心事になっていますが、ごく普通の方々にはほとんど話題になっていないので、文部科学省が示した通知の一部の文章をまず示します。

 「1 組織の見直し」という項目で、
(1)「ミッションの再定義」を踏まえた組織の見直し
  「ミッションの再定義」で明らかにされた各大学の強み・特色・社会的役割を踏まえた速やかな組織改革に努めることとする。
  特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等を踏まえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。
 
 さて、今回の下村博文文部科学大臣にインタビューでは、「これからは、将来予測がますます困難な社会になる。社会が大きく変わる中で、単なる知識の暗記では内、判断力や思考力、想像力といった『真に学ぶ力』が必要になる」と、変わる社会に対して、大学は改革を進めるように伝えます。

 「そのためには、今の組織でいいのか、大学自ら見直してほしいというのが通知の狙いだ」と真意を伝えます。

 そして、今回の通知で教育系と人文系を取り上げた訳として「教育学部には教員免許の取得を義務づけない『新課程』があるが、その時代的役割は終わっており、廃止すべきだ。人文系学部は養成する人材像を明確にし、それを踏まえた教育課程を踏まえた組織になっていることが重要なのに十分ではない」と説明し、改善の余地が大きいと伝えます。

 このことは考え方としてはまともなものです。しかし、この記事を書くためにインタビューした当該記者の視点を書いた“囲み記事”では、各大学の運営費交付金の多寡の配分権を握る文部科学省が伝える通知は、“事実上の命令”と受け取らざるを得ないと指摘しています。

 『これからは、将来予測がますます困難な社会になる』中で、実際に当該課程に願書を出す学生が大幅に減るなど、利用者である学生がどう判断するかが重要です。あるいは、その大学がある地域から、地域課題に取り組み解答を出す人材を育てていないという声が上がることから、その大学の組織改革を進めないと、大学の利用者である学生・地域の住民の声が反映されません。

 今回の下村博文文部科学大臣にインタビュー内容は、なかなか考えさせられるいい内容です。しかし、事実上、それを考えた文部科学省の担当者達は、自分たちの声を“各大学の運営費交付金の多寡の配分権”によって押しつける姿勢は間違っています。

 もう少し、国民(地域住民)などの判断に任せる民主主義にゆだねるべきです。各大学が考える改革案に任せるべきです。地域社会に顔を向けていない当該大学は、地域社会が見捨てます。

 今回の件でも、「国民に丁寧に説明する姿勢」に欠けています。国民があまり気づかない内に、将来の日本を担う若者人材への教育内容を変えようとする姿勢は、変わる社会に対する“余計なお世話”です。