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昨晩からの強い風雨が今も続いている。家の工事は雨で一休みだ。
青野圭吾って現代の若手?作家でも人気の高い人。随分書きまくっている。
何冊かの彼の本は読んでいる。今回は『分身』という小説を読んだ
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彼は大学で電気工学を学んでいた関係からかこの本の中には現代科学の最先端分野の一つ生殖医療についてミステリーに仕上げていた。
要するにこの世に同じDNAを持った同じ姿の人間が3人いることが次第に判明することになる。
一人はもともとの遺伝子の所有者でこの人の細胞から2人の人間が別々の代理母によってこの世に生み出されていく。
若い鞠子と双葉。そして高城晶子。
この中で青野は生殖医療技術の危うさについていのちの本質的な、哲学的な考究をしている。いのちとは何だろう?生きるとは?
一方で有力な政治家がい自分の病気を治すためにクローン技術を必要として、そのためにだけこの技術を使ってクローン人間を生ませ利用しようとする。病気を治すために人間のいのちを勝手に「製造」し、治療のためという利己的欲求を満たすために生まれたいのちの尊厳も生きる権利も無視して利用していく。
倫理・道徳観念をまったく外せば、現在この技術は実現可能な段階に来ているのだろう。
ディテールは科学専門らしく詳しく記述されているが、枝葉末節を全部消去すると残るのは単純な人間の冨と権力と長生きへの欲望の構図だけ。
文学はミステリーでももっと深い人間的考察が述べられ、生き方への示唆があって、感動がなければならない。この点、少し消化不良。
もうすぐ古文書の手引き書『古文書に親しむ』(山川出版社)を読み終える。古文書が写真版で記載されていてこれを解読していくのだが、釈文がついているので読めない文字もすぐわかる。やっと7~8割方読めるようになった。来期の研究会再開まで半年の休止期があるのでその間に自分で実力を磨いていかないとー