とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

ALS女性安楽死事件

2020-07-25 09:22:39 | どう思いますか
 新型コロナウイルの感染拡大と重なってしまい、本来大きく取り上げられるべき事件が目立たなくなってしまった。京都のALSを患っている女性に、二人の医師が薬物投与を行って死亡させたという事件である。

 この事件についてALSについて詳しい人や人権の問題に詳しい人から、あってはいけない事件であるという発言がなされた。その通りなのだと思う。また2人の医師が偏向した思想の持ち主だったという報道も見られる。このことから、この事件は「安楽死」ではなく、あきらかな「殺人」と考えるべきだという意見も納得できる。

 ただし、私はこの事件はそう単純に片づけてはいけないと考えている。うまく整理されていない言説が目立ち、問題の本質が見えてこないのだ。

 ALSに詳しい有識者が、ALS患者は最初絶望をするが、周りのサポートがあれば希望をもって生きていけるという発言をしていた。そのような形になればとてもいいことである。しかし誰もがそういういい形におさまるわけではないであろう。人によってはいつまでも希望を持てない人だっている。それなのに「誰もが希望を持てる」と言い切ってしまうことは危険なことなのではなかろうか。

 女性は2011年頃に同疾病を発症し、死亡する直前は発語や手足を動かすことができない状態だったという報道がある。そこまで来た人間が自暴自棄になってしまうことを責めることはできやしないだろう。

 いじめの問題もそうである。いじめで自殺するなんてことはあってはいけない。しかしいじめで苦しんでいる人の苦しみなんて、他人がわかるようなものではない。不幸にも自殺してしまった場合、いじめられた当人のせいにすることができるわけがない。我々はその苦しみを理解し、和らげることができなかったことを真摯に受け止めるしかないのである。

 ALS患者を「ALS患者」というレッテルで考えてはいけない。一人の人間として受け止め、その人の心を推し量ること努力をすべきである。そして希望を持って「生きる」ために何が必要なのかをじっくり考えることが必要なのだ。
コメント
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