ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙の「私の履歴書 川村隆編」を、最近数日間読んだ感想です

2015年05月29日 | 日記
 2015年5月28日発行の日本経済新聞紙の朝刊最終面の「私の履歴書 川村隆 IRDay 部門トップ 社外に説明」を拝読しました。日本を代表する巨艦企業の日立製作所グループがV字回復して再建した経緯の山場編です。

 弊ブログの2015年5月24日編でお伝えしたように、今月5月の「私の履歴書」は、日立製作所の現在相談役・前会長・元社長の川村隆さんの物語を興味深く拝読しています。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では5月28日編は見出し「IRDay 部門トップ 社外に説明 問い詰められる経験、鍛える」と、同じ見出しで載せています。



 以下は、独断と偏見での私見です。あまり深い洞察はできていません。

 この5月28日編の本文は「日立製作所は売上高10兆円近い巨大企業だが、巨大さゆえのもろさも併せ持っている。日立には売上高1兆円規模の社内カンパニーや子会社もあるが、その(社内カンパニーや子会社)トップは上場会社のように資金調達に苦しむこともなければ、業績や成長性に対して外部からの厳しい目でチェックされることもないので、発想がどうしても内向きになる」との文章から始まります。

 この意見が異なる方たちと議論をすることによって、自分たちが考えていることが一層鮮明になり、もっといい考えが出ることは一般論では当たり前です。しかし、2009年に巨額の赤字を出した日立製作所グループの実態はどうだったのかは不明です。おそらくできていなかったようです。

 5月19日編では、川村さんが2003年3月に日立製作所の副社長から子会社の日立ソフトウェアエンジニアリング(現在は日立ソリューションズ)の会長に移籍した時の話が書かれています(次期社長候補から外れた時のことです)。
 
 日立ソフトウェアエンジニアリングでは、新製品の主力ソフトウエアの開発概要の議論では、同社にとって重要な新規プロジェクトだったために、会長、社長も会議に出席したそうです。その会議では、会議の机の後方に座っていた若手からどんどん具体的な提案が上がったことに非常に驚いたと、川村さんは素直に書いています。
 
 当時の日立製作所の重要な議論では、会長、社長が出席する会議では、若手が手を挙げて話をすることはまずなかったと語ります。会長、社長の話を黙々とメモを取るのが関の山だったとの感想です。まさに、日立製作所は大企業病だったことになります。そして、最前線・現場と経営陣の考えが違っている、あるいは最前線・現場の声に基づいた事業計画が練られていなかったようです。要は、経営陣は市場の変化に応じた事業戦略を練っていなかったようです。
 
 この経営陣の“思考停止状態”を直接変えたのが、5月26日編で解説している海外投資家との議論だったようです。海外投資家に、新たに発行する日立株の購入をお願いする公募行脚に、川村さんなどの経営陣が手分けして、北米の東海岸・西海岸、アジアと欧州に行脚したと語ります。日立製作所の成長戦略をどう説明したかは一切書かれていません。結果的に、3000億円強の資金調達に成功したと書かれているだけです。
 
 巨艦企業の日立製作所グループは、市場をみて、そこにいるユーザーが真に何を求めているのかを、最前線の現場が判断し、その分析データを経営陣に上げて、議論できるのかどうかに、これからの日立製作所グループの未来はかかっています。
 
 日立製作所は2014年9月26日に、年功序列を廃止した管理職向け賃金体系の導入を発表しています。また、2013年5月には「2015年度末までに女性役員を登用し、2020年度までに女性管理職1000人」という数値目標を発表しています。実際に日立製作所は、2015年4月1日に役員級の女性理事を誕生させています。日立製作所はいくらか変化しいるようです。その変化の速さが、真の成功に間に合うのかどうか、その答えはいつでるのかは、予測できません。


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3 コメント

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日経新聞の私の履歴書 (アルマジロ)
2015-05-29 06:28:54
今月5月の日経新聞の私の履歴書は、日本企業とは何か、その経営術はどんなものかを考えるいい題材です。
前の御ブログでご指摘されているように、書けない部分を想像することが楽しい、川村隆さん編です。
前月の似鳥さんとはかなり違う、東京大学出のエリートの生き方編です。
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今後の日立製作所 (五里霧中)
2015-05-29 19:38:57
5月の私の履歴書は、いろいろと裏読みできる点で、面白い読み物です。
日立製作所がここ5年でどこまで変われるのか、興味津々です。日本の代表的な企業の改革がどこまで実現できるかの試金石になります。
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日立製作所 (アイアン)
2015-05-30 09:45:01
日立製作所はなんとかV字回復して、グローバル市場に打って出る足場を築いたところです。
欧州の鉄道事業などで成功しているようですが、事業として成長してほしいです。
今回の私の履歴書を読んで、日立は優秀な方を社員として集めていると感じました。でも、やんちゃな学業が不得意な方も活躍できる会社だといいなと感じました。
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