○ 10年程前に企業会計の考え方が大幅に転換され、国際会計基準(IAS)の影響を受けて、連結・キャッシュフロー計算書導入・税効果会計・退職給付会計・金融商品会計等の制度が導入されました。会計ビッグバン等と言われましたが、今も第2波、第3波と続いています。
○ 自分の勉強の為、また整理の為に、日経新聞等を参考に、08年度から変わる会計基準などを整理してみました。
① 上場企業の四半期報告制度(金融商品取引法 45日以内に提出 監査法人のレビュー(簡易監査)必要―東証は決算短信を30日以内で開示するよう要請。)
② 在外子会社との会計方針の統一(日本では海外子会社について現地の会計基準による処理を認めていたが、国際会計基準は統一を求めている為に変更。但し、海外子会社については日本のローカル基準では無く、国際基準・米国基準での作成でもOK。その場合、のれん代の処理など六項目(*、重要性に乏しい場合は除外。この六項目に限らず、明らかに合理的でないと認められる場合は、連結決算手続上修正の必要あり)を日本基準に修正する必要がある。日本ではのれんは最長20年の償却資産。海外では規則償却なしの減損処理)
* 1) のれんの償却
2) 退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理
3) 研究開発費の支出時費用処理
4) 投資用不動産の時価評価及び固定資産の再評価
5) 会計方針の変更に伴う財務諸表の遡及修正
6) 少数株主損益の会計処理
③ リース会計(2007年度の税制改正で償却限度額が100%全額でリースのメリットが減少)リース期間終了後借り手に所有権が移らないものは資産計上しなくてもよいという例外規定が廃止。中途解約可能なオペレーティングリースのみ資産計上の必要なし。国際会計基準に収斂=Convergence)
④ 棚卸資産の評価法が、原価法は駄目となり低価法に一本化(国際会計基準に収斂。発生する評価損は原則売上原価=簿価切り下げ額、臨時・多額の場合は特別損失)
⑤ 企業関係者との取引開示(関連当事者の開示に関する会計基準。連結子会社と企業関係者との取引も開示対象になった。国際会計基準との収斂)
○ 少し振り返って見ましょう。
国際会計基準審議会(IASB)が米国の財務会計基準審議会(FASB)と会計基準の収斂の協議を重ねており、相変わらずスローの対応で、世界の会計ワールドや資本市場 で孤児になりそうな日本があわてて企業会計基準委員会(ASBJ)を作りましたね。 2005年1月に日本の会計基準と国際財務報告基準(IFRS=International Financial Reporting Standards。IASBの前身の国際会計基準委員会=IASBによって策定されたIASを含む)との差異を縮小する共同プロジェクトを、フェーズ毎に検討するフェーズドアプローチで立ち上げることで合意、3月には着手しやすい5項目(棚卸資産の評価基準、セグメント情報、関連当事者の開示、在外子会社の会計方針の統一、投資不動産)を取り上げ、9月に新株発行費(発行費と自己株処分費:日本では費用・繰延資産、国際基準では資本から直接控除)を追加、06年3月には更に3項目=資産除去債務、工事契約、金融商品の公正価値開示を追加しました。その後、フェーズドアプローチを止めて、全体像アプローチとして短期プロジェクト・長期プロジェクトで取り組むことになりました。今回の会計基準変更は、このプロジェクトの成果ですね。
○ ASBJとIASBは、日本のローカル基準を国際基準に収斂し共通化を2011年半ばまでに達成することで合意したと報道されています。そのうちに純利益を廃止して、時価変動を反映する「包括利益」が導入されると言われています。昔の経理に染まっている私には、もう世の中が2-3回回転したと言いますか、天地がひっくりかえりそうな感じですが、これも時代の流れでしょうか。
詳しい情報を得たい人は、企業会計基準委員会(=財団法人財務会計基準機構)のWEBで会員申し込みをされては如何でしょう(年会費5万円なので私は入会しませんが)
