○ 中国政府の4兆元(52兆円)の景気浮揚策で今年も8%成長が見込まれている中国ですね。日本が元気だった30-40年前を思い出させる雰囲気がありますね。益々中国が注目されています。従来は、中国リスク低減のため100%外資で中国に進出し、輸出を主としていた日本(外国)企業も、今後は中国マーケットを対象として、中国の内資企業と合弁会社を設立して進出する方式が増えそうですね。と言うわけで、今回は、中外合弁企業法という、少し変わった特色のある法律について考えてみましょう。
○ 中国内資企業との合弁企業設立の際には、中外合弁経営企業法が適用されますね。外国側投資企業(個人でも可能。中国側は個人は出資者になれない)は持分の25%以上出資しないといけません。登録資本の持分割合に基づいて、リスクとリターンを負担・享受します。合弁契約書と定款を作成して、関係機関の許可を取得しないと設立できませんし、また出資も出来ないですね。会社が出来ても営業許可取得までに時間がかかる場合もあります。日本でも同じですが、外貨・人民元の銀行口座開設、税務当局への届出、労働局への雇用手続等に加えて、当然、電気・水道・ガス・通信等の手続が要ります。最近は、コンサルティング会社も多いですから、慣れないことは任せた方が良いですね。
○ 中外合弁企業の最大の特徴は董事会が、会社の意思を決定する最高機関という事ですね。普通は董事会を取締役会と訳しますので、この訳は誤解を招きますね。株主総会とか出資者総会があって、そこが最終の意思決定機関と思いがちですが、違いますね。
董事は3人以上で、任期は4年、各出資者が持分比率に応じて指名しますが、別に持分比率に応じて決める義務はありませんね。董事長が、会社を代表します。董事会は少なくとも年1会開催ですから、言って見れば株主(出資者)総会みたいなモノですね。でも資本多数決ではありません。董事会の定足数は2/3以上ですから、3人の場合は2人以上の董事の出席が必要(委任状も可)ですね。開催場所は、本店所在地で行う事になっています。
○ 董事会の権限は、経営計画、予算案、生産計画、人員計画の作成、決算・配当の承認、並びに実務執行者である、総経理、副総経理、総会計士(CFO)、監査役(審計師)等の任免ですね。①定款変更、②営業廃止・解散、③登録資本の減増資、④合併については、董事全員の承認が必要ですね。
○ 上で、別に持分比率に沿って董事を指名しなくても良いと言いましたし、出資者総会もありません。これとの関連で面白い問題があります。簡単な例でいうと、持分比率61%の会社が1名董事を指名して、39%の会社が董事を2名、董事会のメンバ合計3名のときに、どちらの会社の連結対象になるのでしょうか?この答えがわかった人は教えて下さい。尚、参考までに、連結子会社の定義は以下ですね。
○ 金融商品取引法の財務諸表規則の子会社の定義(8条4項2号)
二 他の会社等の議決権の40/100以上、50/100以下を自己の計算において所有している会社等であつて、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する会社等
ロ 役員若しくは使用人である者、又はこれらであつた者で自己が他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
まあ、あんまり関係ないかも知れませんが、連結財務諸表原則第三一般基準の記載は以下ですね。
「(2) 他の会社に対する議決権の所有割合が百分の五十以下であっても、高い比率の議決権を有しており、かつ、当該会社の意思決定機関を支配している一定の事実が認められる場合」(注解5)(3)役員若しくは従業員である者又はこれらであった者が、取締役会の構成員の過半数を継続して占めている場合