ウディ・アレンの新作『レイニー・デイ・イン・ニューヨーク』を見ました。おしゃれで野暮ったく、リアルな絵空事で、笑えそうで笑えない、アンバランスな現代のすれ違いドラマです。現代に対する違和感を感じるための映画なのかもしれません。
主人公の男の子は特別にかっこいいわけでもないのですが、お金持ちで育ちがよく、なんでもこなしてしまう、もて男です。ニューヨークで生まれ差だちましたが、地方の大学に進学しています。同じ大学にいる彼女はかわいらしく、無邪気で前向きなジャーナリスト志望の女の子です。その女の子が有名監督の取材をするチャンスを得て、ニューヨークに行くことになります。男の子は女の子をニューヨークでもてなそうと計画をします。しかし、女の子は有名監督に気に入られ、試写会に招待されたり、脚本家の騒動に巻き込まれたり、有名男優に気に入られたりと、男の子との約束をすっぽかしてしまう事態に陥ります。一方男の子は女の子を有名男優に取られてしまい、やけになります。そんなドタバタの中、ニューヨークにいる母親の意外な秘密を知ることになります。この母親の秘密こそがこの話の鍵になります。
現代人の不安定な日常を描いていて、すんなりとは入ってこない映画です。しかしすんなりと入ってこないのが「今」なのかもしれません。「今」という時代は人間の心が何かマスクでおおわれてしまっているようの、はっきりと見えない時代です。スマホ越しで生きている時代とも言えます。ニューヨークも今は夢と希望の町ではなくなってしまいました。ニューヨークの夢と希望は胡散臭さに変わってしまったのです。
「レイニーデイ」にしたのはそんな質感を描きたかったのかもしれません。