映画『リアル・ペイン』を見ました。名作です。
ふたりのユダヤ人のいとこが主人公です。ふたりの祖母はポーランドのアウシュビッツのすぐ近くに住んでいました。虐殺からなんとか逃れアメリカにきます。しかしその祖母もなくなります。デビットとベンジーはその孫です。祖母の遺言により再会し、彼女の故郷ポーランド行きのツアー旅行に参加します。
ベンジーは破天荒で、自分の思ったことをすぐに口にだします。トラブルメーカーではあるのですが、彼のその生き方はかえって魅力的で、人々から愛されます。デビッドは自分を抑えてしまう性格です。仕事も家庭も表向きは順調ですが、真の友人はできないタイプです。実はこのふたり、どちらも神経質であり、ふたりとも統合失調症の傾向があるように見えます。だからふたりとも生きづらさを常に感じながら生きているように見受けられます。
ふたりはアウシュビッツの施設を見学します。それが彼らに大きな衝撃を与えたのは確かなようです。
この二人がこの度を通じて、お互いに自分を見つけて、そして自分と向き合ってくれればいいと見ながら感じてしまいます。結果はどうなるかはわかりませんが、旅の中で二人は成長したように感じます。しかし大きな不幸が待っている様な予感もします。
ほんの短い時間を切り取っただけの映画ですが、長い人生を想像させます。見事な映画です。