○ 会社法219条には、株券の提出に関する公告等の規定があります。勿論、株券廃止会社については適用されません。また、上場企業については、来年2009年1月(予定)に株券が電子化され、電子化の移行日をもって、株券は回収されず一斉に自動的に無効になりますね。従い、この規定は、今後は未上場企業&株券発行会社の規定となります。株券不発行が原則とされ、株券不発行会社も多くなっていると思いますが、従来の株券発行会社は、まだまだ山ほどありますので、当分この規定で、企業再編時等に、株券提出公告をしないといけないことになります。
○ 219条では、次の場合には、株券を提出しなければならない旨を、効力発生日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない、としています。
① 譲渡制限の規定を設ける定款変更―全部の株式
② 株式の併合―全部の株式
③ 全部取得条項付種類株式の取得―当該全部取得条項付種類株式
④ 取得条項付株式の取得―当該取得条項付株式
⑤ 組織変更―全部の株式
⑥ 合併(消滅会社について)―全部の株式
⑦ 株式交換―全部の株式
⑧ 株式移転―全部の株式
○ 株券提供公告は、上記の様に企業再編行為などと共になされることが多いですね。企業再編では、多くのケース債権者保護手続きも要求しています。異議申述催告をして、異議申述期間として30日間の確保を求められているので、同時にする場合が多いです。
会社再編のスケジュールについては、以下の07年8月14日のBlogを、ご覧下さい。
・ しかしながら、債権者保護手続きを要求していない企業再編があります。例外的な場合はありますが、一般的に株式交換・株式移転の場合は、債権者保護手続きは不要ですね。ということは、株主が仮に数人で、全株主が出席の総会決議で承認をとって、すぐに全部の株式を表象する株券が集まる場合でも、この株券提供公告をしなければならないということですね。よけいな事させないでね。& なんで直ぐに出来ないのということですね。総会での承認決議は効力発生日の前日までに受ければよいことになったのにですね。かなりの会社が、株主は少数(身内とか、企業の合弁会社の場合は2-3人とか)であり、また株券発行会社でも、株券など作っていない場合も多いですね。
○ この規定を、以下の様に変更しては如何でしょうか。
「株券を提出しなければならない旨を当該日の一箇月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければならない。ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、当該行為を承認する株主総会に全株主が出席した場合は、この限りでない。」全株主の出席は別に委任状でOKですね。総会招集通知に、承認の際には、株券を提出してくれるよう記載しておけばよいですね。
○ 株式交換・株式移転の場合は、株券提供公告を行った旨の、例えば官報の掲載紙を登記の添付書類に要求していないのではないでしょうか。(資本金増加などの証明書は要求されますが)ということは、やらなくっても知らん顔して登記が出来るんですけど、まあこれは少しまずいと思う人にも、手がありますね。株式交換完全子会社の株主総会のときに、交換契約承認決議の前の議題・決議として、定款変更―株券不発行に変更してしまえばいいんじゃないでしょうか(多分これで出来るのではと思います。私はやったことないですけど)。定款変更決議がなされた時点で、株券廃止の効力が発生すれば問題ない筈ですね。相変わらず、余計な手間を要求している会社法ですね。
![]() |
会社法務と税務―設立、増資・減資、合併、組織変更、解散、分割、株式交換、株式移転、企業組織再編等の会社実務 価格:¥ 7,350(税込) 発売日:2006-12 |