ホイットニー・ヒューストンの半生を描いた伝記映画、『ホイットニー・ヒューストン』を見ました。人間の強さと弱さがしみてくる深い、いい映画でした。
この映画でホイットニー・ヒューストンはとても繊細な心をもった人物として描かれます。ステージにあがりソロで歌うことに恐れ、体の具合が悪くなるほどです。しかし彼女の実力は自信を与えます。その自信はさらに彼女を強く魅力ある人物にしてくれます。その自信こそが彼女をスターにしてくれます。
しかし一方ではその自信は彼女を苦しめます。うまくいかなかった場合の不安がつねに付きまといます。いやなことから逃げるように麻薬に溺れてしまいます。麻薬の力ですばらしいステージを作り上げますが、それがさらに彼女を追いこんでしまいます。
これは人間誰もが理解できます。何かを成し遂げるためには自信が必要です。しかしその自信は、時がくれば自分を苦しめる原因にもなってしまいます。ホイットニーの苦しみはすべての人間の苦しみです。
麻薬は人間を壊します。その麻薬に落ちたホイットニーを非難することは誰にでもできます。しかしそのホイットニーの姿は自分自身と重なるはずです。
繊細さと強さ。ふたつの中で苦しむ人間の姿を見つめるいい映画でした。