○ 英文契約の一般条項の一つとして、契約の譲渡禁止の規定が記載されます。例えば、簡単な例としては以下ですね。
This Agreement may not be assigned by either of the parties hereto and any such assignment shall be null and void without the consent in writing of the other.
実際の契約で、この条項に従って契約が譲渡される例は、子会社などへの譲渡を除いてあまりないと思います。しかり法律屋というのはどうしても業界慣行的な書き方の文章を作りますので、しばしばこの文言が入ります。弁護士さんが、どうでもよい条項をいろいろ追加して、いたずらに契約書を長く(お金を稼ぐ?)する場合等にも入れますね。実際はどうでも良いことなんですけど。
○ Assignmentとは、正確には、契約の譲渡・契約上の地位の移転では無く、権利の移転及び義務履行の委託」の事を言います。Uniform Commercial Code§2-210. Delegation of Performance; Assignment of Rights.には、以下のように規定されています。(3) An assignment of "the contract" or of "all my rights under the contract" or an assignment in similar general terms is an assignment of rights and unless the language or the circumstances, as in an assignment for security, indicate the contrary, it is also a delegation of performance of the duties of the assignor.」<o:p></o:p>
○ 当事者の意識としては、契約(債権・債務)を新たな者に移転・承継(債務も免責的債務引受)するという意識が強いのではないでしょうか?日本の民法514/515条には、債務者・債権者交替による更改を規定しています。
- 514条(債務者の交替による更改)債務者の交替による更改は、債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる。ただし、更改前の債務者の意思に反するときは、この限りでない。
-515条(債権者の交替による更改)債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。
日本では、関係者間で契約上の地位移転の契約を締結して、移転日を設定して行います。、契約(原則は、債権+債務)は、そもそも当事者間の取り決めですし、地位承継を受ける人も地位承継確認書に当事者として参加しますので、515条の第三者対抗要件(確定日付ある証書)がどれだけ必要かよくわかりませんね。
○ 英文契約のAssignmentは、当事者としては、正確に言えば、更改(Novation)ということになるのではないでしょうか? Novationの定義を辞書で調べました。
Substitution of another party for one of the original parties to a contract, with the consent of the remaining party. The old contract is then extinguished, and a new contract, with the same content but with at least one different party, is created. A novation often involves a transaction whereby the original debtor is discharged from liability to his creditor by substitution of a second debtor.<o:p></o:p>