90分ワンショットで話題の映画『ボイリング・ポイント』を見ました。臨場感、緊迫感が、内容のおもしろさを増加させる意欲作でした。
監督 フィリップ・バランティーニ
ロンドンの高級レストランのクリスマス前のある夜の物語です。シェフは家族の問題を抱え、一方ではレストランのチームワークが乱れ、苦しい日々を送っていました。その日のディナーも様々なトラブルが続き、シェフは精神的に追い詰められていきます。
ワンショットの映像は実在のレストランの緊迫感をうまく表現しています。毎日の食事がこんなに忙しいのかと感じさせられます。これではストレスがたまります。そのストレスからか、厨房は殺伐とした状態になり、大きなミスが生まれてしまいます。
カメラはシェフの苦悩にせまります。
ただし、ワンショットにこだわりすぎだったのではないかという疑念もわいてきます。カメラが一台であるために、必ず誰かを追いかけなければいけません。すると必ずその人物はすぐに戻ってこなければいけないのです。そこにまどろっこしさがあります。
また後で修正することもできません。そのために説明不足になってしまっていることもあるように感じられます。
しかしこれは後で考えたもので、見ているときはそんなことを感じません。監督の意図は十分生きています。そしてそれを成し遂げたスタッフ、キャストはすばらしいチームワークでした。
いい映画を見ることができました。