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〇 インドネシアについて、会社法の監査役会(=Board of Commissioners=Komisaris会)について、以前書きましたが、今回は、インドネシアへの投資・会社の設立について書きましょう。
〇 インドネシアへの外資の投資については、多くの新興国同様ネガティブリストがあり、外資の参入を禁止している業種や制限している業種がありますね。JetroのWebでは、その邦訳を掲載していますので、まず事前チェックが必要ですね。制限業種でも、現地企業との合弁による進出はできますので、そういったことも検討する必要があるかもしれません。
〇 日本企業の典型的な進出方法として、現地企業と合弁会社を作っての進出の場合を検討してみましょう。即ち、現地企業と合弁で株式会社(Perseroan terbatas=PT)を設立する場合ですね。外国資本が入る企業をPMA企業(PMA=Penanaman Modal Asing = Foreign Investment Company)と言います。PMA企業は、まず投資計画等を作成し投資調整庁(BKPM)に投資登録申請書(Model1)を提出、投資承認通知書(SP/PMA)=PMA設立登録証(有効期間6か月)を取得するのが出発点となります。投資計画には、まず、合弁契約書、その他現地パートナー企業の定款、納税登録番号、合弁会社が行う事業分野、プロジェクト場所、年間生産予定高、投資額(Rp/US$)、製造工程のフローチャート、使用原材料の種類その他の書類・資料を添付する必要があります。
〇 会社設立手続―概略の流れは以下ですね。
社名申請→定款作成→設立公正証書の取得→居住者証明取得(①)→納税者番号(NPWP)登録(②)→PMA銀行口座開設(③:資本金払込)→法務人権省に会社設立証書の承認申請(④)→商業省へTDP(Tanda Daftar Perusahaan=会社登録証)申請とその取得
① 必要書類=BKPM発行の投資承認通知書、事務所の賃貸借契約書、現地法人代表者の身分 証明書(外国人はPassport)等
② 納税者番号(NPWP)及び課税事業主認識番号(PKP)の取得:NPWP申請書類は、申請書、設立 証書コピー、居住者証明書、現地法人代表者の身分証明書、委任状、その後PKPの取得するときは、NPWP、事務所の賃貸借契約書が必要で、税務署による事務所査察も行われます。
③ 必要書類=BKPMからの投資承認通知書、設立証書コピー、NPWP
④ 申請代理は公証人が行います。承認申請受理通知後30日以内に、申請書類を提出します。申請書類は、設立公正証書の写し、NPWP、官報公告掲載手数料支払の領収書、非税国家収入領収書、資本金払込の銀行証明書ですね。
⇒申請書類に不備が無ければ、法務人権大臣は電子署名のなされた承認書を発行し、登記簿に会社登記手続を行い、登記手続終了後に法務人権大臣より設立認可が下りた段階で、新会社は法人格を取得する。設立認可がおりてから14日以内に、法務人権大臣は設立認可に関する事項を官報に掲載します。
〇 各関係省庁への許認可申請:上記で会社はできますが、これだけでは事業を行うことはできません。 BKPMにおける輸入ライセンスの申請・取得(メーカは、API-P取得)、輸入ライセンス取得後、税関の輸出入業者として登録が必要です。また日本から駐在員が赴任しますが、外国人労働者のVisa取得が必要です。尚、原材料購入、部品輸入などの輸入ライセンス取得には、2-3か月ぐらいの時間がかかっているようです。また、その後に、BKPMより事業ライセンスの取得をして初めて事業が開始できるのですが、このライセンスはメーカの場合は工場稼働後なので、工場稼働がに1年かかるのなら1年後ということになりますね(但し、一時ライセンス制度もありますが)
○ 土地利用に関する許可の取得:メーカが合弁で、現地で土地を取得し工場を建設する場合は、以下の手続きが必要ですね。この部分は、Jetroのwebを参考にしています。
インドネシア全国土の最高管理権は国家に帰属し、個人・企業は土地の権利を国の許可を取得した上で保有する形態をとっている。土地に関して取得できる権利は、 [1] 所有権(HM)、[2] 事業権(HGU)、[3] 建築権(HGB)、[4] 利用権(HP)、[5] 開墾権(HMT)、[6] 森林産出物採取権(HMHH)、[7] 賃借権(HS)、[8] 小作権(HUBH)、[9] 土地質権(HG)、[10] 滞在権(HM)、[11] 農地賃借権(HSTB)の11種類あり、[1]~[6] は国の許可が必要だが、[7]~[11]は当事者間で権利の移転・取得が可能である。
上記[1]-[6]で、PMA企業が利用可能な権利は以下の3つ
[2] 事業権(HGU=Hak Guna Usaha):国家に属する農地を貸借して開発する権利。期間は最長35年認められ、更新も可能。
[3] 建築権(HGB=Hak Guna Bangunan):土地の上に建物を建設・保有する権利。期間は通常25~30年、必要な場合は地方政府に申請して更新できる。
[4] 利用権(Hak Pakai):国家ないし個人に属する土地を一定の期間、開発、利用する権利。期間は最長25年、さらに更新が認められる。
地域の指定、土地の指定、土地使用権の承認、建設許可の発給、公害関係法規に基づく許可は、各州投資調整局(BKPMD)でも行われる。 土地の権利は、国家土地局(Badan PertanahanNasional=BPN)の地方事務所により、土地台帳に登録された時点から有効。土地の権利移転は、その土地所在地の土地公証人(Pejabat Pembuat Akte Tanah=PPAT)が発行する証書に基づき行う。
新興国で事業を立ち上げるのは、結構手間がかかりますね。でも工場稼働後からが本格的勝負ですね。毎年、組合も強く、毎年2割3割も最低賃金が上昇していますので、人員計画・そのコスト上昇率などもしっかり検討しないといけませんね。