○ 上場企業の場合の買収価格や合併・株式交換の際等の企業価値評価については、株価が重要な要素ですね。ですから企業価値と乖離していてもその株価でしか買えないという現実があります。TOB等の場合は例外もありますが、株価にそれなりのPremiumを載せますControlling Premiumですね。上場株・未上場株共通ですが、法人税基本通達の有価証券の評価損のところに(9-1-15)「企業支配をするためにされたものと認められるときは、当該企業支配株式等の価額は、当該株式等の通常の価額に企業支配に係る対価の額を加算した金額とする」とされていますね。企業価値と買収価額の乖離が起こるわけですね。一方、未上場企業の株式・出資の評価については、相続税の財産評価基本通達の168以降等にも詳細に定めています。未上場企業の場合は、通常は企業価値と買収価額とは、あまり乖離は生じないと思われますので、一応企業価値=買収価額としましょう。<o:p></o:p>
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○ ご承知の通り、株価の算定には、企業価値を算出する方法として①Stockベースの純資産(資産―負債)を基にして算出する方法(時価ベース純資産等)、②フローベースの利益あるいはキャッシュフローをベースにする方法(計算遊びの米国のDCF等とかEBITDAのmultipleとか)、③配当・利益などを還元するCapitalizationの方法、それと直接株価を算出する④上場株式と比準する方法(相続税評価通達の類似業種比準方式、類似会社比準方式、企業比較法、簡単なPER、PBR等)等ですね。更に、これらのいくつかを組み合わせる方法とか、いくつかの方法を行ってからRangeで提示することもあります。いろんな算定方式があり、裁判所の判例は個々の事情を勘案しますから、確立した方法は無いですね。<o:p></o:p>
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○ 私は、未上場企業の企業価値の算出は、日本の古典的な方式である「純資産+のれん(主として一定期間の利益額)」即ち、上記の①+②を組み合わせるのが結構合理的であると考えています。純資産は、時価ベース純資産ですね。一定期間の利益とは、例えば買収期前後3年とか5年とかの経常利益あるいは純利益予想額ですね。経常利益か純利益かは、買収の経緯・力関係で決まります。買収者は、買収してから3-5年以内に、連結の利益ベースで利益を計上しないと買収する意味が無いから、まあ相乗効果が期待できる場合でもMax.5年ぐらいの利益額の総額ぐらいでしょうか。<o:p></o:p>
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○ 学者は、のれんとは「ある企業が同業他社に比べて超過収益力を持つ場合、その超過収益力に対する対価である」等と言っていますね。しかし、実際の企業買収で、超過収益力を持つ企業を買収できますか?難しいですね。せいぜい平均利益金額を下回る企業ぐらいしか買収できません。その買収のときに、自家創設のれんが顕在化します。自家創設のれんの評価は「極めて曖昧」だから計上出来ないけれども、買収したときは計上できますからね。連結会計では、子会社の、資産・負債は連結され、資本勘定は相殺消去されます。投資消去差額ですね。これは従来連結調整勘定として処理されてきましたが、2006年5月施行の会社法・計算規則により「のれん」として処理されます。いろいろなのれんの考え方があり、それが整理されていませんね。<o:p></o:p>
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○ 私は、「のれん」とは以下だと考えて居ます。例えば、元手をもとに事業を始めても利益を出さないと事業は継続しませんね。資産があってもそれだけでは収益を生みません。資産・負債を使って収益をあげ、更に利益を上げなければなりません。即ち営業キャッシュフローを作り出さないといけません。キャッシュを作り出すのは人です。例えば、駅などの好立地でビジネスができるようになっても、その立地条件を引っ張ってくるのは人です。有名ブランドにしても、代々の先輩諸氏がこつこつ信用を築いたからです。売れる技術・製品にしても、その基礎は今までの技術屋さんの技術の蓄積を基に生み出されます。このキャッシュを生み出す力、そして利益を出す力がのれんなのです。キャッシュを生み出す力と言っても、収益マイナス費用が赤字では事業は継続しません。即ち企業とは、存続が前提であり、存続するにはキャッシュを継続的に生み出し利益を出さないといけません。企業の買収は事業の買収です。事業は、純資産(資産―負債)と利益で成り立っているのです。従い買収価額とは、「純資産+のれん(利益等のMultiple)」で算出するのが結構合理的なのです。仮に、その利益が、平均利益金額以下でものれんなのです。買収でのれんは超過利益金額だといっても、超過利益金額というのは、「結構曖昧」で具体的に算出は難しいのです。上記のように利益と考えるがスッキリ行くと思います。<o:p></o:p>