○ 会社法「けち」シリーズです。今回は、定款の閲覧権についてです。法26条(定款の作成)では、「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。」と規定しています。
○ 31条(定款の備置き及び閲覧等) 1項では、「発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)は、定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては、その本店及び支店)に備え置かなければならない。」としています。30条では定款の認証を定めていますので、この定款は認証済みの定款ということですね。
○ 31条2項には面白いといいますか、変な規定があります。「発起人(株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者)は、発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては、その営業時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人(株式会社の成立後にあっては、当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。」と定めています。1号は、閲覧請求、2号は謄本等の請求で、3号・4号は、1号・2号と同じ規定ですが電磁的記録の場合ですね。
○ 上の規定の括弧書を除くと、「発起人は、発起人が定めた時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、発起人の定めた費用を支払わなければならない。」⇒定款って発起人が作成するのに、何ですかこの規定は!例えば、原本証明付の謄本を発起人が入手するときは、原本証明を自分がして、お金を払って入手して下さいと書いています。自分の作った書類なのにですね。
○ 勿論、この規定の趣旨は、株主・債権者が請求したときに適用されますね。法第二編 株式会社 第一章 設立 第二節 定款の作成の箇所に規定しているために、発起人を入れているのだと思いますが、「株式会社の成立後にあっては、その株主及び債権者は、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。」とすべきでしたね。