とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

著作権についての問い

2022-10-28 07:49:57 | どう思いますか
 10月24日、音楽教室のレッスンでの演奏で、曲の使用料を払う必要があるかどうか争われた裁判で、最高裁は生徒の演奏については曲の使用料を払う義務がない判断しました。当然といえば当然の判決です。ただし、著作権については改めて考える必要があります。

 そもそも著作権というのは、「近代」の産物です。「近代」というのは「個人」が重要視される時代です。だから個人の権利が大幅に認められました。著作権もそのひとつです。

 様々な著作物は個人のものなのでしょうか。小説だって映画だって伝統の上に立ってできているものです。完全に個人のものとは言えないはずです。それでも「近代」という時代は個人を優遇してきました。

 しかし「近代」は行き詰っています。「個人」の時代はもう終わりつつあるのです。その時代に「著作権」は生き残れるのでしょうか。

 私は「著作権」を完全に否定するつもりはありません。「著作権」があるからこそ、文化が発展したのは事実です。しかし、著作権が死後70年保護されるなんてありえない話です。著作権が茶作者と別な次元で売買されるのもおかしな話です。「著作権」がマネーゲーム化している現状はおかしいのです。

 「著作権」はもっとしっかりと考えていかなければならない、哲学的な問題です。

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映画『ヘルドッグス』を見ました。

2022-10-10 10:44:35 | どう思いますか
 山形県の作家、深町秋生さんの小説を映画化した、『ヘルドッグス』を見ました。虚実の虚実が反転し続ける興奮のハードボイルドアクション映画です。

監督 原田眞人
原作 深町秋生
キャスト 岡田准一 坂口健太郎 松岡茉優 MIYAVI 北村一輝 大竹しのぶ

(あらすじ)
 かつて刑事だった兼高は、自分の落ち度のために、自分が好きになった女性を含む4人の人間が殺された事件の犯人に復讐するために刑事をやめる。その獰猛さから警察組織に目をつけられた兼高は、関東最大のヤクザ「東鞘会」への潜入という危険なミッションを強要される。兼高は組織に入り、次第に出世していく。そして任務を遂行する。

 かつての日本の任侠映画の伝統と、アメリカのアクション映画のいい面が合わさり、上質なエンターテイメントになっています。

 ただし、最初の設定に無理があるような気がします。兼高が好きになった女性はまだ高校生であり、しかもまだ付き合ってもいない状態でした。復讐する動機が弱い。復讐するにしても合法的なやり方でやるのが普通です。兼高の変化の理由が明確に伝わりません。そのあたりは原作ではどうなっていたのかわかりませんが、もっときちんと描くべきものだったと思います。

 とは言え後半の展開は見事です。女性の殺し屋の正体がばれたあたりから、いきなりスピードが増し、そこからは一気に突き進んでいきます。後半の1時間はトイレに行くのを忘れるほど、引き込まれました。日本映画もこんなに上質なアクション映画が作れるようになったんだと、関係者の努力に拍手を送ります。


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映画『アプローズ・アプローズ』を見ました。

2022-10-08 07:07:56 | どう思いますか
 映画『アプローズ・アプローズ』を見ました。刑務所の囚人たちがパリのオデオン座で講演をするという大人のメルヘンのような物語。しかしその結末も「大人のメルヘン」になっています。人生の機微を感じる佳作です。

 売れない俳優エチエンヌは、刑務所の囚人たちを対象とした演技ワークショップの講師を依頼されます。彼はなんとサミュエル・ベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」を演目に選びます。囚人たちがいつまでたっても現れない「出獄」を待ち望む姿と、ゴドーを待つ男たちとを重ねたからです。

 それにしても難しい戯曲を選びました。実際の舞台はドタバタになってしまいますが、それもまた観客に受けてしまいます。意外にも高い評価を得ることになります。

 彼らの活躍はパリにまでも届き、とうとう大劇場パリ・オデオン座に出演することになります。しかし囚人たちは逃げ出してしまいます。もう待つことをやめてしまったのです。

 エチエンヌは悲嘆にくれながらも囚人たちの心によりそったスピーチを行います。そのスピーチは私にはきれいごとに聞こえましたが、そうでもしなければ救われないものでした。

 私たち人間は無理な希望でも、希望さえあれば待ち続けます。一生待ち続けるのです。しかしいつの間にか待ち続けることのむなしさもわかるようになります。希望とむなしさが同居した心を抱えながら生きていくのです。

 「人生の意味」が心に落ちてくるようないい映画でした。
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『トップガン・マーベリック』を見ました。

2022-07-18 10:37:09 | どう思いますか
 大ヒットしている映画『トップガン・マーベリック』を見ました。最新の映像技術を駆使しながらも、伝統的な「懐かしい」アメリカ映画の構造をしっかりと押さえた面白い映画でした。

 最近忙しすぎて映画を見に行くのも1か月ぶりでした。忙しさのピークがようやく抜け、肩の凝らない映画を見ようとこの映画を選びました。公開からかなりたっているので、観客数が減るのだと思っていたら、予約の画面がどんどん埋まっていきます。あわてて予約して劇場に行くと、すでに劇場は満杯。見られなくて帰っていく人がたくさんいました。(ただしとても狭い劇場ではありました。)最近の映画の中では大ヒット作と言っていいのではないでしょうか。

 この映画の良さは、伝統的な「正義・友情・努力」という価値観です。そしてそれらによって人間は不可能を可能にするという、「人間賛歌」です。根底にある価値観は、定番ではあるわけですが、だからこそ安心して見ていられます。

 さらには飛行機のゲーム的な「曲芸飛行」。ありえないような飛行技術は目がはなせません。「そんなバカな。」と叫びたくなることもたくさんありますが、そこが娯楽映画のいいところです。

 もちろん、平和主義者の私としては戦争を肯定するともとれる内容に違和感を覚えることもないわけではないのですが。映画は映画です。表現を狭めてはいけません。そこから先はまた別の次元の問題です。

 気分がスキっとして帰ってきました。
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教員免許状更新制の廃止について思うこと

2022-07-03 09:20:47 | どう思いますか
 2022年7月1日から、教員免許更新制が廃止される。教員免許は10年に1度の更新が必要だったが、それがなくなることになる。

 これは一方では賛成である。10年に1度、5日間とい期間を取られるということは、かなりの労力だ。しかも免許更新に3万円がかかるのも大きなハードルだった。かなり無理な制度だったからだ。

 しかし一方では残念な部分もある。教員免許更新の講習は、あらたなことを学べるチャンスでもあった。興味があったが学ぶチャンスがなかったことを学ぶことがあった。さまざまな大学で、さまざまな講習が準備され、それを学ぶことができることは刺激になった。

 大学を出てから、その知識だけをたよりに60歳過ぎまで教えていたら、マンネリになる。そもそも現在の教員も自分が学校で学んでいた通りの授業をしている。これでは教育が衰退して当然だ。意欲ある教員がやる気を失ってしまう。

 自分の専門分野について新しい考え方を学んだり、自分にとっての新たな分野の入門講座を学んだり、あるいは様々なおもしろい実践を行っている先生の方法を学んだりすることは大いに意義があることだ。

 教員志望が減っている。当然だ。こんなにストレスがたまり、ハードな仕事をやりたい人間なんかいない。夢があり、やりがいがあり、しかも常識的な仕事量にしていかなければならない。夢とやりがいのためには、楽しい研修の機会を設けていく必要がある。単なる形だけにならず、しかもやる気のある先生方に夢とやりがいを与える研修を作り上げていかなければならない。
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