安倍晋三氏がここにきて「敵基地攻撃能力」の保有を検討しはじめた。これは大きな政策変更である。慎重な議論が必要である。
「敵基地攻撃能力」はイージスアショアの代替として出てきた案である。大きな戦争を防ぐために「敵基地攻撃能力」を保有するというのは合理的な案のようにも見える。しかし実際にはさまざまなケースを、あらゆる角度から検討しなければ、それが本当に合理的なのかは判断できない。
もしこれが攻撃を受けた時、その後に敵基地を攻撃するという意味なのならば納得できる人も多いと考えられる。しかし、相手が攻撃態勢に入った場合に攻撃するという内容なのならばそれは憲法の精神に反するのはあきらかだ。戦争の口実を作っているだけだ。危険な考え方だ。
そもそもこの案を、新型コロナウイルスで混乱している最中に、しかも自分が逃げているだけの状態で、「ぶらさがり」で発言する安倍氏には不信感を覚える。どさくさに紛れて何かを始めようとしているようにしか見えない。
今は新型コロナウイルス対策で明確なメッセージを出すことが先決である。大臣や首長がさまざまな発言をして混乱している状況で、首相が知らんぷりでは国民が混乱するだけだ。