○最近は、英文契約書でCorporate Seal(正式な会社印)の押捺された契約書を見なくなりましたね。M&Aの契約書等の重要契約にも押していません。仮に相手が押捺してきても、日本側では会社印は普通は押しませんね。こういう場合は、日本側では会社印(角印・社判)ではなくて、代表取締役印を押せば良いと思います。代表印なら、代表取締役の行為であり、日本では業務に関する一切の裁判上又は(=and/or)裁判外の行為をする権限がありますし、その権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができませんのでね(法349条)。<o:p></o:p> <o:p> </o:p> ○ 英米では、代表取締役という機関はありませんね。会社の権能は、定款等の制限に従い、取締役会によって行使されるか、取締役会の授権に従い行使されます。模範事業会社法8.01(b)には、以下のように定めています。 「(b) All corporate powers shall be exercised by or
under the authority of, and the business and affairs of the corporation managed
by or under the direction of, its board of directors, subject to any limitation
set forth in the articles of incorporation or in an agreement authorized under
section 7.32.」<o:p></o:p> <o:p></o:p> ○ ということで、買収契約のRepresentations
& Warrantiesの一つの項目として、例えば以下のようなAuthorizationの規定が入るわけですね。 「The
Seller has full corporate power and authority to execute and deliver this
Agreement and to consummate the transactions contemplated hereby, and the
execution, delivery and performance of this Agreement by the Seller has been
duly authorized by all necessary corporate action of the Seller and this
Agreement has constitutes the legal, valid and binding obligations of the
Seller, enforceable against the Seller in accordance with its terms.」 しかし、もし相手方がCorporate Sealを押してきたら、上記のような文言は不要になります(勿論入れても良いのですが)。<o:p></o:p> <o:p></o:p> ○ Corporate Sealを押すには、英米では取締役会の承認が必要だからですね。この会社印は、会社のOfficerであるSecretaryが管理します。Secretaryは、会社法の定める任務と責任を負いますが、この任務の一つとして、会社の行為が、法令、基本定款・付属定款に合致しているか、きちんとした手続きがなされているかをチェックし確認しなければなりません。つまり取締役会の承認を確認してから、Corporate Sealを押すことになります。Corporate Sealの押された書面は、取締役会によりauthorizeされたものという推定(presumption)を受けるわけです。<o:p></o:p> <o:p></o:p> ○ Corporate Sealの押印といても、日本のような朱肉はありません。小豆色のろう(封蝋)をたらして、その上に刻印式のSealを押すわけですね。こんど欧米企業と重要契約を締結するときに、Corporate Sealを押してくれと言って見ては如何でしょうか?<o:p></o:p>