まさるのビジネス雑記帳

勉強ノート代わりに書いています。

従業員の退職後の競業避止義務等

2012-10-09 21:22:15 | 商事法務

 

 取締役会設置会社の取締役は、「自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」は、取締役会の承認が必要ですね(356条、365条)。これは取締役としての地位により取得した情報又は営業上の機会を利用し、会社が利得出来る筈の取引の機会を奪い、会社の利益を犠牲にする危険を防止するためですね。会社法に定める忠実義務の一種ですね。通説は、忠実義務と善管注意義務を同一の義務と解しており、この競業避止義務も善管注意義務の一内容と解しています。

 では、部長などの従業員の場合はどうでしょうか。程度の差
はありますが、同じですね。しかし同じ事が会社に勤め
ながら、自分で会社を興して競業を行う事もあるでしょう
が、普通はそんな余裕は無いでしょうね。一般的には、
会社を退職して再就職するときに問題になりますね。
特にライバル企業から引き抜かれる場合とか、自分で
類似業種の事業を起こすときに問題になります。
従来の会社は、従業員が退職するときには、①在職中に
知り得た秘密の秘密保持義務と、②競業避止義務を
従業員に契約で課す場合が結構あります。一方、従業員
には、職業選択の自由がありますし、従来こつこつ身に
つけてきた自分の経験・ノウハウを活かすのは当然です。
<o:p></o:p>

<o:p></o:p>

 退職する従業員にとっては、今までの取引先を自分が設立
する会社の取引先にするのが近道ですし、それが
ノウハウですね。一方辞められる会社の方が、それは
会社の顧客であって退職従業員の顧客では無いという
立場です。辞める従業員は、スッキリ早く辞めたいので、
会社の言うとおりの競業避止義務の契約書にサインして
辞めることもあります。契約書サインに難色を示すと、
当然会社としても防衛策をとりますからね。
個人の職業選択の自由と以前の会社の
利益のバランスを
どのようにとるかの問題ですね。
<o:p></o:p>

 競業避止義務の契約書が有効と認められるか、公序良俗
違反として無効となるかは、一般的に下記等を判断基準
としているようです。
<o:p></o:p>
 退職従業員の地位と職務内容<o:p></o:p>
 競業避止義務の職種・範囲{地域等}<o:p></o:p>
 避止義務の期間<o:p></o:p>
 避止義務の代償処置(退職金等の経済的補填)<o:p></o:p>
原告は、契約の避止義務違反により、会社が損害・得べ
かりし利益を得ていないということを立証しないといけ
ませんので、営業部門の退職者が顧客を奪ったというのが
典型でしょうね。あるいは技術者が、その技術を提供した
というのもあるかも
しれません。ソフトウェアエンジニアが
類似ソフトを開発したというようなケースですね。


○ 従業員が退職して競業を行う理由として、経営者の
経営に不満を持つケースが結構あります。ですから、組織で
動く大企業は別として、中小企業で人徳の無い経営者のいる
会社は、退職者が多いので要注意ですね。一方、企業の中
には、従業員の独立を支援する企業もあります。独立を支援
して、類似の事業を始めて、相互補完や相乗効果が期待
できる事業に従事するのを推奨するわけですね。


<o:p>

 個人レベルでは無く、企業としての競業禁止義務は、事業
譲渡等の際に負いますね(法21条)。のれん分けのときは、
地理的な範囲などで分けるのでしょうか?レストラン等
なら良いですが、今はインターネットで地理的範囲を
越えられる時代ですからね。競業避止と言っても難しい
ですね。

 あるSpin-offの事例で、会社間で従業員の引き抜きは辞めま
しょうという規定を入れたこともありましたので、参考までに
掲載しておきましょう。<o:p></o:p>

   No Party shall solicit the employment of any other Party 
(including its affiliates)’s personnel within a period of 
twelve (12) months following the date of the Spin-off,
provided that the above provision shall not restrict the
right of any Party to (a) solicit the employment of
personnel of any other Party after such personnel have
separated or have been separated from the employment
of such party, provided that the hiring party did not solicit
such separation, (b) communicate about and accept the
job application initiated by personnel of the other Party,
provided that the hiring party did not solicit such
personnel’s resignation from such Party,and (c) solicit
or recruit generally in the media.


Dsc_0148_2

</o:p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする